湖西線 北陸本線 普通列車に揺られて 青春18きっぷの旅
page-6 “近道”鉄道 北越急行「ほくほく線」の旅
直江津駅と「ほくほく線」
 ▲直江津駅で発車を待つ「ほくほく線」の列車

  ここ直江津から越後湯沢まで(実際には犀潟−六日町間)、北越急行という第3セクター鉄道が伸びている。

 上越新幹線の越後湯沢駅と日本海・北陸側の街を速く結ぶため、5年前に開業した新しい路線。東京方面からだと、それまで長岡まで行く遠回りを強いられていたが、この路線のおかげで近くなった。

 大阪−東京間、北陸本線の普通列車で1日で行く、という無理な行程ができるのも、この鉄道が開業したからによる。

 通称「ほくほく線」の越後湯沢行・普通列車は6分の接続で直江津駅に待っていた。

 この路線はJRではないので、18きっぷでは乗れない。車内には「運転手に申し出てください」と書かれてある。18きっぷで旅行中の老人が1人、清算のため運転手に申し出たが、同鉄道の切符をあらかじめ購入してこなかったためか、強い口調で問い詰められている。

 老人が何も言い返さないのをいいことに、中年の運転手はなかなかしつこく、かつ嫌味な口調だ。乗り換え時間が6分では買うのが難しい。車内でも清算できると書いてある、そこまで言う必要があるのか、とこちらまで次第に腹が立ってきた。

 若い日に鉄道で旅していた頃、横柄な駅員とよく口論になった。こちらも若かったのだろうが、国鉄の官僚体質の名残もあった。第3セクター鉄道の運転手として、こんな所でまだ生き残っていたようだ。
ほくほく線の車窓(くびき付近)
 ▲何もない所の高架線をひた走る


 15時31分に直江津を出発。途中の犀潟(さいがた)まではJR信越本線内を走る。

 犀潟から信越本線と分かれ、「ほくほく」線に入った。
 わずか5年前に出来た鉄道らしく、一面田園が伸びる何もない所の高架線を走る。

 今日の朝、乗ってきた湖西線にも似ているが、こちらはトンネルと真新しい高架橋以外は本当に1軒の家さえもない。

 ほくほく線初めての駅「くびき」に着く。新潟県頸城村に駅があるからこの名なのだが、付近には何もなく、村の中心部からは大きく離れている。

 そもそもこの鉄道は特急列車を速く走らせるために作られた"近道"。街と街を結ぶ役割はあまり重視していない。
ほくほく線 トンネルが多い
 ▲新線らしく沿線にはトンネルが多い

 次の駅は「大池いこいの森」。近くにキャンプ場があるようだが、誰一人いない。新しい鉄道らしく、駅名には平仮名を多用している。

 長いトンネルを抜けると、今度は深い雪景色となった。「うらがわら駅」に停車。浦川原村にある。漢字のほうが読みやすそうなものだが、ここでも平仮名。この駅は街の中心部。雪に埋もれた小さな集落も見える。越後の豪雪地帯である。

 最短距離を一直線に走り、山にぶつかるとトンネルで掘り抜く。カーブは少ない。電化しているため普通列車でも「電車」。100km/h近いスピードで走る。特急列車は時速160km/hものスピードで運転するという。


 これなら新幹線などいらない気もするが、北陸新幹線は着々と工事は進められている。完成の際には、この"近道鉄道"の役割は薄れるだろう。新潟県内を走る鉄道ゆえか、政治的な「我田引鉄」かとも疑ってしまう。
ほくほく線(北越急行)の電車
 ▲全線電化のため普通列車も「電車」

 長いトンネルだけが続き、景色が見えると駅に着く。16時9分に「まつだい駅」に到着。新潟県東頸城郡の松代町。人口は約4500人。浦川原村と同じく、ここも町の中心部に駅がある。数人の乗降ののち、発車。

 再び暗いトンネルの中を過ごすと、山がひらけ、小さな街並みが現れた。十日町駅に着く。
 ここはJR飯山線との乗り換え駅で、一部の特急列車も停車する。昔のローカル線の古い駅が嘘のように、高架の近代的な駅に変わっていた。

 再び、何もない深い山をトンネルで走り抜き、街並みが現れるとJR上越線と交わり六日町駅に到着。

 ほくほく線の路線はここで終わるが、列車はそのまま上越線を下って、越後湯沢まで直通する。

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