財政学特殊講義U
沖縄経済と財政
(2003年度後期:昼夜)


連絡事項


基本情報


シラバス(Auguest 31, 2003)

【講義内容】沖縄県では、沖縄振興計画をはじめとして、政府による多くの経済政策が実施されています。これら沖縄振興の施策においては、沖縄経済の現状把握とその財政制度の概要を理解することが重要な知識となっています。前半の講義では内田(2002)の教科書を利用して沖縄経済の概要について説明し、後半の講義では本教官が選択した沖縄における経済振興策や財政制度の概要を説明することとします。講義は、主に経済政策における政策形成能力の向上を念頭において、進めることとします。

【使用するテキスト・読書リスト】本講義ではテキストを利用します。以下に指定する予習範囲を読んでいることを前提として、講義を進めることとします。

参考文献1は、地域経済を分析するための基礎的なツールを説明した分かりやすいテキストです。参考文献2は、経済統計の意味や、戦後日本経済の歩みを知る上で不可欠な本です。参考文献3は、沖縄経済の現状をグラフ化したデータから鳥瞰した沖縄経済入門書です。

【他の授業科目との関連】指定はありません。本講義は、本教官(澤野孝一朗)担当の「現代経済のしくみ」の沖縄経済版、昨年度・前期開講の「地方自治体の経済学」の沖縄経済応用版となりますが、講義の受講経験がなくとも理解できるように準備しています。沖縄経済と財政は、財政学と密接な関係がありますので『財政学』や『地方財政論』の理解があると、より興味を持つことができます。

【単位要件】成績評価は、中間試験と期末試験、出席状況にて行ないます。

【その他】この授業では、授業参加者に沖縄経済と財政に関心を持ってもらうために、授業は質問や議論を中心に行いたいと考えています。このため授業に関する資料や情報は、このウエブにアップ・ロードもしくはリンクする予定です。授業参加者は、事前に授業資料やホーム・ページを読み、いくつかの疑問点等を考えてみてください。後期の授業期間中は、このURLで授業情報を掲載します。また履修登録は、第1回目の授業時に行いますので、履修登録用紙を持参して参加してください。


講義予定(逐次更新します)

以下のレクチャー・ノートやハンド・アウトは、PDFファイルで保存されています(PDFファイルとは、ページ設定のあるノート形式の文書で閲覧できるファイル形式です)。PDFファイルを読むためには、Adobe Acrobat Reader(free)をダウンロード・インストールする必要があります。ファイルのサイズが大きいので、CD-ROM付きパソコン雑誌の付録に入っていることがあるので、それを購入してインストールする方がいいかも知れません。なお琉球大学のアカウントを持つ学生は、総合情報処理センターもしくは経済学コンピューター室(法文517号室)のPCで見ることができます。

以下の日程には、予備日を入れて余裕を持たせていますので、実際の進度に応じて変更する可能性があります。

  1. 10月8(昼)・10(夜)日:イントロダクションこの講義の方針と講義計画を説明します。 この授業時間中に履修登録を行いますので、履修登録用紙を持って参加してください。
  2. 10月15(昼)・17(夜)日:沖縄経済の概要 この講義では、沖縄経済の現状に関する議論を紹介し、そのキーワードの意味を説明します。ここでは、受講者が沖縄経済のイメージを把握できるようになることを目指しています。
  3. 10月22(昼)・24(夜)日:沖縄復帰後30年の経済史 ここでは前回に引き続いて、より詳しい沖縄経済の現状や歴史、その基本的概念を説明します。特に沖縄振興開発計画が実現しようと考えた目的の意義について説明します。
  4. 10月29(昼)・31(夜)日:沖縄県財政と沖縄振興予算 この講義では、財政制度としての沖縄振興開発特別措置の流れを説明しようと考えています。そして沖縄振興開発計画と沖縄県の関係について検討することとします。
  5. 11月12(昼)・14(夜)日:沖縄の金融市場構造 沖縄では非常に金融に関する関心が低いことが指摘されています。ここでは、基本的な金融のしくみとその業態について説明し、沖縄における金融業の現状を説明します。
  6. 11月19(昼)・21(夜)日:沖縄の失業問題と建設業 沖縄では年平均失業率が9%前後と非常に高い値を示しており、その失業対策が急がれています。この講義では、沖縄における失業の現状と、労働市場の特性について説明します。
  7. 11月26(昼)・28(夜)日:沖縄におけるIT産業振興と経済学的含意 近年、沖縄における産業誘致や育成は、IT(Information Technology)と呼ばれる情報通信技術を生かした企業がその対象となっています。ここでは、IT産業の現状とその経済学的解釈について紹介します。
  8. 12月3(昼)・5(夜)日:沖縄の観光産業の現状 現在、観光サービスは沖縄における主要産業の一つとなっています。しかしこれまで沖縄観光を包括的に分析したものはなく、沖縄観光のイメージは非常に曖昧なものとなっています。ここでは、復帰後30年に辿ってきた沖縄観光の変遷について説明し、沖縄観光の現状を検討します。
  9. 12月10(昼)・12(夜)日:沖縄の物価と地価 沖縄は比較的物価が低廉な地域であるとされています。しかし家電製品をはじめ、県外から移入される製品については、その割高感が指摘されています。ここでは、沖縄の物価特性について説明することとします。
  10. 12月17(昼)・19(夜)日:沖縄の健康・長寿と観光政策 この講義では、沖縄の観光政策について検討します。沖縄では、自然や文化をはじめとして、多くの観光提案を行っています。ここでは、近年に提唱されるようになった「健康・長寿と観光政策」について説明することとします。
  11. 1月7(昼)・9(夜)日:沖縄と航空サービス1 沖縄では、航空運賃の低廉化を目的として、航空サービスに関する公租公課(航空機燃料税・着陸料・航行援助施設利用料)の軽減措置が実施されています。ここでは、沖縄における航空サービスに関する特別措置の概要と、その航空運賃との関係について説明します。
  12. 1月14(昼)・23(夜)日:沖縄と航空サービス3:沖縄と航空サービス2 前回に引き続き、航空サービス関連の特別措置の効果について検討します。この沖縄における特別措置は、沖縄(那覇空港)を目的地とする就航便に対して、ある種の路線補助を与える効果を持っています。ここでは、特別措置が持つ路線補助の効果とその帰結について説明します。
  13. 1月21(昼)・30(夜)日::沖縄と航空サービス3 最後は、航空サービス関連の特別措置が、地方財政に与えた影響についてです。日本の空港整備特別会計では、航空機燃料税の一部を地方譲与税として、空港が所在する市町村と都道府県に配分しています(航空機燃料譲与税)。ここでは、特別措置と航空機燃料譲与税の関係について説明します。
  14. 1月28(昼)・2月6(夜)日(予備日) この授業では、この授業の復習を行ない、質問のあった点や分からなかった点、補完的な内容の説明を行ないます。

