台湾鉄道紀行 台湾新幹線開通前夜の在来線風景
page-1 「新幹線」開通前夜の台湾へ
台湾行の飛行機から
 中華航空「チャイナエアライン」109便は、成田空港から約3時間半で台湾の中正国際空港に着陸。「当機は蒋介石(しょうかいせき)国際空港に到着しました」という機内アナウンスが、たどたどしい日本語で流れた。「中正」とは台湾の初代総統・蒋介石の本名のようである。

 機外に出ると、湿った空気が体にまとわり付いてきた。空港に降り立ち、異質の空気を吸い込む瞬間が好きだ。そして、ロビーの香りも空港それぞれに違いがあり、これも楽しみの一つ。ここは1月だというのに冷房が入っており、冷気独特の人工的な香りが充満している。

 台湾にやってきた目的はただ一つ、この「国」の鉄道に乗るためである。

台湾島 位置図
 日本の九州よりひと回り小さい台湾には、島をぐるりと一周する形で鉄道が通じている。3つのローカル支線なども含め、路線の総距離は1060キロに上る。

 治安が悪くないので純粋に鉄道旅行が楽しむことができ、且つ、韓国や中国大陸のように嫌日的な雰囲気も感じられない。繁体字の漢字を使っているので、何となくではあるが意味は分かる。
 中国語(北京語)での読み方が理解できなくとも、最終的には筆談という手もある。

 時差は1時間。日本からも近く、成田から飛行機で3時間半という距離も適当でいい。

 私のような日本人鉄道マニアにとっては、最も旅しやすい国であるように思える。

 今年(2005年)の秋には、ついに台湾にも初の高速鉄道が開通することになっている。日本の新幹線700系「のぞみ」型車両や技術をふんだんに取り入れた台湾版の新幹線となる。
 これは実に嬉しいことだが、我が国や隣の韓国がそうであったように、「新幹線」の開通は在来線中心の鉄道体系を大きく変えてしまう。その第一段階とも言えるのだろうか、古い旧式の客車(以下、「旧型客車」)を使った鈍行列車が、明後日(2005年1月9日)限りで大幅に廃止される予定だという。

 台湾で観光とかグルメを楽しもうなどと考えている暇はない。まずはこれに乗らねばならない。

 そのような訳で、インターネットを駆使して探し出したフリープランの格安ツアーに申し込んだ。1月の三連休中としては破格だったが、空港からホテルまでは団体で送迎バスに乗るという条件が付されていた。

                ◇           ◇          ◇

 到着ロビーで現地添乗員を探し出し、他の参加者の到着を待つ。同じ飛行機で着いたはずだが、遅い。
 不機嫌指数が最高潮になり始めた頃、ようやく最後の参加者が現れ、バスに移動。
 マイクロバスにでも詰め込まれるのかと思っていたら、わずか10数人にもかかわらず、二階建てバスに案内された。一転して機嫌良好になり、2階席の一番前に座って満悦な気分で景色を眺める。我ながら単純だと思う。
麺屋で遅い夕食

 中正空港から台北市内までの距離は約42キロ、平常なら1時間程度で着くが、週末や朝夕の渋滞時には2時間近くかかることもあるという。今日は金曜日。我らがバスは渋滞に巻き込まれ、2時間以上かけて市内へたどり着く。

 「両替所」と称する日本人向け土産店へ連行された後、全参加者の宿泊ホテルをグルグル巡る1時間の旅。中正空港到着は18時15分だったのに、すべてを終えて「釈放」されたのは夜の10時過ぎであった。
台湾の鉄道時刻表

 格安ツアーゆえ仕方ない、二階建てバスに乗れたからいいじゃないか、などと自らに言い聞かせ、ホテル前の安食堂で遅い夕食。
 沖縄そばに極めて類似した牛肉麺をすすりながら、小さな台湾鉄道時刻表を片手に明日の予定を練る。

 翌朝は早い、と頭では理解しながらも、コンビニエンスストアで買った台湾ビールを飲みながら、ホテルの部屋で時刻表を再度精読。まだ知りえぬ列車や風景を想像して至福の時間を過ごす。



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「台北駅へ。台湾鉄道の基本を知る」
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