湖西線 北陸本線 普通列車に揺られて 青春18きっぷの旅
page-2 越前へ向かって普通列車は走る
湖西線マップ

 湖西線は1974(昭和49)年、その名の通り琵琶湖畔の西側に開業。大阪・京都と北陸本線を結ぶ短絡線として、今では特急列車のほとんどがこちらを通っている。

 まだ30年も経っていない比較的新しい路線。そのためか、全線が高架となっていて景色の見晴らしがいい。

 雄琴、堅田と湖畔の街を通り過ぎ、小野という駅に着く。ニュータウンを造成している。鉄道開通が新しいためか、少々無理やり開発したような雰囲気もある。

 左手の比良山系の山々が迫り来る狭い地では、時間が止まったような田園風景が続く。

 とはいえ、各駅では通勤客や通学生が乗り込んで来て、少し早いラッシュも始まってきた。京都・大阪方面の列車ほどではないが、こちらも大変な混雑だ。

 夏は賑わう比良、近江舞子の駅を過ぎる。夏は海水浴と比叡・比良山観光、冬はスキーと湖西線沿線には、案外、観光スポットも多い。

 7時56分に安曇川(あどがわ)到着。琵琶湖西側の中心地の1つ。ようやく街並みが広がるが、それほど乗降はない。

 8時4分、終点の近江今津駅に着く。乗客がいっせいに吐き出された。滋賀県高島郡今津町、人口は1万3千5百人。安曇川町より千人少ないが、こちらの駅の方が活気がある。

近江今津駅に停車中の福井行列車
 ▲ 近江今津で北陸本線直通の列車に乗換え

 近江今津からは、北陸線に直通する福井行の普通列車に接続。かって寝台車として使っていた車両を改造した不思議な電車。3両編成で停まっている。

 元寝台車だからか、普通列車とは思えない位のゆったりとした座席。これで福井まで直通してくれるのは有難い。

 8時15分発、福井行の列車は、再び湖西線の高架橋を走り始める。車内はそれほど混雑していないが、「青春18きっぷ」で移動中の"同志"も多い。

 当時の国鉄では唯一だった片仮名駅名の「マキノ」で通勤客のほとんどが下車してしまい、普通列車ならではの空き具合となってきた。

福井行普通列車の車内
 次の永原駅を過ぎると、トンネルが多くなる。県境が近い。
 トンネルを出る寸前で車内の電灯が全部消えた。卒業旅行らしい若い女性グループから歓声にも似た悲鳴が聞こえた。「ただいま、電源切り替えのため、車内の電気が消えています」。すかさず車内放送が入った。

 鉄道好きなら誰もが知る「デットセクション」。この先「直流」から「交流」へと電気の種類が変わる。そのために一旦、車内の電灯が消える。私などはここを通ると、もうすぐ福井県なんだな、と鉄道マニアらしい思いがいつもよぎる。

 滋賀県最後の駅、近江塩津に停車。湖西線はここが終点となるが、列車はそのまま北陸本線へ直通する。滋賀と福井を隔てる深坂トンネルへと入る。


 トンネルを抜けると、福井県。山間の小さな駅、新疋田(しんひきた)に着く。ここも鉄道好きなら必ず知る場所で、鉄道撮影のメッカである。

 国を越えたためか、外の天気はさらに悪くなってきた。朝なのに夕方のような暗さ。雨に濡れた山の緑が深くなっている。雨の北陸路もたまにはいいじゃないか、と自分に言い聞かせる。

 新疋田と次の敦賀(つるが)の間には、険しい山を越えるため、山をぐるりと一廻りして越える「ループ線」がある。北陸方面から来る寝台列車などに乗った時には見所もあるのだが、こちらは下り側。難なく一気に越えてしまう。
敦賀でサンダーバードに追い抜かれる
 ▲ 敦賀で2本の特急に抜かれる。12分停車。

 8時48分、敦賀に到着。大阪からの特急「サンダーバード」、米原からの特急「加越」と2本の特急列車に追い抜かれるため、列車は12分間の停車。

 20分に1本程度の特急列車が走る"特急銀座"の北陸本線では、普通列車の長時間停車は当たり前。昔の山陰本線に乗っているようで、嬉しくなる。

 普通列車の旅は急がず、騒がず、ゆっくりと目的地をめざすからこそいい。

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