グランド・ファンク・レイルロード登場
1969年8月発売
曲目
アー・ユー・レディ、エニバディズ・アンサー、タイム・マシーン、ハイ・オン・ア・ホース、T.N.U.C、イントゥ・ザ・サン、ハートブレイカー、コール・ユアセルフ・ア・マン、キャント・ビー・トゥー・ロング、アップス・アンド・ダウンズ


プロデュース              :テリー・ナイト
ボーカル、ギター、ピアノ、ハーモニカ  :マーク・ファーナー
ベース                 :メル・サッチャー
ボーカル、ドラムス           :ドン・ブリューワー
グランド・ファンク・レイルロードのデビュー盤です。
GFRといえば、アメリカンハードロックの大御所として評価されていますが、個人的には昔はそれほど米国バンドであると意識して聴いたことはなく、ボリュームを上げてレコードを直感的に楽しんでいました。
彼らの魅力は、ドン・ブリューワーとメル・サッチャーのシンプルでパワフルな演奏、そして楽器にそれほど執着していないような歌心もGFRのいいところです。
70年代初頭のハードロックシーンとしては、英国バンドの勢いに押されていた時で、GFRに期待する米国のファンの後押しになったという背景とか、伝説的な69年のアトランタポップフェスティバルでのデビューや、デトロイトでのライヴでアンコールが長引き、メインのレッド・ツェッペリンを食ったという有名なライヴは彼らのデビュー当時のエピソードとして語り継がれています。
推薦曲はトップの「アー・ユー・レディ」と「ハートブレイカー」です。


グランド・ファンク
1970年1月発売
曲目
ゴット・ジス・シング・オン・ザ・ムーヴ、プリーズ・ドント・ウォリー、ハイ・ファルーテン・ウーマン、ミスター・リムジン・ドライバー、イン・ニード、ウインター・アンド・マイ・ソウル、パラノイド、孤独の叫び

プロデュース              :テリー・ナイト
ボーカル、ギター            :マーク・ファーナー
ベース                 :メル・サッチャー
ボーカル、ドラムス           :ドン・ブリューワー
セカンドアルバムです。
「ミスター・リムジン・ドライバー」がなんとも昔から好きな曲です。
このアルバムでは「孤独の叫び」が最大の聴きもので、9分の大作です。これはアニマルズが1966年にヒットさせていますが、グランド・ファンクのまるでライヴのような臨場感のあるプレイにより、圧倒的にパワフルなロックナンバーに仕上がっています。
ギタープレイヤーとしてのマーク・ファーナーは、ギターの音色もファズトーン系オンリーのシンプルな音色ですが、荒々しくインパクトのある弾き方で押しまくります。
そして、圧倒的にパワフルなドンのドラムスと、ギター以上に存在感のあるメルのベースという強力なバッキングが売り物です。


クローサー・トゥ・ホーム
1970年6月発売
曲目
グッドマンズ・ブラザー、エイムレス・レディ、ナッシング・イズ・ザ・セイム、ミーン・ミストリーター、ゲット・イット・トゥゲザー、アイ・ドント・ハヴ・トゥ・シング・ザ・ブルース、フックト・オン・ラヴ、アイム・ユア・キャプテン


プロデュース              :テリー・ナイト
ボーカル、ギター、キーボード      :マーク・ファーナー
ベース                 :メル・サッチャー
ボーカル、ドラムス           :ドン・ブリューワー
デビューからわずか1年足らずですでにサードアルバムの登場で、GFRの当時の勢いが感じられます。
偉大なる元祖アメリカンハードロックバンドGrandFunkRailRoad−この粗暴でただ突っ走っている暴走列車のような彼らのイメージは、ライヴパフォーマンスから来るものが多々あります。全部がそういった曲ばかりではなく、例えば「ミーン・ミストリーター」などバラード系の曲などは、マークの突き抜けるようなボーカルとブルージーで陰陽のある雰囲気を出していて、キーボードを用いた「ゲット・イット・トゥゲザー」も後期GFRのカラーが感じられてバンドの将来性が感じられます。


ライヴ・アルバム
1970年11月発売
曲目
DISC1
イントロダクション、アー・ユー・レディ、パラノイド、イン・ニード、ハートブレイカー、孤独の叫び
DISC2
ワーズ・オブ・ウィズダム、ミーン・ミストリーター、マーク・セズ・オールライト、T・N・U・C、イントゥ・ザ・サン

