旅日記のコーナーです。

鉄道復権へ。路面電車と「LRT」から広がる大きな夢
2003/2/16更新 (第17回)

 こんにちは今月は2回目の更新です。2月も中旬になって、東京ではようやく日が長くなったり、日中は暖かい日も多くなってきました。

 今日のお話は鉄道旅行には直接的な関係はなく、しかも私にとっては門外漢の分野なのですが、ちょっと書き残しておきたいと思います。

 最近、鉄道の旅がブームになっているのでは?…ということは前回に書きましたが、旅だけではなく、車社会の見直しや環境面といった観点から鉄道自体が復権しつつあるのを最近は強く感じます。

 一種の全国的なブームともいえるのが、路面電車を核に街づくりを推進していこうという動きです。
 現在、路面電車が残っている都市はもちろん、かって路面電車が走っていた都市やこれまでなかった都市も含め、全国各地で市民や行政が路面電車を新設や復活(あるいは増強)させようという動きを活発化させています。

 特に注目されているのが、「LRT(Light Rail Transit)」や「LRV(Light Rail Vehicle)」といった新しい公共交通システムです。
 すでに言葉はご存知の方も多いかと思いますが、LRTはライトレールトランジットといい、高速車両でバリアフリー、人と環境に配慮した新しい路面電車の形として、
環境対策を重視する欧州などでは積極的に取り入れられています。
熊本市交通局の低床車両
 ▲熊本市交通局の低床車両
 「LRV」は超低床の軽快電車のことで、すでに広島電鉄熊本市交通局鹿児島市交通局、高知の土佐電鉄、愛媛の伊予鉄道岡山電気軌道函館市交通局など全国の路面電車で導入されつつあります。

 LRTの定義は「数両の車両を連結し、主として専用の軌道上を走行し、2,000〜15,000人/時間程度を輸送できる中量輸送機関」であり、「路面電車をベースに改良・発展した新しい交通システム」
(※)というもので、かって路面電車の弱点であった「遅さ」や「渋滞の原因」などを克服したことにより、欧米各地では従来の路面電車やバスなどに代わる新交通機関として次々と整備されつつあります。

[※路面電車と都市の未来を考える会編著「路面電車とまちづくり」1999年学芸出版社発行より引用]

 そのLRTで走るのがLRV(超低床車両)という組み合わせが最適なのですが、日本ではLRV(車両)は導入されつつあるものの、LRT(システム)自体が新たに導入された地域はまだないというのが現状です。
 そんな中、全国各地では、「LRTを新設して街を活性化させよう」「既存の路面電車を見直そう、LRTへ発展させよう」という機運が盛り上がっているのです。

 過日、全国でそういった活動をしている方々のお話を聞く機会に恵まれました。
 岡山、高知、札幌、福井、高岡と既存の路面電車を活性化させようという街の方だけでなく、路面電車がすでに廃止されたものの、再び新しい形での復活を願う京都、川崎といった街の方を含め、路面電車の現状や今後のあり方などを巡り、全国から集まった人々が議論を行いました。

 新路線整備や別路線乗り入れで活性化を模索する所、各種「抵抗勢力」に反対されながらも、市民に理解を得ようと地道な努力している所、廃止の危機を市民の熱心な運動で救った所、地方から東京へ出てきて政治的ロビー活動をする所、路面電車整備の専門的知見や政策を役所に提供したり、路面電車整備の全国経営モデルを研究する所など、それぞれの地域で熱心に路面電車対策を盛り上げている方々のお話は、非常に感銘を受けるものでした。

 もちろん「今すぐ全国で次々と路面電車(LRT)が推進されていく」という段階までは至ってはいませんが、東京都江東区では貨物線を使ったLRT整備構想(亀戸〜新木場)<※1>が本格化し、計画が実現しそうな情勢です。つい最近では東京都豊島区でも池袋〜雑司ヶ谷間のLRT構想※2が発表されるなど、新たな動きもあります。
 江東区と豊島区のケースは行政(役所)主導ですが、役所だけでなく市民の側から主体的に路面電車の推進や復活の目指す運動が盛り上がっているという現状は、行政も巻き込んで、さらに大きなうねりとなって全国を駆け巡るような気がしてなりません。
 かっては道路の邪魔者扱いされ、次々と廃止されていった路面電車が、復活ノスタルジーではなく、未来の公共交通として見直されているのです。

 なぜこの話題を書きたかったのかというと、一つは鉄道の路面電車が見直されているという現状をお伝えしたかったのと、もう一つは、私が常々疑問に感じてきた車社会がようやく「よくないこと」「改善すべきこと」として捉えはじめる空気が出てきた、ということを書いておきたかったのです。

 車社会への批判については、これは今ここで気軽に書けるものではありませんが、最近高まってきた無駄な道路の建設批判(政治的や収支的な批判が多いですが)や排ガス規制などの環境重視政策への転換、これから迎える高齢化社会への対応政策などを見ていますと、車社会が良とされる時代がようやく終りつつあると私は思うのです。

 個人的な乗り物である「車」が走る道路ではなくて
、老若男女、免許の有無に関わらず(はたまた飲酒してても…)誰でも気軽に使える真の公共交通機関が整備されるような時代になってほしいと願っています。

 その真の公共交通機関が鉄道であることと、そうであっても、国鉄時代の政治的な「我田引鉄」の失敗を繰り返さないことも同様に強く祈念する次第です。


<※1>
■東京都江東区のLRT計画
 区内を南北に結ぶ交通を都営バスに頼る江東区が、新しい公共交通機関として、同区内南北に走るJR東日本所有の越中島貨物線などを使い、LRT整備をしようとするもの。構想では区内の亀戸〜新木場(6,3km間)に途中10駅を作り、約12分で結ぶ計画となっている。現在、最終検討段階に入っている。
 同計画に関する情報は江東区サイト内「江東区LRT基本構想策定調査報告書」を参照。なお、2003年12月、同区はこのLRT構想に対し「早期の具体化には課題も多い」とし、長期的な構想として位置付けた。詳細は江東区サイト内「LRT事業構想の評価と今後」の参照を。

<※2>
■東京都豊島区の池袋〜雑司ヶ谷間LRT構想
 池袋駅東口から都電荒川線の雑司ヶ谷駅まで約1kmにLRTを走らせようとする計画で、豊島区が「池袋副都心再生プラン」の中に盛り込んだ。2004年3月までに計画を策定する予定だという。2003年2月7日付の新聞各紙で一斉に報道された。
 同計画に関する情報は豊島区サイト内「池袋副都心再生プラン」(2004年4月)中の5−1「プランA LRT(最新鋭路面電車)導入とグリーン大通りの整備」
[pdf]の項参照を。


▼前回2003/2/2 「素直に喜べない…『鉄道の旅』ブームがいよいよ到来?」 を見る▼


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