6. The Tale of Peter Rabbitについて
20010728

☆The Tale of Peter Rabbit (ピーターラビットのおはなし)の絵本について☆

The Tale of Peter Rabbit (ピーターラビットのおはなし)の文学的評価については(英)児童文学関係者のみなさまにお任せして、このコーナーでは本そのものにこだわってみました。




 1893年9月4日,ビアトリクス・ポターが5才のノエル・ムーア(Noel Moore)君に宛てた病気見舞いの手紙から、ピーターラビットの物語は誕生しました。


ノエル君に宛てた病気見舞いの手紙の復刻版(封筒)<*1>


 その後ポターは本の制作を企画しましたが、先ず私家版「The Tale of PETER RABBIT」を1901年12月に初版250部自費出版しました。(翌年には第2刷200部を増刷)<*1>


私家版の復刻版<*1>


 そして遂に1902年、ポターの努力が報われて、ロンドンのフレデリック・ウォーン社から待望の初の出版社版「The Tale of Peter Rabbit」が作られ、大成功をおさめました。


English
英語(私家版) 1901.12.16
英語(Frederick Warne & Co.Ltd.) 1902.10. 2
The Tale of Peter Rabbit


 1993年時点では20数ケ国語に翻訳されて、世界中の人々に今なお愛されています。<*2>
追記:LYCOSニュース(2001年7月17日ロイター配信)によれば現在「30カ国語以上に翻訳され」ているそうです。
(7月28日付では「絵本に登場するキャラクターの名前が彫られた墓石」のニュースもありました。)


以下は各国語に翻訳・出版された「The Tale of Peter Rabbit」あるいは「Peter Rabbit」の本の
タイトルです。

Dutch オランダ語 1912 Het Verhaal van Pieter Langoor
(Het Verhaal van Pieter Konijin)
French フランス語 1921 Pierre Lapin
Afrikaans アフリカーンス語 1929 Die Verhaal van Pieter Konyntjie
Spanish スペイン語 1931 Pedrin El Conejo Travieso
Welsh ウェールズ語 1932 Hanes Pwtan y Wningen
German ドイツ語 1934 Die Geschichte des Peterchen Hase
(Die Geschichte von Peter Hase)
Swedish スウェーデン語 1948 Sagan om Pelle Kanin
Italian イタリア語 1948 Il Coniglio Pierino
Latin ラテン語 1962 Fabula de Petro Cuniculo
Danish デンマーク語 ? Peter Kanin?
Suomi フィンランド語 ? Pelle Kanin?
Russian ロシア語 ?
Thai タイ語
・・・・・ ・・・・・・・ ・・・ ・・・・・・・・・・・・・・・・・・
それから
Japanese
日本語
(福音館書店)
1971
11/01
ピーターラビットのおはなし
         参考図書<*3>


 日本では1971年に福音館書店より日本語訳の ピーター ラビット 初版が出版されました。
そして1993年に ピーターラビット の絵本全24巻が完結しました。<*2>


日本語版
福音館書店

1971.11.1〜
日本語新版
福音館書店
1988.4.1〜
14X11cm 55p
新版(英語版は1987年)では細部までより鮮明なりました。
原画をより忠実に再現したそうです。


(余談)
1971年出版本タイトルに関し、ピーターとラビットの間にスペースが。(本中の出版案内にはスペース無し)このころは
「ピーター ラビット」と「ピーターラビット」を明確にしていなかったのかも?
現在はスペースを入れないのが普通です。 

 たまに困るのは検索サイトを使った時。
  「ピーターラビット」  「ピーター ラビット」  「ピーター・ラビット」 でそれぞれ調べると全く別のものと認識されることがあります。



「ピーターラビット」は日本一有名なうさぎとして子供のみならず大人にも人気が高いですが、その理由はいろいろとあるでしょう。
「石井桃子さんの日本語訳が優れているから」,「絵本の大きさが小型で子供の手に合わせて作られているから(これはポターの発案)」等々。
私見ですが、名前を諸外国のように”ピーターうさぎ”あるいは”うさぎのピーター”とせず「ピーターラビット」と1つの固有名詞にしたこと(日本人はカタカナ言葉が好き!?)と、”お話”とせずにひらがなで「おはなし」として優しいイメージを読者に与えたことも1つの要因ではないでしょうか。(実際のピーターはやんちゃでいたずら好きですが..)


