九州への鉄道紀行
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〜西鹿児島へ向かう夜汽車〜
門司港駅 門司駅を通り、5分ほどで北九州の中心地、小倉に到着。ここで下車し、夜の小倉の街を歩いてみることにしました。

 父の実家が九州にあったため、少年時代はよく九州に訪れました。初めて友達と九州旅行へ訪れた時、この小倉の街の賑やかさと反するかのように薄暗い駅前の雰囲気を恐れ、駅から一歩も出られなかったのを思い出します。

 今では駅前も整備され、明るくはなりましたが、繁華街は賑わっているものの怪しい雰囲気のお店も数多く存在するようです。
 でもこの活気が九州らしくて良いような気がしますし、博多山笠が近いためか、各所で太鼓の音が鳴り響いていて、九州らしさをさらに実感しました。

 小倉を離れ、西鹿児島へ向かう夜行列車を待つため博多に向かいます。夜の街を走る列車は、あてのない旅をしている者には、少し寂しい気分になります。
 何もない山や海の近くを走る列車ならあきらめもつきますが、街の中だと、酔ってしまってもみんな帰る場所があり、家路につきますが旅人はいったん旅に出た以上、ひたすら旅を続けるしかないのです。

 さて博多に着いてみて、もう1つ、九州らしさを実感することがありました。このJR九州の電車たちです。他の鉄道会社にはない個性的で派手な車両がたくさんあります。
 特に最近の九州の車両はスマートかつ独創的なデザインで驚いてしまいます。また、国鉄時代の古い車両もすべて色を塗り直し、赤や緑など原色一色で塗られた派手な色彩の車両が多く見られます。

 かって国鉄時代、九州へは使い古した車両しか来なかったそうです。しかし今では国鉄も民営化になり、各鉄道で個性を主張できるようになりました。その昔の反動で、JR九州では派手な車両を登場させたり、厚化粧に塗り替えたりしているのではないかと思います。



 博多駅23時59分発の西鹿児島行の特急「ドリームつばめ」号も、個性的な車両でやってきました。鳥を思わせるデザインはSFアニメのロボットのようで、鋼鉄製に見える暗い色調は頑強そうな印象を受けます。

 車内はまるで飛行機内のようで、ビュッフェや個室までついていて、少々、夜行列車には不似合いな気もしますが、ざん新です。最終列車の役目からか会社帰りのビジネスマンを多く乗せ、日が変わる直前に博多駅を出ました。

 鳥栖、久留米、羽犬塚という博多の通勤圏内でほとんどの乗客は降りてしまい、残ったのは遠くまで行く旅人だけです。

 この列車も私が中学生の頃は、急行「かいもん」という夜汽車で運転されており、宿泊費を浮かすため、門司港から西鹿児島までよく乗り通したものです。また、宮崎、大分を経由する日豊本線には「日南」という夜汽車もあり、その2つを使い、九州内を何日も旅していました。
 今ではどちらも特急になり、豪華な車両になってはいますが、闇夜を走る夜行列車の雰囲気だけは残っています。

 列車は福岡県から熊本県に入る田原坂を越え、深夜の熊本駅に停車後、2時14分に八代駅に到着しました。
 ここでは50分近くも停車します。夜行列車は朝までに目的地に着けばいいので、特急とはいえゆっくりしたものです。このあと、出水駅でも40分近くも停まっていました。

 水俣を過ぎ、鹿児島県に入ると、右手に有明海が広がります。闇夜の中、灯台と月の光だけが波間を照らしていて、幻想的な風景です。夜行列車から海を眺めるのもなかなか良いものです。

 早朝4時56分に阿久根に到着。少しづつ空が見えてきたのですが、今日も天気は悪いようで灰色の雲が空を支配しています。
 川内、串木野と停車し、列車は一路、終点の西鹿児島へ向かいます。昨日は集中豪雨がこの地を襲ったらしく、列車は徐行で運転しています。

 終着近い湯之元、伊集院と停まり、終点の西鹿児島には定刻より5分ほど遅れて6時過ぎに到着しました。

 大阪から1000キロ、15時間をかけて九州南端の西鹿児島へ到着しましたが、かってよく見た古びた駅舎はなく、近代的な高架の新しい駅に変わっていました。それを見て、もう何年も鹿児島へ来ていないことを思い出しました。


写真:門司港駅で
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