世界鉄道紀行への誘い(全文)
■世界鉄道紀行への誘い introduction

 20数年間、日本各地へ旅をしてきました。生まれ育った日本という国を鉄道で旅し、車窓から風景を眺めているだけで満足でした。

 長い間、海外へ足を踏み出せなかったのは、異文化に対する憧れよりも怖さがあったためです。
 大変失礼な言い方をすると、我々日本人と外国人とは、人間と宇宙人ほどの差があり、一生涯私とは出逢うこともない遠い世界に住んでいる人とさえ思っていました。それに加え、飛行機と語学が大の苦手で、海外へ行くなんて考えるだけでもぞっとしたほどです。

 あるきっかけで、どうしても海外へ行くことになったのは24歳のとき。行先はハワイ。最初は、その地名から想像するミーハーな響きに、身の毛もよだつ思いがしたものです。

 実際に行ってみると、その土地の歴史や文化に彩られた空気、初めて見る風景、言葉や生活の違い、鉄道の違い、自分が"外国人"になって旅する目。国内の旅の何百倍もの驚きと発見、楽しさがありました。言葉の壁も、苦手な飛行機の長時間搭乗も、その楽しさに比べると小さな問題でしかありませんでした。

 かって、そうした新たな発見や驚きが欲しいからこそ、日本国内津々浦々まで、鉄道や路線バスに乗って旅をしていたはずでした。初めて、一人で知らない街や駅、鉄道で不安になりながらも、そこで出合った風景や人々を通じて、自分の成長があり、旅する喜びがあったのです。

 今はまだ未知なる国での不安に迷い、出合いや発見を楽しんでいる最中です。果てなく続く線路を、走り始めたばかりです。
 私には、まだ世界の鉄道へ誘(いざな)えるほどの知識や奥深さはまだありません。日本とは違う国での、鉄道や路線バスの旅を通じての発見や、美しい風景を貴方にお伝えしたいと願って書きました。世界鉄道の旅の楽しさを、共に分かち合うことができたなら何物にも変え難い大きな喜びです。

(2002年2月)


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