青春18きっぷで北海道へ 鈍行列車に揺られて東京−旭川1400キロの旅
page-1 夜行快速「ムーンライトえちご」で北上(1)
東京から旭川までのルート図

■東京から北海道まで「鈍行列車紀行」

 
この冬、東京から北海道まで青春18きっぷを使って普通列車で行くことになった。

 最初は懐かしさ、そして安さと面白さも半分に東京−大阪間の移動に青春18きっぷを使っていたら、ついに北海道までもの長い道のりも、各駅停車の旅をしないと気がすまなくなってきた。

 ここまで来ると、もはや普通列車での移動という実用的な格安旅行ではなく、それ自体を楽しむ「鈍行列車の旅」といった雰囲気。その響きには浪漫めいたものさえ感じる始末である。

 かって日本中どこでも鈍行列車で移動していたように、若き日の「18きっぷ症候群」に再び見舞われたようだ。

 東京から鈍行列車を使って東北・北海道方面へ行くには、単純に東北本線を北上すれば良いのだが、この冬(2002年12月)の東北新幹線八戸延伸で、東北本線の盛岡〜八戸間は第3セクター会社の経営になってしまった。青春18きっぷで行っても3000円近い追加運賃が必要になる。

 JRに見放された赤字必死の第3セクターに3000円を払う事は惜しくないが、昼間の東北本線は景色が単調でつまらない。せっかくの「鈍行列車の旅」がただの「苦行」になってしまう可能性もある。

 そうなると残されるのは、新宿発の夜行快速列車「ムーンライトえちご」新潟行に乗り、新潟から日本海沿いに羽越本線、奥羽本線、津軽海峡線を使って北海道へ上陸するルート。

羽越・奥羽で走っていた客車列車(1992)
 ▲羽越本線や奥羽本線など東北各地で
  走っていたリンゴ色の客車列車(1992年)

 先日のダイヤ改正前までは、翌日夜には函館へ着き、そのまま臨時夜行快速「ミッドナイト」札幌行に接続するという便利なコースだった。しかし、この冬からは「ミッドナイト」が廃止され、津軽海峡線の快速「海峡」も特急化してしまった。一部区間で特急のお世話にならないと函館へもたどり着けない。

 それでも、羽越本線で冬の日本海を眺めながら北上する楽しみは今も残されているし、次第に深い道の奥に落ちていくような津軽路の雰囲気は、鈍行列車の旅に最も合っている。

  かって、赤いリンゴ色の客車列車が走っている時代には、幾度も通ったこのルート。良き日の思い出がよみがえる。もちろん今では客車列車などないが、ディーゼルカーの鈍行列車で海を存分に味わえる路線は、日本中捜しても数少ない。

 函館からは北海道の動脈、函館本線(函館−長万部−小樽−札幌−旭川)で、旭川までの全線420キロ余りを鈍行列車で乗り通したいと思う。函館本線の海あり、山あり、原野ありの沿線風景が楽しみだ。

 2002(平成14)年12月末、青春18きっぷを片手に、東京から北海道の旭川まで3泊4日、約1400キロの長い旅に出ることにした。


ムーンライトえちご(〜2003/3)
 ▲ 新潟行の夜行快速「ムーンライトえちご」
  この車両での運転も2003年3月までとなる。

■伝統の夜行快速列車で北上

 
夜行快速「ムーンライトえちご」新潟行は、東京の副都心・新宿駅から出発する。新潟行の夜汽車といえば上野発というイメージも沸くが、この夜行快速は登場以来、新宿発だ。

 1987(昭和62)年9月、首都圏と新潟を結ぶ高速夜行バスに対抗し、当時は珍しかった夜行で臨時の快速列車「ムーンライト」(新宿〜新潟)として登場した。

 古いグリーン車用のリクライニングシートを使い、普通運賃と指定席料金だけの廉価料金で夜行バスと対抗した。その効果の程があったのか2年足らずで定期列車に昇格し、羽越本線の村上まで延長運転された。

かっての「ムーンライト」号(1989)
 ▲1989年頃の夜行快速「ムーンライト」
 快速列車のため「青春18きっぷ」で乗られるとあって、18きっぷの利用者増加とともに、年を追うごとに人気が出てきた。首都圏から北へ向かう唯一の夜行快速列車として、今では東北や北海道へ行く18きっぷユーザーにはなくてはならない定期列車となっている。

 現在では夜行快速の名称として一般化した"ムーンライト"の名称もこの列車が元祖だ。

 西に臨時のムーンライト九州、山陰、高知、松山、八重垣、東は定期の「ながら」と、この「えちご」。そして今年冬から加わった臨時の「ムーンライト信州」も加え、全国に"ムーンライト"と名の付く夜行快速は数多く誕生しているが、登場した当時、夜行の快速列車で、しかもグリーン車のシートを使っているというスタイルが画期的だったためか、私の中では「ムーンライト」といえば今でも現在の「ムーンライトえちご」のことというイメージが離れない。
 指定券を買う時も未だに「新潟まで、ムーンライトを」などと言ってしまう。


新宿駅に停車中のムーンライトえちご
 とにかくこの列車はお世話になった。甲信越はもちろん、東北や北陸、北海道への足がかりとしても最適だった。青春18きっぷとわずか500円で、直角シートではなくリクライニングする座席の夜汽車に乗られるのである。北への貧乏旅行の友だった。

 新宿駅7番ホーム。隣に停車するオレンジ色の中央線電車には、遅い帰宅客が次々と吸い込まれていく。「ムーンライトえちご」は23時少し前、クリーム色に灰、緑、黄の3色ラインが入った明るい電車が9両でやってきた。

 電車自体は昔と変わっていないが、気のせいか乗る度に電車の色は変わっている気がする。元々は、上野と新潟を結ぶ急行列車などで使っていた電車だったから、すでに20年以上は経っている。古さを隠すための厚化粧だろうか。

 そして驚いたのが9両という長い編成。かっては知る人ぞ知る列車という雰囲気で、わずか3両のひっそりとした短い編成だった。
 今日は年末の金曜日ということもあるが、日本の大動脈・東海道本線の「ムーンライトながら」と同じだけの車両数を連ね、指定券も売り切れている。青春18きっぷの浸透ぶりをここにも見た気がする。


ムーンライトえちごの車内

 車内は昔と変わらずリクライニングシートが並ぶ。登場時は、どこからか持って来た古いグリーン車のシートを無理やり備えていたが、今は特急列車でよく見る普通のシート。
 かっての「対高速バス」の役割をまだ担っているのか、相変わらずシートが極端に深くリクライニングするのは寝やすくてありがたい。

 間もなくこの古い電車での運転を取り止め、一般の特急電車車両に変わるとも聞くが、この深いリクライニングは残るのだろうか。多少、動向が気になる。




ムーンライトえちご(2004/4〜)ムーンライトえちご号のシート

※追記

 2003年4月から、快速「ムーンライトえちご」は特急用車両の常時6両編成に変更され、シートのリクライニングも一般的なものとなっている。





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