プロデュース              :テリー・ナイト
ボーカル、ギター            :マーク・ファーナー
ベース                 :メル・サッチャー
ドラムス                :ドン・ブリューワー
1971年の7月17日、東京の後楽園球場での雷雨の中での伝説のコンサート、4万人の観衆の中でそれは行われました。このアルバムは日本公演のものではないのですが、1970年当時のライヴの熱気がこのアルバムでも感じ取られます。
1970年11月にリリースされたこのライヴアルバムの1970年にはアルバム3枚をリリースしており、このアルバムを含めてすべてRIAA公認ゴールドディスクとなり、この年に売り上げたアルバムは1000万枚という驚異的な数字をたたき出しています。
このアルバムでの演奏はまさにがむしゃらそのものです。「ハートブレイカー」「孤独の叫び」も熱演ですが、DISK2の「ミーンミストリーター」は、ガラリとムードが変わり、マークファーナーの持ち味であるバラード調の歌い上げるボーカルがいい味を出しています。
サウンド的にはどうかというと、あまりいい音とは言えません。


サバイバル
1971年発売
曲目
カントリー・ロード、オール・ユーヴ・ガット・イズ・マネー、カムフォート・ミー、フィーリン・オールライト、自由が欲しい、アイ・キャン・フィールヒム・イン・ザ・モーニング、ギミー・シェルター


プロデュース              :テリー・ナイト
ボーカル、ギター、キーボード、ハーモニカ:マーク・ファーナー
ベース                 :メル・サッチャー
ドラムス、ボーカル           :ドン・ブリューワー
スタジオ盤としては4作目にあたるこのアルバムでは、従来のファズギターとヘビィーなベースの直線的ハードロックから、ギターサウンドなどはカントリー的な幾分乾いたサウンドの傾向が強く感じられる点で、ハードロック色は薄いアルバムとなっています。
このアルバムではいろいろと仕掛けがあり、曲として面白いのは、「ALL YOU'VE GOT IS MONEY」の叫びに似せたギターサウンドのエフェクトや、「自由が欲しい」の冒頭でセッション風の会話や、「I CAN FEEL HIM IN THE MORNING」の子供たちの会話が挿入されているところや、カヴァー曲の「ギミー・シェルター」などです。
そういったカラクリにもかかわらず、全体としてこのアルバムが地味めなのは、ほとんどの曲が戦争をテーマにしていて、幾分暗いムードが漂っています。
推薦曲は「カントリー・ロード」で、マーク・ファーナーの弾くフレージングがいいです。


戦争をやめよう
1971年発売
曲目
フット・ストンピン・ミュージック、戦争をやめよう、アップセッター、アイ・カム・タンブリン、セイヴ・ザ・ランド、ノー・ライズ、ロンリネス


プロデュース              :テリー・ナイト
ボーカル、ギター、オルガン、ハーモニカ :マーク・ファーナー
ベース                 :メル・サッチャー
ボーカル、ドラムス、パーカッション   :ドン・ブリューワー
発売当時は円形ジャケットでの登場でした。
日本タイトルは「戦争をやめよう」でベトナム戦争の反戦がテーマとなっています。
実は、GFRはドラッグ問題や、反戦をテーマとした歌など、社会的なテーマソングを発表している点が見過ごされています。そして、その荒削りな真価を発揮したライヴパフォーマンスのイメージから抱くものとはちょっと違っていて、バンドメンバーはきわめて素朴でクリーンな人たちです。
このアルバムは、個人的には初期のアルバムの中では円熟味が増している点で、一番いいのではないかと思います。初期のアルバムでのスカスカサウンドとは違いちょっと重厚に聞こえるのは、マークのギター音がファズ一辺倒ではなく、違和感のないエフェクターの使い方をしているように思える点です。また、メルのベースがよりヘビィーになっている点も見逃せません。


不死鳥
1972年発売
曲目
フライト・オブザフェニックス、トライン・トゥ・ゲット・アウェイ、サムワン、シー・ガット・トゥ・ムーヴ・ミー、レイン・キープス・フォーリン、アイ・ジャスト・ガッタ・ノゥ、ソー・ユー・ウォント・ハヴ・トゥ・ダイ、自由は子供達の為に、ガッタ・ファインド・ミー・ア・ベター・デイ、ロックン・ロール・ソウル
                          
