北海道 終着駅の旅 稚内
〜この冬、列車の旅をしてみませんか〜

宗谷本線・稚内駅

旭川駅で
 冬は海と夜汽車だけでいい


 夜11時59分、旭川駅1番ホームに札幌からやってきた稚内行急行「利尻」が到着した。
 札幌帰りの乗客が急ぎ足で降りてくる。

 酒の匂いが漂う薄暗い車内には、最果てへ向かう人々の寝息が響く。夢を見ているうちに違う土地へ運んでくれる夜汽車は素敵だ。

 午前0時半に出発。車内の電灯が落とされ、真っ暗になると、いつの間にか眠りの中に誘(いざな)われる。
稚内駅
 まだ夜が明けない早朝6時、終点の稚内に着く。これ以上先へは進まない安心感からか寝起きの悪い乗客はまだ降りてこない。最北の終着駅、稚内ならではの光景だ。

 駅前に降り立つと、毎日客引きをしているという駅前旅館の老主人に出会った。
 「この時期、観光客も少ないし何も見るものがないよ」と市の観光ボランティアも勤める老主人の言葉。ただ、稚内の外れにある抜海(ばっかい)の港ではゴマフアザラシの群れが冬だけ見られ、密かな観光地になっているとのこと。

 駅を出て10分ほど歩くと稚内港のシンボル「稚内ドーム」に着く。異国サハリンへ続く海峡をぼんやり眺めていると、それだけで稚内へ来た意味があったような気がした。

 夜汽車と海、冬の稚内へ行く目的はそれだけでいい。

(1998年1月掲載)

写真:(上より)旭川駅に到着した急行「利尻」、
稚内駅の最果てのレール。

稚内MAP
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