財政学特殊講義T
地方自治体の経済学
(2002年度前期:昼夜)


連絡事項


基本情報


シラバス(January 3, 2002)

【講義内容】日本の地方自治体は、(1)住民福祉向上のために、(2)住民に課税して税収を求め、(3)公共サービスを提供する主体と定義されています。この授業の目的は、地方自治体を経済学的に解釈して、その仕組みとあり方を理解することにあります。講義の前半部分では、地方自治体の財政基盤である土地税収の特徴について説明します。後半部分では、地方自治体が提供すべきサービス(公共財)とその制度について説明します。講義では、授業参加者が日常生活を送るなかで見聞する地方自治体の仕事や、最近の話題を理解できるようになることを目標としています。

【使用するテキスト・読書リスト】講義は、原則的にレクチャー・ノートにもとづいて行われます(以下の講義予定を参照)。各レクチャー・ノートには、参考文献が掲載されていますので、疑問を感じた点や興味を持った点は各文献にあたってみてください。基本的な文献をあげると、以下のとおりです。

参考文献1は、都市や地域に関する経済学分析の入門書で、地方自治以外にも興味深い問題を解説しています。参考文献2は、なぜ土地や住宅問題を経済学で分析することが重要なのかを、平易な文章で述べられたものです。参考文献3は、地方自治体が都市で行うべきサービスのあり方を、近年の研究成果を利用して説明したものです。参考文献4は、高度な都市経済学に関するテキストです。中級レベルのミクロ経済学の知識を必要としますが、取り組みがいのある文献です。参考文献5は、日本の地方自治の仕組みをわかりやすく説明したものです。

【他の授業科目との関連】指定はありませんが、政府財政をテーマとする『財政学』、地方財政制度を明らかにする『地方財政論』、経済学分析の基礎となる『ミクロ経済学』の理解があると、より興味を持つことができます。

【単位要件】成績評価は、中間と期末のテストと出席状況にて行ないます。

【その他】この授業では、授業参加者に地方自治に関心を持ってもらうため、授業は質問や議論を中心に行いたいと考えています。このため授業内容は、すべて上記のウエブにレクチャー・ノートとして掲載しています。授業参加者は、事前にレクチャー・ノートを読み、いくつかの疑問点等を考えてみてください。前期の授業期間中は、このURLで授業情報を掲載します。


講義予定(逐次更新します)

毎回の講義は、以下のレクチャー・ノートを読んできていることを前提とします。講義ではノートを復誦することはせず、問題演習や問題解説が中心となります。内容についての質問は、授業中に行なうことを原則としますので、何の準備もせずに出席するだけではついてゆけないでしょう。なお以下の日程には、予備日を入れて余裕を持たせていますので、実際の進度に応じて変更する可能性があります。

以下のレクチャー・ノートは、PDFファイルで保存されています(PDFファイルとは、ページ設定のあるノート形式の文書で閲覧できるファイル形式です)。PDFファイルを読むためには、Adobe Acrobat Reader(free)をダウンロード・インストールする必要があります。ファイルのサイズが大きいので、CD-ROM付きパソコン雑誌の付録に入っていることがあるので、それを購入してインストールする方がいいかも知れません。なお琉球大学のアカウントを持つ学生は、総合情報処理センターもしくは経済学実験室(530号室)のPCで見ることができます。

  1. 月16(夜)・18(昼)日:イントロダクション 講義方針と地方自治体をどのように経済学の枠組で分析するかを説明します。この授業時間中に履修登録を行いますので、履修登録用紙を持って参加してください。
  2. 4月23(夜)・25(昼)日:地方財政制度 日本の地方自治体財政を理解するには、地方財政制度を理解することが必要です。はじめに地方財政制度の概要を説明した後、沖縄県の歳入構造について考えます。
  3. 4月30(夜)・5月9(昼)日:地方税制 地方自治体は、本来独自の責任において、住民に課税することができます(課税自主権)。しかし日本では、地方税法によって、地方自治体の裁量的な課税は厳しく規制されています。ここでは、日本の地方税制の仕組みと課税自主権の現状について説明します。
  4. 5月7(夜)・16(昼)日:移動可能性 前回では、日本の地方自治体の裁量的な課税が、地方税法によって規制されていることを説明しました。しかし地方税においては、地方自治体の裁量的な課税を規制すべき積極的な理由も存在します。ここでは地域間の税率格差が、課税対象である企業や住民が移動する可能性を考慮した「租税競争」の議論を説明し、その応用例として地域指定による沖縄振興策の意義を考えます。
  5. 5月14(夜)・23(昼)日:土地課税 一般に地方自治体が基盤とすべき税目としては、固定資産税が考えられています。固定資産税とは、土地や家屋の資産価値に対して課税する税(土地課税)です。ここでは土地に課税することの望ましさを効率性と租税負担の観点から検討し、近年の地方自治体における独自課税の問題点について検討します。
  6. 5月28(夜)・6月6(昼)日:地価形成 前回は、地方自治体は土地課税を歳入の基盤にすべきことを説明しました。このため土地価格(地価)が理論的にはどのように決定されるのか、実際にはどのような地価算定が行われているのかを知ることは重要です。ここでは地価理論の概要と、その応用例としての地価公示制度を説明します。
  7. 6月4(夜)・13(昼)日:住宅家賃 前回では、地価は土地利用料(地代)と利子率にて決定されることを説明しました。ここでは、土地利用料(地代)の一種である住宅家賃がどのように決定されるかを説明し、日本の住宅市場を規定する借地借家法のあり方について考えます。
  8. 6月11(夜)・20(昼)日:(予備日) この授業では、前半7回の授業の復習を行ない、質問のあった点や補足的な内容の説明を行ないます。
  9. 6月18(夜)・27(昼)日:地方公共財 後半からは、地方自治体が提供すべき公共サービスのあり方について考えます。一般に地方自治体が提供すべき公共サービスは、地方公共財の特徴を有するものであるべきと考えられています。ここでは地方公共財の意味と、沖縄県の歳出構造について説明します。
  10. 6月25(夜)・7月4(昼)日:首長選挙 日本の地方自治法は、地方自治体の実施する施策が、住民の意志に合致するするように、首長選挙の手続きを定めています。ここでは、首長の選任と解任の意義、地方議会の役割について説明します。
  11. 7月2(夜)・7月11(昼)日:条例制定  最近の日本では、プロジェクトの是非を問う住民投票の気運が高まり、多くの地方自治体で投票実施に関する条例制定が請求されています。この直接請求権と呼ばれる条例制定請求と、近年に実施されている住民投票の特徴を説明します。
  12. 7月9(夜)・18(昼)日:入札制度 地方自治体が物品を調達する場合、原則として入札によって納入者を決定しなければなりません。ここでは入札の仕組みを説明し、なぜ地方自治体が物品調達において入札を利用しなければならないかを説明します。
  13. 7月16(夜)・25(昼)日:住民監査 地方自治体は、住民に課税して歳入を求め、公共サービス提供のために財政支出を行います。このように地方自治体の支出負担行為においては、合法性が求められます。日本の地方自治法では、違法性の疑いがある支出負担行為について、住民はその監査を請求することができます。この住民監査の仕組みと、納税者訴訟と呼ばれる住民訴訟の関係について説明します。
  14. 7月23(夜)日:(予備日) この授業では、後半5回の授業の復習を行ない、質問のあった点や補足的な内容の説明を行ないます。

表紙