ボーカル、ギター                        :マーク・ファーナー
ボーカル、ドラムス                       :ドン・ブリューワー
ベース                             :メル・サッチャー
オルガン、エレクトリックピアノ                 :クレイグ・フロスト
ゲスト参加                           :ダグ・カーショウ 
プロデューサー、マネージャーとして長い付き合いだったテリー・ナイトとはギャラにまつわる裁判にまで発展し、あえなくバンドは敗訴します。
前作「戦争をやめよう」がテリー・ナイトの最後のプロデュースで、このアルバムは自らの手でプロデュースを手がけています。
おそらくマーク・ファーナーが全面的に指揮し、ボーカルを前面に押し出したアルバムとなっていて、ほとんどが3、4分台の短い曲で、どれも聴きやすい曲です。
「TRYING TO GET AWAY」や「SHE GOT TO MOVE ME」などはクレイグの泥臭いキーボードにのせて歌うマーク・ファーナーがなかなかいいですが、地味といえば地味です。


アメリカン・バンド
1973年7月発売
曲目
アメリカン・バンド、ストップ・ルッキン・バック、クリーピン、ブラック・リコリス、ザ・レイルロード、エイント・ガット・ノーバディ、ウォーク・ライク・ア・マン、ロンリエスト・ライダー

プロデュース                          :トッド・ラングレン
ボーカル、ギター、エレクトリックピアノ、コンガ         :マーク・ファーナー
ボーカル、ドラムス、パーカッション               :ドン・ブリューワー
ベース                             :メル・サッチャー
オルガン、クラリネット、エレクトリックピアノ、ムーグ      :クレイグ・フロスト
黄金の金ピカジャケットの中央に黒の字体で小さく「GRAND FUNK We're An American Band」と刻印されていて、さらにレコード盤も金色に近い黄色で、実にインパクトのあるアルバムでした。
このアルバムではマルチクリエイター、トッド・ラングレンが指揮を取り、サウンド面ではキーボードが大幅に加わって、厚みを増したメロディアスな曲を展開しています。
いわば、このアルバムから従来のハードロック志向から、全体のアンサンブルを重視した曲作りに変化しつつも、演奏はよりいっそうパワフルで重心の低いサウンドづくりになっています。
先頭曲は、「 ウィー・アー・アン・アメリカン・バンド」という曲で、シングルカットもされヒットしました。
「クリーピン」はマーク・ファーナーが環境汚染を訴え、「ロンリエスト・ライダー」では、タブーとも思われる国を奪われるインディアンを取り上げています。
「ザ・レイルロード」の鉄道員の歌などは泣けてきます。名作といっていいです。


輝くグランド・ファンク
1974年3月発売
曲目
シャイニン・オン、ゲット・バック・イン、ロコ・モーション、キャリー・ミー・スルー、プリーズ・ミー、プリティー・ボーイ、ゲティン・オーバー・ユー、リトル・ジョニー・フッカー

プロデュース              :トッド・ラングレン
ボーカル、ギター            :マーク・ファーナー
ベース                 :メル・サッチャー
ドラムス                :ドン・ブリューワー
キーボード               :クレイグ・フロスト
「アメリカン・バンド」からは初期の頃よりサウンドに幅がつき、グランド・ファンクにしか出せない味が出てきました。このアルバムからは「ロコ・モーション」がヒットし、どちらも全米NO1となっています。
先頭曲の「シャイニン・オン」は私も好きな曲のひとつで、ここでもドンがボーカルをとっています。「ロコ・モーション」は1962年のリトル・エバのヒットですが、ヘビィーなアレンジによりグランド・ファンク風ロックになり蘇りました。当時はラジオでこの曲を聞いて重々しいドラムスの響きが気に入ってシングルをすぐさま買いました。
このアルバムは凝っていてアルバムについているセルロイドのメガネをはがして、ジャケットをそれで見ると立体的に見えるというものでした。


ハードロック野郎
(世界の女にご用心)
1974年発売
曲目
レスポンシビリティ、ランニン、ライフ、ルック・アット・グラニィ・ラン・ラン、メモリーズ、世界の女は御用心 、ワイルド、グッド・アンド・エヴィル、バッド・タイム、オー・ワンダフル

プロデュース                   :ジミー・イエナー
ボーカル、ギター、パーカッション        :マーク・ファーナー
ベース                     :メル・サッチャー
ドラムス、パーカッション、ボーカル       :ドン・ブリューワー
オルガン、キーボード、パーカッション、ボーカル :クレイグ・フロスト
ポップスバンドとしての自信の表れか、この頃はすでに従来のハードロックバンドとして体裁はなく、1曲目からポップスモード全開です。
この1974年というのは、勢いのあった英国バンドのアルバムリリースまでの期間が総じて長くなり、一方USでは南部系バンドが躍進した時期でもありました。
しかし、GFRのこの路線は従来のハードロック系ファンからは冷たい目で見られることとなりました。
但し、このアルバムが他のアルバムと違うのは、Good&Evil〜Some Kind Of Wonderfulへと続く強力なロック・ポップスナンバーです。Good&Evilはこのアルバム唯一のロック系ナンバーで、ブルース調のリズムに合わせてGFRのサウンドが爆発しています。続くBad Timeはガラッとムードが変わり、マーク・ファーナーがポップスシンガー顔負けの声で歌い上げます。最後は、個人的にはGFRのナンバーでも一押しのヒット作「オー・ワンダフル」で、ドラムスとベースのバッキングでドンとマークが歌い上げます。