沖縄経済を知るための参考文献シリーズ

沖縄経済の現状(全般)

内田真人著『現代沖縄経済論−復帰30年を迎えた沖縄への提言−沖縄タイムス社,2002年.

この本は、内田真人氏が日本銀行那覇支店長時代に、沖縄経済の全体像を経済データを駆使して取りまとめたものです。少し難しい内容も含みますが、沖縄経済の特徴を余すところなく捉えています。また沖縄という地域だけでなく、経済学一般の分析対象となるテーマも数多く含まれ、地域経済学の研究書としても好著になっています。

富永斉編著『図でみる沖縄の経済』緑風舎,2003年.

この本は、主に琉球大学法文学部の総合社会システム学科(経済学専攻)の教員が中心となって、沖縄経済の現状を図やグラフを利用して説明を試みた本です。またこの本は、1979年に旧版(山里将晃編著『図でみる沖縄の経済』新報出版印刷,1979年.)が出版されており、それと比較して読むことも興味深くなっています。

沖縄国際大学公開講座委員会編『沖縄経済の課題と展望』那覇出版社,1998年.

この本は、主に沖縄国際大学の商経学部の教員が中心となって、沖縄経済の現状と課題を取りまとめたものとなっています。内容は、大学が開催した公開講座の講義録を補筆して収録されています。沖縄経済の課題を包括的に理解するテキストとして、非常に高い価値を有しています。

沖縄経済の変遷(本土復帰と特別措置)

牧野浩隆著『再考 沖縄経済』沖縄タイムス社,1996年.

この本は、現在の沖縄県副知事である筆者が1996年に執筆した沖縄経済の研究書です。内容は、沖縄が戦後たどってきた歴史を振り返り、どのような経済問題が残されたままになっているかを解説した本です。また現在の沖縄振興計画の方向性を規定する本にもなっています。

沖縄振興計画(沖縄戦による戦災被害)

沖縄タイムス社編著『沖縄戦記 鉄の暴風』沖縄タイムス社,1950年.

田村洋三著『沖縄県民斯ク戦ヘリ−大田實海軍中将一家の昭和史−』講談社,1994年.

沖縄振興計画(米国民政府による統治)

与那国暹著『戦後沖縄の社会変動と近代化−米軍支配と大衆運動のダイナミズム−』沖縄タイムス社,2001年.

朝日新聞社編著『沖縄報告−復帰前1969年−』朝日文庫720,1996年.

沖縄振興計画(高度成長期の果実)

香西泰著『高度成長の時代−現代日本経済史ノート−』日経ビジネス人文庫800,2001年.

櫻井溥著『沖縄祖国復帰物語』大蔵省印刷局,1999年.

沖縄振興計画(沖縄企業の近代化と変遷)

佐久本政敦著『泡盛とともに−佐久本政敦自叙伝−』瑞泉酒造株式会社,1998年.

沖縄振興計画(在日米軍基地とその負担)


表紙