旅日記のコーナーです。

さよなら東海道新幹線100系車両、個室グリーン車
2003/8/8更新 (第21回)

 こんにちは。暑い日々が続いております。かなり久しぶりの更新となりました。

 この夏、帰省で大阪に帰る機会がありました。さすがに青春18きっぷで帰る元気もなく、かといって「ぷらっとこだま」も幾度も使ってしまったので、今回は「京の遊々きっぷ」の「こだま号グリーンプラン」というものを使いました。
(※残念ながら「こだまグリーンプラン」は10月改正時、廃止になりました)
 東海道新幹線こだま号のグリーン車(個室可)で東京−京都間が往復でき、値段は20,000円という『お値打ち』切符です。しかも京都市内観光用に京都観光1日乗車券まで付いてきます。

東京駅に進入する100系新幹線
 ▲9月で東海道新幹線から廃止される100系

 
この切符を使ったのは、安いのもありますが、もう一つ、この夏で廃止される新幹線100系の個室グリーン車に乗ってみたかったのです。
 この秋(2003年10月)、新幹線品川駅の開業により、ダイヤが白紙改正されますが、270km/h運転のできない100系車両は、東海道新幹線からは廃止されることになっています。

右が100系車両。左は300系。
 ▲改正後はすべて300系(左)以後の車両になる
 100系車両は国鉄末期の1985(昭和60)年に登場しました。先頭車両の斬新なフォルムと、新幹線初の2階建て車両を連結し、個室を設けるなど、当時は驚きと憧れをもって眺めていたのを思い出します。

 しかしその後に開発された新幹線車両では、スピードアップこそ実現したものの、食堂車も個室もなく、飛行機と何ら変わらない面白味に欠ける車両ばかりが幅を利かせています。
横から撮った2階建てグリーン車
 ▲2階が開放式グリーン車、1階が個室

 そのような訳で、個人的には100系車両に深い思い入れを持っており、最後のこの機会に是が非でも乗ってみたいと思っていました。

 秋の改正を前に、100系車両は6月から順次、定期運用から外されつつあり、8月まで定期列車で走っている「こだま」は東京を15時13分に出る「こだま425号」1本だけという状態でしたが、何とかそれに乗ることができました。

 
1階個室グリーン車の通路
 ▲1階通路に各個室のドアが並ぶ
2階部分が開放式の一般グリーン車で、グリーン個室は1階部分にあります。
 1〜4人用まであり、1人用は豪華な電動チェアと机が装備され「走る書斎」という雰囲気です。3〜4人用は広くて景色も見やすく、家族での旅行に適しているためか、小さな子どもを連れた方が利用されていました。
三人用個室
一人用個室
▲上:3人用個室、下:1人用個室

 車内に乗り込むと、車掌がカード式の鍵を持ってきてくれます。東京と大阪間という短い区間なのに、何やら個室寝台車に乗るかのような旅の雰囲気です。

個室カードキー
 ▲個室のカード式キー

 15年以上も使っているためか、室内はさすがに古さを隠し切れませんが、狭い場所に座席やテーブルなどをコンパクトに上手くまとめた感じがあります。また、個室ならではのラジオや電話も付いています。

個室にあるラジオなどのコントロールパネル
 ▲コントロールパネルと電話機

 大阪までの4時間、個室ということもあり、好きな時に寝て、好きな時に音楽を聞いて、追い抜かれるための停車時間では、売店に買物に出かけ、非常にリラックスできました。

 東海道新幹線は、飛行機とのシェア争いを繰り広げています。
 その争いに勝つためには、利便性とスピードアップ、そして大量輸送が重要になってきます。個室などは邪魔な存在でしかないのかもしれません。
スピードメーター
 ▲かってのカフェテリア跡には、
 おなじみのスピードメーターも

 しかし、欧州では高速鉄道にも個室なりコンパートメントがあり、子どもの遊ぶスペースまで付いている車両があります。
 日本の新幹線にも、2階建て車両や個室グリーン車などのゆったりできるスペースを確保して、車内を楽しめる空間として残しておいても良いのではないでしょうか。それが鉄道の良さであり、飛行機にはない魅力だと私は思います。

 100系新幹線、個室グリーン車の廃止は、東海道新幹線の車両が一段と画一化していくようで、言い様のない残念さを感じます。


▼関連内容
2003/12/12 「片道8400円!? 『のぞみ』で東京−京都 日帰りの旅」
2002/12/25「片道1万円『ぷらっと』行く東海道新幹線こだま号の旅」



▼前回5/5 「初島、清水「塚間の渡し」、江ノ島−3つの小さな船旅」 を見る▼


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