韓国鉄道紀行
page-2 市内地下鉄とソウル駅
韓国の原宿「明洞(ミョンドン)」
 韓国の原宿「明洞(ミョンドン)」の様子
 到着してから2日間、連日焼肉やビビンバなど韓国料理を食べ歩き、夜は怪しげな日本人観光客向けのショーとカジノ、昼は東大門、明洞(ミョンドン)といったソウル市内必須の観光地に足を運んだ。

 韓国鉄道に乗るための長いイントロダクションを過ごした。

  3日目の朝6時半、ホテル隣のコンビニで買った携帯食品を食べながら地下鉄駅までの道のりを歩く。朝早くに開いているのは、日本と同じくコンビニだけのようだ。
 地下鉄の駅まで歩いて10分。安いツアーのせいかホテルの場所があまり良くない。

 朝の通学がもう始まっているらしく、バス停では制服姿の中高生らの姿が目立つ。すべてハングルで記されたバスがやってきてはそれらを乗せてゆく。

 生活に密着している路線バスにも乗りたいところだが、ハングル文字の経由地と行先表示ではどこへ連れて行かれるのかも分からない。せめて英語表記してくれればと思う。

 地下鉄5号線「長漢坪」駅。5号線は空港にも乗り入れている路線だ。駅名表はハングルで記されており、なんと読むのかは分からないが、日本人向けのソウル案内図には「Changhanp`yong」と書かれてある。「チャンハンピョン」とでも読むのだろうか。

 地下鉄の駅は近代的だ。自動改札があり、自動券売機もある。ただ、自動券売機は日本と違い、先にボタンを押してからお金を入れないと切符が出てこない。ソウル市内は均一料金で500W(ウオン)。日本円でたったの50円である。切符も日本と同じ磁気券であった。

地下鉄の案内MAP
 ▲地下鉄の案内マップ

 駅も日本の地下鉄と全く変わるところがない。大阪や東京の地下鉄なんかよりよほどきれいではないかと感じるほどだ。

 売店では、プロ野球中日のリ・ジョンボムとサムソン・リーの活躍がデカデカと1面を飾るスポーツ新聞を売っていた。日本で言うとかっての野茂のようである。彼らの日本での活躍は韓国民を大いに喜ばせているのだろう。

 5分もすると電車がやってきた。これもまた日本と何ら変わりない車両で、しかもインバーター式の省エネ車だ。車内も特に目新しい点もなく、行先と次の停車駅を知らせる電光掲示板もついている。乗っている人も特に日本と変わったこともなく、一瞬、日本にいるのかと勘違いするほどだ。

 車内放送は韓国語で、LEDの表示はハングルだが、時折、英語の表記も現れるのでありがたい。漢字表記だとなおさらありがたいのだが、どうもこの国はハングルに大きな誇りを持っているらしく、漢字を好んで使おうとはしない。

  土曜日ということもあるのか、地下鉄はそれほど混雑もしておらず20分ほどでソウル駅に着く。

 地上に出ると、赤レンガ造りの堂々とした駅舎がそびえ立っていた。昭和初期に出来上がったというこの駅舎は「東京駅と同じ設計者が造った」との説も納得できるほどその姿は東京駅に似ている。駅の雰囲気は上野駅風であろうか。旅の始めから親近感が沸く。

  ガイドブック等によると、「韓国国鉄の切符売場は行先別に分かれ、常に混雑し、日本語や英語も一切通じない」とのこと。(※1)
ソウル駅駅舎
 ▲東京駅を模したとも言われるソウル駅舎


 今日は1日ががりで釜山まで往復したかったのだが、一昨日のガイド嬢にも「土曜、日曜は特に混雑が激しく、指定券の入手も困難です」と言われていたので、とりあえず途中の大田(テジョン)という駅まで乗ってみることにした。

 実を言うと、漢字で韓国語読みできる場所がそこしかなかった。その昔、ソウル五輪の頃、日本の時刻表に韓国鉄道の時刻や駅名が載っていたことがあり、大田や釜山という地名だけは覚えていた。

  駅舎に入るとすぐに窓口があり、「釜山」という漢字が見えた。人もほとんどいない。本当にここで良いのだろうかとの思いを胸に、窓口氏に時刻表を差し出し、列車を指差し「大田(テジョン)プリーズ」などと小さな声で聞いてみた。

 やはり窓口が違うのだろうか?それとも指定券が売り切れているのだろうか、窓口氏は私に向かって韓国語で何かを言っている。少しすると機械の方へ向き、切符を発券し、時刻表にボールペンで「あなたの乗る列車はこれだ」と丸印をつけてくれた。

 どうやら目的の列車、8時30分発「セマウル57号」の指定券は入手できたようだ。意思疎通に少し安堵感が漂う。切符は両端に丸い穴がいくつも空いている、日本の少し前の切符と同じスタイルだ。

韓国の鉄道時刻表
 ▲韓国の鉄道時刻表(※2)
  2階のコンコースに上がると、ロッテリアやケンタッキーなどのファーストフード店とともに食堂街があった。朝食を食べたいとも思うのだが、発車まであと30分という微妙な時間に加え、異国で1人、しかも言葉も喋れないという緊張感からか食欲も少し減退している。とにかく早く列車に乗ってしまいたい。

 煙草を吸いたくなったのだが、日本と同じように最近、駅構内を全面禁煙にしたらしく、至るところに真新しい禁煙マークが貼ってある。

  駅前の広場に出て煙草を吸おうと歩き出したら、2人組の韓国人ビジネスマンに声をかけられ道を聞かれた。「アイム、ジャパニーズ」などと小さな声で返答すると去って行った。

 駅前で煙草を吹かしていたら、今度は労働者風の男が声をかけてきた。面倒なので同じ言葉を吐いてその場を去った。男は少し悲しそうな顔をしていた。私も彼らの言っている言葉のかけらさえも分からず、悲しい。

 日本出発前に髪を短く刈り上げ、韓国人スタイルにしたためでもあるまいが、また道を聞かれても困るのでおとなしくコンコースのベンチで待つことにした。



 
※上記は1999年当時の状況を記したもの。

※1:1999年当時のガイドブックによる。現在は高速鉄道KTXも開通し、かなり改善していると思われる。
※2:韓国鉄道時刻表は現地の駅売店など購入できるが、日本でも東京新宿の「KOREA PLAZA」2階書籍コーナー(2004年現在1冊700円)や「輸入地図専門店マップハウス」(東京:通販可)、「三省堂神田本店」(2004年現在1冊1500円)などで購入可能。
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