似非PLDプロジェクトは、MSXをゼロから作ってみようというプロジェクトです。
これはCPUやVDPを買ってきて、MSXを組み立てる事を意味するのではありません。
CPUやVDPそのものも、全て自分たちで作ってしまおうという試みです。
近年の半導体、開発手法、開発環境の発展を利用すれば、これは不可能な話ではありません。
かと言って、容易に実現出来るものでもありません。これは非常にやりがいのあるプロジェクトです。
知的好奇心の強い方、私たちと一緒に新しいMSXを作ってみませんか。
近年、半導体技術の発展には目を見張るものがあります。
スーパーコンピュータの様なハイエンドはもちろん、パソコンの様な一般的に手に入る物でもCPUの動作速度が1GHzを超えるなど、めざましい発展を遂げています。プログラム可能な論理素子(Programmable Logic Device : PLD)も、従来のPALやGALといったものから、現在のFPGAへと進化しました。現在では数百万ゲートもの回路サイズと、数百MHzの動作速度が実現しており、しかもその発展の勢いはまだまだ続きそうです。
MSXを構成しているZ80が約3000ゲート/3.58MHz、R800が約1万ゲート/28.64MHzである事から分かる様に、近年のFPGAはこれらのチップを実現可能なレベルまで来ています。
MSXは現在、新機種の開発はおろか、最終製品の製造中止から10年を迎えようとしています。
新製品への乗り換えどころか、メーカーへの修理依頼もままならない状況です。FPGAを使って、CPU、VDPや音源チップなどの開発をすることは可能です。今まで夢物語でしかなかった、ワンチップMSXやノート型MSXなどがアマチュアにも射程距離内に来たのです。
LSIの開発の論理設計において、複雑となった回路の抽象度を高め、開発効率を向上させようという動きがあります。そんな中で、従来の回路図による設計手法から、言語記述による設計手法が広く使われる様になってきました。
ハードウェア記述言語(Hardware Discription Language : HDL)には様々なものがあります。最近はVerilog-HDLやVHSIC-HDL(VHDL)が良く使われています。どちらが良い悪いといった議論はしません。似非PLDプロジェクトでは、VHDLを使って開発を進める事にします。VHDLはPascalに似た言語と言われています。今までソフトウェアしか作ったことの無い人も、試しにここのホームページや、他の方の作ったVHDLのコードを見てみて下さい。なんとなく意味が分かるのではないでしょうか?
MSXユーザに限らず、ソフトは作っても、ハードウェア開発には敷居の高さを感じる方が多いと思います。
そんな方にも、VHDLを取っ掛かりにして、ハードウェア開発にもチャレンジして頂けたらと思います。C言語で書いたコードは、コンパイルし直す事によって様々なコンピュータ上で動作させる事が可能です。
VHDLで書いたコードも同様に、様々なデバイスメーカのチップで動作させる事が出来ます。より高速なチップ用にコンパイルし直せば、既存の設計を高速に動作させたり、複数のコードを1つのチップに入れてワンチップ化をすることが可能です。Windows上のエミュレータとは違い、VHDLのコードは実際の半導体として動作させる事が可能なのです。
FPGAを開発するために必要な環境(ワークステーション、CADソフト)は、従来非常に高価なものでした。
近年ではダウンサイジング化が進み、Windowsパソコン上でこれらの作業が可能となっています。
また、FPGAデバイスベンダは、入門用/評価用としてこれらの機能限定版を無料で公開する様になっています。無料版で出来る範囲はメーカにより異なりますが、Altera社の提供するものでは、10万ゲート相当まで、Xilinx社の提供するものでは30万ゲート相当までのFPGAの開発が可能となっています。(※換算ゲート数は参考程度)
Z80が3千ゲート、R800が1万ゲートだった事を考えると、かなり遊べるのではないかと考えています。
チップへの書き込みも、高価な書き込み機は必要ありません。Windowsパソコンと1000円程度で簡単に自作可能なケーブルで行う事が出来ます。
Windowsパソコン、無料の開発ソフトと自作ケーブル程度で開発環境は揃います。
半導体チップの開発がこんなに手軽に出来るのならば、挑戦してみない手はありません。
※ FPGAの等価ゲート数は、メーカにより換算基準が異なるので、数字は参考程度と考えてください。
実際、ある回路をFPGAに入れるのに、Altera社では3万ゲート相当、Xilinx社では10万ゲート相当規模の
チップが必要となりました。メーカ間で3倍程度の換算差があったことになります。
これはあくまでも一例であり、実際は設計した回路によって異なります。
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