台湾鉄道紀行 台湾新幹線開通前夜の在来線風景
page-5 雨の蘇澳と台北行の自強号
■東部幹線/宜蘭線 蘇澳→台北行 特急「自強1019号」
蘇澳駅 駅舎
 ▲独特の丸みを帯びた蘇澳駅駅舎

・雨に濡れた「台湾のナポリ」にて

 蘇澳(Suao)駅の構内には10本近いヤードが見えるが、わずかばかりの貨車や古い客車などが留置されているだけで寂しい。日本同様に貨物の扱いが減ってしまったのだろうか。

 ホームでそれらを瞥見していると、すでに駅出口が閉め切られていた。駅員は少し怒り気味に、駅務員室を通って駅の外に出るようにと言った。台湾の鉄道駅は出入口が明確に分かれていることが多い。

蘇澳駅の改札口
 ▲蘇澳駅の改札口
 緩やかな曲線を描く独特の駅舎を眺める。駅前にはライオンズクラブが建てた小さな塔とセブンイレブン。

 何やら日本の小都市駅前といった雰囲気がある。

 駅舎の上にはためく青天白日満地紅旗と、駅横にある軍用品専門店がなければ異国という感じがしない。

 蘇澳は台湾のナポリとも言われる美しい港町。天然炭酸冷泉が有名であり、日本統治時代にはラムネ工場があったという。駅近くには冷泉が湧き出る公園や公共浴場もある。

 それらを巡ろうと歩みを始めた途端、強い雨が降ってきた。冬の台湾は少雨だと聞くが、ここ1週間の天気予報は曇りと雨ばかり。それに寒い。どこへも行く気がしなくなってきた。


蘇澳に停車中の自強号
 ▲雨の蘇澳に停車中の自強号

・長大編成の「自強号」でも満員の人気

 窓口で次の特急「自強号」の切符を購入。台北へ戻ることにした。

 10時15分、蘇澳駅始発の台北行「自強1019号」は、先頭車が流線型になった電車を使用。いかにも速そうな感がある。

 欧州などでよく見る両端に動力車をつけたプッシュフルタイプで、最高速度は130km/h。南アフリカ製の動力車2両と韓国製のステンレス製客車が12両。計14両の長大編成だ。

 車両によってシートの色が違うものの、車内は非常に明るい。座席は2人掛け。足置きもあるリクライニングシート。かなり深く倒すことができるが、昼間から前席の客にやられたら辛いものがある。
自強号の車内
 ▲自強号の車内は明るい

 列車は主要駅のほとんどに停車し、乗客を拾っていくためスピードはそれほど速く感じない。

 宜蘭を過ぎると座席が全部埋まった。土日の優等列車はとかく混雑する。

 指定席が取れなくとも、立席承知なら乗ることができるし、台北駅前後の都心区間では、普通運賃だけでどの列車にも乗車が可能だという。終点の台北が近づくにつれ、デッキに立つ客が多くなってきた。

 蘇澳から約2時間超で台北駅に舞い戻る。初めて乗った「自強号」。
 旧型客車の旅があまりにも感動的だったせいか、それほど感慨深いものはなかった。同じ車窓を二度見た影響もあるのだろう。

台北駅に着いた自強号


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「台北のMRT(地下鉄)淡水線」
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