こんにちは。今年は少し短いゴールデンウィークをいかが過ごされましたでしょうか。1ヶ月ぶりの更新となりました。
前々回のこのコーナーでは、神奈川県の猿島へ行った時のことを書きましたが、私は鉄道紀行とともに、船の旅も非常に好きで、今は近所から少しづつ出かけています。
そのような訳で、今回は鉄道とは直接的に関係のない話題ですが、この1ヶ月間に出かけてきた船を使った3つの小さな旅について書いてみたいと思います。

▲相模湾に浮かぶ小さな島「初島」 |
静岡県・初島への船旅
初島は相模湾の沖合10キロに浮かぶ人口わずか約240人が住む周囲4キロ程の小さな島ですが、バブル時代に大規模リゾート開発計画が持ち上がり、1994年に大型高級ホテルの「初島クラブ」がオープンしました。今ではリゾート島として有名かもしれません。(つい最近では、海底ケーブルが切られ、島全体が停電になったことが大きく報じられてもいました)
そんな訳で、個人的には「初島は金持ち遊び島」という印象をずっと持っており、わざわざ船旅で行くべき所ではないような気もいていましたが、やはり実際に行って実態を見ないと気が済まなくなり、出かけてみました。
初島へ行く航路は、熱海駅からバスで約10分の熱海港から1日7〜10往復の便が出ています。(伊東港からも1日2〜3往復の船便があります)
富士急行系列の船会社が運航を担当しており、運賃は往復2340円、片道約25分の船旅です。
「イル・ド・バカンス」という名のフェリーは、いかにもリゾートへ行く船といった感もありますが、2隻あるうちの「イルドバカンス2世」号は少し古いためか、島への「連絡船」という雰囲気も残っています。
所々に廃墟も目立つ熱海の街を後にしたイルドバカンス号は、遠くに伊豆大島の島影を見ながら、海原にポツリと浮かぶ小島を目指します。
実際の乗船時間は20分程度なので、それほど遠くの島へ行ったという感じはないのですが、初島港に降り立つと、海底まで見通せるほどの透き通る海に歓声を上げる人も多く、「ここは離れ小島なんだなあ」と実感もできます。
初島へ渡る乗客の多くはリゾート施設の「初島クラブ」へ行く人なのですが、海釣り目的やビジネス(工事?)関係とおぼしき背広の人も見かけました。
港には、初島クラブへ行く人専用のバスが迎えに来ており、その人たちが行ってしまうと、港の付近は一気に静かになりました。

▲初島港へ到着した「イルドバカンス3世」号 |
島の大半は「初島クラブ」の関係施設となっていますが、住民の居住や民宿、食堂街地域は港の周辺というように、リゾート部分と居住地域は完全に分離しているようです。
海を眺めながら、密集した家々の付近をボーっと散策していると、まったくリゾート島という感じがしません。
リゾート目的ではなくとも、蒼い海と小さな船旅を楽しみたい時にはふらりと訪れるのも悪くない小島でした。
静岡県・清水「塚間の渡し」
「塚間の渡し」なる航路の存在を知ったのは、JTB時刻表の【静岡観光汽船/エスパルスドリームプラザ−塚間(貝塚)/7:00〜19:00/30分毎/所要15分/280円】という小さな記述からでした。
「静岡観光汽船」(その後エスパルスドリームフェリーなる社名に変更)という会社が運航しているものの、毎日に定期的に運航し、時刻表に載っているところから見ると、生活路線に違いありません。
一体、どのような航路なのか見たくなり、清水まで行ってきました。

▲清水港にある商業施設
「エスパルズドリームプラザ」 |
「塚間の渡し」はこの航路の通称名で、清水市(この4月1日に合併し、静岡市の一部になりました)の日の出地区・清水港と三保半島の工業地帯・塚間を結ぶ巡航船です。
発着地として時刻表に記載されている「エスパルスドリームプラザ」は、清水港にある商業施設の名称で、JR清水駅からバス約10分、無料シャトルバスも走っており、気軽に行くことができます。
ドリームプラザのすぐ近くには、小さな待合所と桟橋がひっそりとあり、生活航路らしく古い自動券売機で切符も売っています。
しかし乗客は他には誰もおらず、小さな船は貸切り状態。
「いつもあんまり乗ってないんですよ」と若い運転手。
この「塚間の渡し」は、鎌倉時代からの歴史があり、かっては御穂(みほ)神社や三保の松原へ詣でる人で賑わっていたそうです。

▲造船所を見ながらのんびり船に揺られる。 |
今は造船などの工場従業員らの貴重な通勤手段となっているようですが、造船業の衰退などもあり、乗客も年々少なくなっているそうです。
清水港(ドリームプラザ)から塚間まではわずか10分ちょっと。晴れていれば富士山も眺められるのですが、今日は曇天。少し油の匂いも漂う工業地帯の海をのんびり船に揺られます。

▲常夜灯と鳥居跡が残る塚間桟橋 |
終点の塚間桟橋は、工場のクレーンに囲まれた小さな乗り場と、今にも壊れそうな待合室。この場所だけ昭和30〜40年代で止まっているかのような光景です。
桟橋の前には常夜灯と鳥居の跡が残っており、ここがかって御穂(みほ)神社への参道として賑わっていたことをうかがわせます。

▲塚間桟橋から徒歩約20分の三保松原 |
今では沿道に案内板さえなく、渡し舟を使った参道はもう機能していないように思えますが、御穂神社や三保の松原へは、道に迷いながらも20分ほど歩けば行くことができます。
渡し舟から見える工業地帯の風景は、決して美しくはない景色なのに、なにかどこかで見たような懐かしさを感じ、胸に染み入るような10数分間の船旅を楽しめた気がしました。
※2004年4月1日から清水駅近くの江尻まで航路が延長された。時刻表など詳細はこちら。
江ノ島「遊覧船べんてん丸」(境川〜岩屋)
3つ目は船旅という大袈裟なものではない気もしますが、案外、便利で面白かったので書いてみます。
江ノ島へは橋がかかっているので、渡し船などない気がしていたのですが、江ノ島弁天橋を渡る手前の片瀬川河口付近から「江ノ島観光遊覧船べんてん丸」という船が出ています。
観光船とはいえ、遊覧する目的よりも、江ノ島の最奥地「岩屋」まで7分ほどで結ぶ“渡船“としての役割が強くなっています。片道大人300円、不定期で主に休日の昼間だけの運航なので、時刻表などにも載っていません。元地元の漁師風の老人が切符販売から船の運航までを担当しています。
江の島の大橋を渡って行くと、陸続きのような感じがして多少面白味にかける江ノ島ですが、この船に乗ると、わずか7〜8分とはいえ「島なんだなあ」と実感できます。小船なので多少の揺れや水飛沫もかかり、それも良い雰囲気です。
また、江ノ島に着いてから同じ道を2度通らなくて良いという利点もあり、スピーディーかつ変化に富んだ江ノ島観光も楽しめます。(あの「エスカー」と言う名の有料エスカレーターなど利用せずとも逆まわりだと下り坂なので楽です)
もし江ノ島の入口で「本日運航中」の看板を見かけたらぜひ一度、お試しを。
※べんてん丸情報はこちら(トラベルニフティより)
以上、今回は3つの小さな船旅について書いてみました。
▼関連内容
2004/11/24 「冬直前の島旅。夜行船に乗って伊豆大島・新島へ」
2003/2/23 「週末にぶらり海を旅する。都会の中の無人島『猿島』」
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