ところで、実は日本でも”ピーターうさぎ”のタイトルがついている本が出版されていました。
(すべて絶版 もちろん内容はピーターラビットのおはなし≠ナす。)

 


ピーターうさぎ
講談社の幼年文庫 1977
ポター作 八木田宣子訳 大古剋己絵


ピ−タ−うさぎ 堀尾 青史 童心社 1979
ピーターうさぎのぼうけん 岸田 衿子 偕成社 1968
ピーターうさぎ 那須 辰造 講談社 1965
ぴーたーうさぎのぼうけん 光吉 夏弥 光文社 1956
        (敬称は省略させていただきました。)



  他では「山ねずみロッキーチャック」の中に出てくるうさぎの名前に”ピーターうさぎ”が使われていました。 (いばらやしきのピーターうさぎ)


 また、『ファミリア』と『キユーピー』の役割も大きかったのではないでしょうか。
特に、1975年に著作権許諾契約締結以来約200種類の「ピーターラビット」関連商品を販売した(参考:神戸新聞ニュース)ファミリアの、「ピーターラビット」を日本人に親しみのあるキャラクターへと育てた貢献度は高かったと思います。

現在、両者とも撤退した(せざるをえなかった?)のはとても残念です。

訂正1:『キユーピー』の社名は「キューピー」ではなく、大文字の「ユ」でした。
  
 キユーピーのピーターラビット≠ヘこちら



「ピーターラビット」の商標権をめぐる提訴合戦

        <ピーターラビット事件>

1976年   絵本「ピーターラビット(PETER RABBIT)」の著作権を持つ「フレデリック・ウォーン・アンド・カンパニー」(英国)と子供服製造販売会社「ファミリア」はそのキャラクターやロゴ使用に係わるキャラクター商品化契約を締結。

1999年10月   契約期間中に英国法人が別会社(ペンギンブックス社)の傘下に入り、新契約を結ぶ話し合いをしていたが、条件が折り合わず契約解除。しかし、ファミリアはその後も 「ファミリアがピーターラビットのロゴを商標登録(6種類)している」として絵柄を外して「ピーターラビット(PETER RABBIT)」のロゴを一時使用。

2000年4月  英国法人側はファミリアに対し、「ピーターラビット」のロゴ入りの商品製造、販売などの中止を求める(商標使用差し止め)仮処分を東京地裁へ申請。

2000年6月  日本でのピーターラビットの商標権を持つ「ファミリア」が絵本著作権者の英国法人・出版社「フレデリック・ウォーン・アンド・カンパニー」 と日本代理店「コピーライツ・ジャパン」を相手取り、「ピーターラビット」の名称を使った商品の製造販売が正当であることの確認を求めて、神戸地裁に提訴。

2001年12月  東京地裁は禁止を認める仮処分決定。

2002年12月  東京地裁は製造・販売の禁止と、損害賠償を命じる判決


追記(訂正済2):「H14.12.27 東京地裁 不正競争 民事訴訟事件 」の判決文によればライセンス契約は昭和51年(1976年)からだそうです。〕
裁判所ホームページ   http://www.courts.go.jp/ (3ヶ月以内ならば判決文閲覧可能)


      

  先日、県立図書館に久しぶりに行きましたが、ピーターラビット(ビアトリクス・ポター)関連の図書が児童書コーナーの書架に1冊も並べられていないのにはびっくり。アリス関連の本は何種類ももありましたが... 
数種類の蔵書は書庫に眠っていました。子供たちには興味が無いようです。将来、「ピーターラビット」なんか知らないよ!と言う人が増えてくるのでしょうか。



参考図書:
*1
復刻版ピーターラビットの絵本 発行:フレデリック・ウォーン社 輸入総販売元:福音館書店 1993
*2
おめでとうピーターラビット生誕100周年(ピーターラビット生誕100周年キャンペーン
事務局刊1993)
*3
A History of The Writings of Beatrix Potter, Leslie Linder著 Frederick Warne &
Co. Ltd. 1971
P.435-437



関連図書(The Beatrix Potter Society)こちら




☆ その他 <「図書館」より>

T.《 Frederick Warne & Co 》に関してはこちら
U.Beatrix Potterと Alice (ビアトリクス ポターと不思議の国のアリス)との関連図書の紹介はこちら

 







German French Latin

英語以外に学生時代の教養課程で習ったドイツ語・フランス語・ラテン語の本を集め
てみました。今見て(読もうとして)みると????(ドイツ語は2年間習いましたので
多少は理解できますが..)


ドイツ語とフランス語の辞書はまだ手元にありますので、いずれ挑戦したいと思います。







German French Spanish Russian
Dover Publications, Inc. New York
 (Illustrations by Anna Pomaska)

$1.00-$1.50ですので語学勉強には最適かも?








フレデリック・ウォーン社より初めて「The Tale of Peter Rabbit」が出版されてから来年(2002年)は
ちょうど100周年。何かが起こりそうな予感! 
(2001年7月)




PETER RABBIT 100 YEARS



 




資料館別館 目次へ

(C) 1999 Usapooh & Hey.



Peter Fantasy Village
Area Information


ピーターラビット ビレッジ
  


<大阪地方裁判所 民事訴訟著作権 2007(H19)/01/30
及び大阪高等裁判所 判決文より
>

 ライセンサーも〔ベアトリクス・ポター(Beatrix Potter)が創作した「ピーターラビットのおはなし」の日本における著作権が消滅した〕ことを認めており、本件絵柄を含む絵本の言語的部分及び絵画的 部分に係る著作権は、FW社が有していたが、平成16年(2004年)5月21日の保護期間満了により消滅し,現在これらはパブリックドメインに帰している。

ただ現状は...
...