驚異の暴走列
1976年発売
曲目
ボーン・トゥ・ダイ、デューズ、サリー、アイ・フェル・フォー・ユア・ラヴ、トーク・トゥ・ザ・ピープル、テイク・ミー、ジュヌヴィエーヴ、ラヴ・イズ・ダイイン、ポリティシャン、グッド・シングス

プロデュース              :ジミー・イエナー
ボーカル、ギター            :マーク・ファーナー
ベース                 :メル・サッチャー
ドラムス、パーカッション、ボーカル   :ドン・ブリューワー
キーボード、ボーカル          :クレイグ・フロスト
1976年といえば、日本ではキッス、クィーン、ベイ・シティ・ローラーズなどが人気があり、勢いもありました。片や、従来の70年代前半の旧式ロックは一部を除いて萎んでいた頃でもありました。
このアルバムでは、SALLYがシングルカットされましたが、前作のポップスナンバーとさして変わらない出来栄えなのに、あちらは4位でこちらは69位というのはそれだけ音楽シーンの変化があったということなのでしょうか。
アルバム中これはという曲がないのもこのアルバムの評価につながっているのかも知れません。サウンドとして見るとGFRのお株であるリズムセクションの音が後退しているのと、中期GFRの良さ=キーボードサウンドも今ひとつです。過去の作品では「サバイバル」あたりのサウンドに近い路線です。


熱い激突
1976年8月発売
曲目
ジャスト・クジュント・ウェイト、キャン・ユー・ドゥ・イット、パス・イット・アラウンド、ドント・レット・エム・テイク・ユア・ガン、ミス・ミー・ベイビー、ビッグ・バンズ、アウト・トゥー・ゲット・ユー、クロスファー、1976、リリース・ユア・ラヴ、ゴーイン・フォー・ザ・パスター

プロデュース              :フランク・ザッパ
ボーカル、ギター、ピアノ        :マーク・ファーナー
ベース、バックボーカル         :メル・サッチャー
ボーカル、ドラムス           :ドン・ブリューワー
キーボード、バックボーカル       :クレイグ・フロスト
ギター、バックボーカル         :フランク・ザッパ
GFRの70年代最後のスタジオ盤で、フランク・ザッパのプロデュースによるものです。
アルバムでは最初の3曲がシングルカットされています。
このアルバムではザッパが「アウト・トゥ・ゲット・ユー」にギターで参加しています。
どの曲もいいですが「1976」や「ゴーイン・フォ・ザ・パスター」はドライヴ感があってヒット性があります。


グランドファンク復活
1981年発売
曲目
グッド・タイムス、クイーン・ビー、テスティファイ、キャント・ビー・ウィズ・ユー・トゥナイト、ノー・リーズン・トゥ・クライ、朝日のない街、Y.O.U、スタック・イン・ザ・ミドル、グリード・オブ・マン、ウェイト・フォー・ミー

プロデュース              :アンドリュー・キャバリエル、ボブ・デストッキー
リードボーカル、ギター、ピアノ     :マーク・ファーナー
ボーカル、ドラムス           :ドン・ブリューワー
ボーカル、ベースギター         :デニス・ベリンガー
81年にリリースされたこのアルバムは、ベースのメル・サッチャーを除いたメンバーながら、文字通りグランド・ファンクそのものです。
そして、バンド名もグランド・ファンクではなく、昔のグランド・ファンク・レイルロードで登場です。
中身はというと、どちらかというとギンギンのロックではなくマーク・ファーナーのボーカルを前面に押し出したボーカルアルバムとなっていて、曲も3分2分の短めの曲がほとんどです。
ただ、ちょっとポップス寄りで明るすぎのサウンド傾向は、もう少しハードな泥臭いギターとドラムスとベースの音を期待していたファンからすれば、期待はずれの面もあるかも知れません。
推薦曲は「テスティファイ」、「キャント・ビー・ウィズ・ユー・トゥナイト」です。