日本最北の島 礼文島
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〜最北の島、礼文〜
岬へ向かう道 礼文島は日本で一番北にある島である。利尻冨士で有名な利尻島とともに、少し大きめの2つの島が寄り添うように並んで、日本海に浮かんでいる。

 稚内へ来訪すると多くの旅行者はまず、宗谷岬へ行くだろう。中には高いバス代を憂慮してノシャップ岬で我慢するかもしれない。それでも何かしら最北の地には行きたいものである。

 利尻・礼文へ向かうフェリーは、その稚内港から出航しているのであるから、嫌でも最北への旅情をかき立てられることになるだろう。しかし、夏になると恐ろしいほどの観光客や旅行者が、この航路に乗り込み利尻や礼文を目指すのであるから、たまらない。人ばかりが多くて、旅情も何もあったものではないのだ。

 そういう訳で私は、人のいないこの厳寒に礼文島を目指すことにした。
 飛行機で礼文に行くという私に「すごいリッチだねぇ。それだけ礼文島に行きたいんだなぁ」と、喫茶店のマスターに言われる。この「B」という喫茶店は、ここ稚内で25年間も早朝営業を続けてきたそうである。吉幾三のような雰囲気のマスターの気さくな人柄からか常連さんが多いようだ。
 「この人、礼文へ行くんだって」と常連客に紹介される。
 「冬の海は荒れて帰れなくなるかもしれないよ」と初老の老夫婦に忠告を受ける。なるほど、一昨日も確かにフェリーは欠航していた。



 冬の日のひとときの快晴の青空の中、飛行機で25分。島の北端にある礼文空港に降り立つ。春のような陽気で、とても1月とは思えない。

 空港を降りて一本道を歩き出すと、岬があった。金田ノ岬と言う名らしい。
 赤い灯台が建っていて、もう少し晴れていたらサハリンまで見えるかもしれないが、ここでは別の凄い物を見た。
 船体が真っ二つに折れ、海面に突っ込むように、船の中心が海に沈んでいる大きな船である。先ほど、飛行機から見えたものは本当だったのである。この船は石材を運ぶ船で、昨年の秋頃に誤って浅瀬に突っ込み、沈んでしまったのだという。特に害もないのでそのままにしてあるのだろうが、笑える。地元のおじいさんも笑いながら話していた。

 この空港付近は、礼文島第2の街「船泊」の市街地から少し離れた所にあるためか、人一人みかけない。飛行機が遅れたため、バスの時刻が間に合わず、有名な「スコトン岬」にも行けないのである。
稚内へ向かうフェリー
 ひたすら一本道を歩いていたら、後ろからバスがやってきた。手を上げると停まってくれた。
 バスで1時間くらい走ると、礼文島の中心地「香深(かふか)」に着いた。稚内行フェリーの乗り場はすぐにあった。ずいぶん時間があるので売店のおばさんに少し話しかけて見たら、おばさんは相当に退屈していたようで10倍くらいになってかえってきた。

 日帰りでの礼文島、何をした訳ではないが楽しかった。
 稚内行のフェリー「ニュー宗谷号」に乗り込む。船の切符はなぜか硬券でこの港の名称も「香深駅」なのである。

 不思議に思いつつも、海を隔てて鉄道が続いているような気がした。
(1995,1)

写真(上から):岬へ向かう道、稚内へ向かうフェリー
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