東海道本線 青春18きっぷの旅
page-1 新幹線より速い? 関西の新快速電車
関西の「新快速電車」
 ▲ 新快速電車は大阪−京都を27分で結ぶ

 2002年の新年早々、実家の大阪から自宅の東京まで、東海道本線の普通列車で旅することになった。

 大阪から東京まで約550キロ。東海道新幹線「のぞみ」号ならわずか2時間半で結ぶ日本の大動脈だが、普通列車で行くと幾度も乗り換えを強いられ、8時間近くもかかってしまう。

 「金なし暇あり」の学生時代は「青春18きっぷ」を握り締めて幾度も乗った路線。

 それから幾つもの年月が過ぎた。生まれ育った大阪を離れるとは思わなかったし、関東の人と結婚し、再び東海道を「移動」する機会に巡り合えるとは思いもつかなかった。そして、あれだけ嫌いだった東京に住むことになるとは想像さえしなかった。

 人生の転機、少しだけ昔を懐かしんでみたい気もして、あの頃とは少し変わってしまった「青春18きっぷ」を手に早朝の大阪駅に立った。少し億劫な気もよぎるが、懐かしい普通列車の旅にどこかワクワクする。
大阪駅駅名板

 案外知られていないが、東海道本線の起点は神戸である。
 その神戸よりさらに西、姫路から走って来た「新快速電車」の長浜行に乗る。

 大阪の次の駅、新大阪を出た列車は、普通列車や快速列車を次々と追い抜きながら京都へと猛進する。かっては当然のように乗っていた「新快速」だが、関西を離れてみるとその速さに少し驚く。最高時速は130キロだというから山形・秋田新幹線の「つばさ」「こまち」並みのスピードで走る「通勤電車」ということになる。
大阪−名古屋間のMAP

 「なぜ、こんなに速く走れるの」と驚く妻の声に、「関西の鉄道は優れているからだ」と自分のことでもないのに誇らしげに答える。

 輸送量確保と私鉄や地下鉄への相互乗り入れによる利便性追求の関東に比べ、関西はJRと私鉄のスピード競争が激しい。首都圏と関西では人口密度の違いもあろうが、この弾丸のようなスピードは、せっかちな関西人気質を表しているようにも感じる。

新快速電車の車内
新快速の車内。草津を出ると空いてくる
 吹田や茨木、見慣れた大阪近郊の街並みが流れ、高槻に停車。遠目に天王山の姿とサントリーの山崎工場が見えると、そこからは京の地となる。列車は相変わらず高速で京都のベッドタウン、長岡京、向日市内を走り抜ける。

 大阪を出て27分、左手に梅小路蒸気機関区、正面には巨大な京都駅ビルが迫る。黒く平べったい京都の街並みに、異質な銀色の巨塔がそびえる京都駅に到着した。かっての京都駅が嘘のような近代的高層ビル。今更言っても遅いが、高い建物は京都タワーだけで充分な気もする。

列車は京の街並みを見る暇もなく、あっという間に鴨川を渡り切り、東山トンネルを出て山科駅に停車。今度は滋賀との国境、新逢坂山トンネルに入った。長いトンネルもこの列車なら短く感じる。大津を過ぎると、琵琶湖の姿も見える。湖面が静かに波立ち、朝の光で輝いている。滋賀県に入ったことを実感する。新幹線なら景色を見る暇もなく、今ごろ寝ている頃だろうか。
車窓からの近江の風景
 ▲ 単調な風景だが、今日は雪景色

 草津を過ぎ、単調な近江の田園風景の中を走る。いつもなら少し退屈な区間だが、昨日から降り続いた雪のせいで、東へ向かうごとに雪景色になっていった。

 このスピードで雪景色。北海道の特急「スーパーホワイトアロー」に乗っているような錯覚に陥る。

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