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「一眼レフ」って、ナニ?

 現在、一般的なカメラと言えば「一眼レフ」と「コンパクトカメラ(ここではごく一般的な普及機の話)」でしょう。その違いは何でしょうか?


■ 一眼レフとは? ■

 「一眼レフ」は、別名SLR(Single Lens Reflex)と呼ばれるように、「一つのレンズ」と、45度の角度にセットされた「鏡」を用いて、写そうとする画像の範囲を直接ファインダーで確認しながら撮ることができるカメラです。


 レンズを通して入ってきた光は、鏡によって上方のスクリーン(フォーカシングスクリーン)に投影されます。撮影者はファインダーを覗いてこの画像を見ているわけです。ですから、構図とピントが撮影時に確認できます。そして、シャッターを切ると、この鏡は上昇し(だからその瞬間には撮影者には画像が見えなくなるわけですね)、今度はフィルム面に画像が投影され、撮影されるわけです。(光路図参照)



■ コンパクトカメラとは? ■

 これに対してコンパクトカメラでは、画像撮影用と撮影範囲確認用の光は全く別の光路を通ります。



 従って、被写体(写されるもの)がカメラに近くなればなるほど、その二つにズレが生じます。ですから、例えば花をアップで撮ろうとする(接写)などといった用途には使えません。また、現在カメラは一眼であれコンパクトであれAF(オートフォーカス)が主流ですが、ピントが本当に合っているかどうかを撮影時点で確認するのはコンパクトカメラでは不可能であり、フィルムを現像するまでは分からないことになります。


 「シャッター」の構造にも違いがあります。
 一眼レフでは「シャッター幕」がフィルムの直前にあり、写す瞬間には、これが開きます(=フォーカルプレーンシャッター。縦に動くものと横に動くものがあります)。一方、コンパクトカメラでは「シャッター羽根」がレンズの間(カメラのレンズは複数のレンズが組み合わされています)にあります(=レンズシャッター)。

 シャッター構造の違いによる最も大きな差は、レンズシャッターよりもフォーカルプレーンシャッターの方がカメラ内部で質量の大きい(重い)ものが動く、ということです。しかも一眼の場合にはミラーも動くわけですから、シャッターを切った瞬間のショック(振動)は、一眼とコンパクトでは比べ物にならないほど前者の方が大きい、ということになります(これは、次項に述べますが軽量一眼の重大な弱点になる、重要なポイントです)。


■ コストの掛かり方と目的の違い ■

 また、一眼とコンパクトでは値段も大きく異なります。例えば、Nikonのコンパクトカメラ・ミニズーム600は定価¥37,000(38〜110mmレンズ固定)です。これに対して最も安いAF一眼F60Dはボディのみで定価¥62,000、これに同等のレンズAFニッコール35〜105mm¥53,000を付けると合計で¥115,000と、ほぼコンパクトの3倍の値段です(価格は'98/11のニコン価格表による)。これは何故でしょうか。

 簡単に言って、理由は「ボディの構造」と「レンズの性能」にあるといって良いでしょう。

 上に述べたように、一眼の方が稼動部品が多く、光学系も複雑です。しかも、一眼はレンズを交換できますから、ある程度の重さのレンズを支持できるように、それなりに「頑丈」である必要があるのです。したがって、骨組みに当たる部分には金属が使用されているのが普通です。もちろん、金属の方がボディ・レンズの精度も出ます。
 これに対して一方のコンパクトはプラスチックが多用されています。大した強度・精度は要求されませんし、そもそも、“コンパクト”なのに“重い”のでは仕方ありません

 また、レンズの価格の違いも大きいのです。コンパクトは一般的に旅行の記念のような目的に使われることが多く、どちらかと言えば中・近距離の記念写真的な性能を重視します。このような用途では、暗いときには(近距離ですから)内蔵のスピードライトを発光すれば事足りますので、さして明るいレンズも必要ありません。プリントもサービスサイズ(いわゆるL版)止まりのことが多く、従って解像度(細かいところまで描写する能力)もそこそこでOKです。むしろ最も重視されるのは、その名の通りレンズも“コンパクト”であることでしょう。

 一方、一眼は遠距離(例えば風景)から近距離(例えば花のアップ)まで、オールマイティーな性能を要求されます。解像度もある程度高くなければなりません。このようなレンズを設計・製造するには、どうしてもお金がかかるのです。

 この他に、同じAF(オートフォーカス)でも、測距方式・性能の違いもあります。


■ 用途に応じた選択を ■

 いろいろと相違点を並べましたが、最も根本的な違いは、コンパクト=全てカメラ任せ、一眼=撮影状態を全て撮影者が把握できる、という点でしょう(もちろん、最近のお手軽一眼ではかなりの部分が自動化されて、操作性という点ではコンパクトに近付いていますが、状態が把握できる、という意味で基本的には同じ事です)。

 例えば、同じAFであっても一眼なら実際にピントが合った位置を撮影時に確認できますし、もしAFでピントが合わなければ自分で合わせることも出来ます。また、大抵の機種では、使用する絞り値・シャッタースピードが表示されるでしょう。(以下、機種は限定されますが)絞り込みによって被写界深度(ピントが合う範囲−前後の幅−のこと。絞り値によって決まる)も確かめることができますし、最も基本的なことでは、巻き戻しクランクの回転によって、そもそもフィルムがキチンと送られているのか、ということも確認できます(最近は出来ないものが多いです)。
 自動車の運転をする方なら解るでしょうが、例えて言うならコンパクトで写真を撮るのは、スピードメーターの無い乗用車で、スピード違反取り締まりのキビシイ道路を走っていく(もちろん、あなたは急いでいるのです!)ようなものではないでしょうか?

 但し、何でもそうですが「物は使いよう」。軽量で手軽に持ち歩け、誰でも簡単に使える、というのは非常に大きなメリットですし、安価でお手軽なコンパクトカメラでも、クセを知った上で使えば結構使えるものもあります。一眼は万能選手、コンパクトは簡便さに特化したカメラ。用途に応じて選びましょう