台湾鉄道紀行 台湾新幹線開通前夜の在来線風景
page-2 台北駅へ。台湾鉄道の基本を知る
 台湾に滞在できる時間はわずか2日間。まず、何をおいても東部ののんびりとした風景の中を走る旧型客車を使った鈍行列車に乗りたい。

 今日(2005年1月8日)現在、台北駅から東部方面へ向かう列車の中で、旧型客車を使っているのは早朝2本と昼間1本、夕方1本の計4列車だけである。そのうち早朝2番目、台北6時15分発の蘇澳(Suao)行に乗ることにし、西門町のホテルを出た。

台北駅(台北車站)
 地上6階建ての台北駅舎は、巨大な中国式宮殿のようだ。首都の中心駅らしいこの大駅舎は、1990(平成2)年5月の建築なのでまだ日が浅い。これで列車が地上を走っていれば絵になるのだが、残念ながら1989(平成元)年に地下化されてしまったという。

 駅構内には、おなじみの「セブンイレブン」もあり、早朝から弁当やパンなど日本と変わらぬものを売っている。早速、日本より少し小ぶりなサンドウィッチ(「三明治」=サンミンジーと言う)と「九州有明産海苔使用」と書かれたおにぎりを購入。おにぎりの味は変わらないが、サンドウィッチの具に少し甘みがある。
台北駅構内の切符売場

 20ほどの窓口がずらりと並ぶ台北駅の切符売場。「東部幹線 今天」(今日との意)と書かれた窓口で、行先と往復の列車名を書いた紙を差し出す。

 初老駅員から中国語で何か伝えられ、出てきたのは往路の平快(普通列車)の小さな乗車券だけ。土日の優等列車は大変混雑すると聞く。復路も早めに買っておきたかったのだが、意思疎通がままならない。やはり、ここは異国である。


特急「自強号」と急行「呂(きょ)光号」
・台湾鉄道の列車は6種類、運賃は日本の1/3

 さて、台湾の鉄道は、列車種別ごとに運賃が決まっており、日本のように特急券や急行券といったものは存在しない。

 その運賃の安さが特徴で、日本のJRに慣らされた身には、実に有難く感じる。
 例えば、台北から高雄まで(約375キロ=東京〜名古屋間に相当)を最も高い「自強号」でも片道845元(2005年1月現在)、日本円で3000円程度だ(1元=3,5円で計算、以下同じ)。「復興号」だと2000円弱で済む。

 JRなら運賃と指定席特急料金を合わせて9000円以上は取られる距離。鉄道運賃に関しては日本の1/3程度なのである。

 列車種別は6種類ある。
 ランク順に「自強号」(特急)、「呂(きょ=本来の字は「呂」の上に「草冠」が付く)光号」(急行)、「復興号」(準急)の3種類が全車指定席で運転されており、日本で言うところの「優等列車」だといえる。

 以下、「電車(通勤電車)」「平快」「普通」となり、これらが日常的な通勤や通学などで使う列車である。
 このほか、非電化ローカル線の列車には「冷気紫客」(「紫」はディーゼルの意。すなわち「冷房ディーゼル車」)という種別があるので、厳密には7種となる。

・旧型客車の「平快」「普通」は廃止の運命
準急「復興号」と普通電車(各駅停車)


 一方、運賃形態は4種類だ。
 特急の「自強号」が最も高く、次が急行の「呂光号」という順序で、その下は、準急「復興号」と「電車(通勤電車)」「冷気柴客」が同じ運賃。最も安いのが「平快」「普通」である。

 急行「呂光号」以下の運賃は、冷房の有無だけを基準としている。
 暑い国ではままあるケースだが、窓に背を向けて座るロングシートの「通勤電車」と、二人がけリクライニング座席車の準急「復興号」が同じ運賃というのは、私にはどうも解せない。これは、日本の鉄道マニア的な感覚なのだろうか。

 最下層ランクに位置する「平快」と「普通」は、「平快」が少しばかりの小駅を通過する位で、違いはあまりない。
 いずれも古い客車を使用。スピードは遅い。一昔前、日本国鉄で走っていた長中距離「鈍行列車」を思い浮かべるとよい。日本と同じく、近い将来この種別は完全に消えてしまうと思われる。

 これから乗る東部幹線・宜蘭(Yilan)線の蘇澳(Suao)行「平快191列車」も明日限りで廃止され、以後、この路線から「平快」「普通」はほぼ全てが消えてしまう。私にとっては、最初で最後の乗車になるだろう。


文中の「特急」「急行」「準急」は筆者の価値観で付したものであり、台湾鉄道にそうした称号は存在しない。本稿では、列車名の理解を容易にするため、便宜的に使用する。

上記情報は2005年1月現在のもの。


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平快191列車(その1)「 『旧客』の平快で東部幹線へ」
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