台湾鉄道紀行 台湾新幹線開通前夜の在来線風景
page-6 台北のMRT(地下鉄)淡水線
■MRT(台北捷運=地下鉄)淡水線 台北車站→淡水

・台北からわずか160円で行ける美風景のミニ・トリップ

MRT「淡水線」の車両
 ▲MRT「淡水線」の車両

 台北の街にはMRT(Mass Rapid Transit)という地下鉄が走っている。2005年1月現在、6路線65キロが開通しており、今後さらに延伸する計画だという。

 地下鉄といっても市外地では高架上を走ることが多い。一部路線ではゴムタイヤ式車両による自動運転なども行われており、ガイドブックでは「新交通システム」と紹介されている場合もある。
 地元では「(台北)捷運」と呼ばれている。

MRT 淡水線MAP
 このうち「淡水線」は、台北中心部の中正記念堂駅を起点に台北車站を通り、淡水(Danshui)までの23・5キロを結ぶ路線である。途中の北投(Beitou)から新北投(Xinbeitou)まで2・8キロを結ぶ支線もある。

 台北〜淡水、北投〜新北投間は元々、台湾鉄道の「淡水線」という郊外の非電化のローカル線だったが、1988(昭和63)年7月に廃止。約7年半後の1996(平成8)年3月に、再びMRT線として生まれ変わらせたものだという。

 そうした経緯ゆえ、何となく乗車してみたい路線であった。

 台湾鉄道の台北駅とMRTの台北車站は、地下道で繋がっている。地下4階のホームから、平べったい顔つきをした青いラインのステンレス電車に乗り込む。

 車内はプラスティック製のクロスシート、ロングシートが千鳥状に配置されている。首都の地下鉄らしく、満員で座れない。

MRT淡水線の車内

 途中の民権西路(Minquan W.Rd)までは地下区間。4駅目の圓山(Yuanshan)から地上へ出た。高架線なので眺めが悪くない。日本とあまり変わらぬ郊外住宅地の景色が続く。

 新しい路線ゆえ、どこの駅もとかく近代的で美しいことには驚く。

 車内では、北京語、台湾語(ホーロー語)、客家(ハッカ)語、英語の順に4つの言語で自動アナウンスが行われている。多言語国家・台湾らしい一面を見る。ただ、北京語さえ理解できない身としては、時に何がなんだか分からなくなる。

 圓山を出て基隆川を渡ると、右手に巨大な中国式宮殿建築が見えた。著名高級ホテルの「圓山大飯店」で、とにかく目立つ建物だ。

 程なく劍山(Juanshan)に到着、駅近くに著名な「士林夜市」がある。次の士林(Shilin)は故宮博物館の最寄り駅。淡水線沿線には観光地が多い。
MRT淡水線 北投駅ホーム
 ▲MRT淡水線の北投駅ホーム

 士林から6駅、約10分で北投(Beitou)駅に着いた。細い鉄骨を格子状に組み合わせたホームは、凝った造りでいかにも都市交通の駅らしい。ここから新北投(Xinbeitou)へわずか1駅だけの支線が出ている。

 その昔、新北投は日本人男性客にとっては台湾で最も著名な温泉地だったという。今は、男女ともに健全な人気を集める首都の温泉街。支線への”乗りつぶし”も兼ねて行ってみたい気もするが、今日は先を急ぐ。

 復興崗(Fuxinggang)で左手に車両基地を眺め、關渡(Guandu)を過ぎると、淡水川が寄り添う。
 終点が近づくにつれ、次第に海のように大きくなってきた。車窓の変化が楽しい。

淡水駅ホームからの風景

 マングローブが生い茂る紅樹林保護区の中を走り抜けると、列車は終点の淡水(Danshui)に到着した。

 高架上のホームからは淡水河。対岸には、日本統治時代に「淡水富士」と呼ばれた端正な形の観音山。連なる山並みと裾野に開けた八里の街も見える。終着駅で美風景に迎えられると、乗ってきてよかったと実感する。

 駅を降りると、週末行楽客らで溢れかえっていた。台北市内ではあまり見なかった欧米系観光客の姿も目立つ。淡水には、オランダ統治時代の「紅毛城」などの史跡や観光魚市場といった見所が多い。

 駅前には、限りなく”海"に近い河口が眺められる「河濱公園」がある。行ってはみたが、風が強く雨も落ちてきた。台湾とはいえ、冬の雨は寒い。
MRT淡水駅 駅舎
 ▲紅毛城をモティーフにしたという淡水駅者

 渡船に乗って対岸に渡ってみたいという強い思いを抑え、やむなく台北に戻ることにした。

 台北車站から淡水まで35分、料金はわずか45元(約160円)。車窓もよく、観光地も多い。台北からの鉄道ミニ・トリップには最適な路線だった。


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