ヨーロッパ鉄道紀行
page-21 世界一の小国家ヴァチカン
 スペイン広場から地下鉄で3駅ほど乗ると「ヴァチカン」がある。全世界に約9億人の信者を有するカトリックの総本山で、「ヴァチカン市国」という世界一のミニ国家でもある。

 駅を降りてしばらく歩くとヴァチカンの城壁が見えてきた。人口1000人、わずか44ヘクタールのミニ国家とはいえ、城壁で囲むことで国家の体裁を保っているのだろうか。
ヴァチカンのサン・ピエトロ寺院
 ▲ヴァチカンのサンピエトロ寺院。

 「ヴァチカン市国」内は身動きができないほどの群衆で埋まっていた。

 今日は何やら祭事があるらしく、法王ヨハネ・パウロ2世も信者の前にお出ましになるという。全世界から信者やら観光客が集まっているのだろう。

 サンピエトロ広場は幾十にも人が取り囲み、寺院内部まではとてもたどり着けそうにない。今日は駅や街に警察の姿が多いのが気になったが、この祭事のためだったようだ。

 寺院見学は諦めたがせっかく来たので門前お土産店を冷やかしてみる。ヨハネ・パウロ2世をモチーフとした非公認絵葉書が大量に売られていた。彼が祈ってたり、笑ったりしている姿とサンピエトロ寺院が合成写真となっている。法王までをも商売道具に使う不謹慎さはさすがである。
法王をモチーフにした絵葉書
 ▲法王を無断?で使った絵葉書

 ついでに門前「公衆トイレ」にも行く。西欧の公衆トイレは管理人が常駐し、ほとんどが有料となっている。

 お金を払おうとすると、気の良さそうな老婆が「いらない」と手を振った。宗教祭事日のサービスなのだろうか。お金を取られることには慣れていても、拒否されるのには慣れていない。カトリックの精神なのだろう、と勝手に解釈して感謝しながら使わせていただく。

 その近くでは信者らしき団体が広報用ビデオと新聞を無料で配っていた。これも有難く頂戴した。

 帰りはバスに乗る。ローマ市内には膨大な数のバス路線や系統があり、いちいち探し出すのも面倒だ。空いたバスを選んで乗ってみたら、「トレビの泉」に着いた。

 有名な大噴水がある観光スポット。後ろ向きにコインを投げ入れるとローマ再訪がかなうとされている。人々が投げ入れる姿だけ見て退散。再びバスに乗り込む。

 ローマ市内は石畳の道が多いためか、バスは異常に揺れる。飛ばさなければ乗り心地も悪くないのだろうが、アフロヘアーの運転手はクラクションを鳴らしながら乗用車まで蹴散らす。市内の路線バスだからゆっくり走っても良さそうなものだが。

 次に着いた場所は、デヴェレ川にぽっかり浮かんだティベリーナ島の近く。この近くに「真実の口」がある。

 デヴェレ川の中州「ティベリーナ島」は紀元前からの歴史がある。どことなく鬱蒼とした雰囲気があるのは、かって死刑執行が行われた場所で、今は病院の建物が島を占拠しているからだろうか。川には橋の遺構も残っており、これも紀元前からのもの。今使われている橋も同じだけの歴史を歩んでいる。時の流れを考えると気が遠くなる。ローマは歩く所すべてが「遺跡」のような街だ。

 鐘楼が高くそびえる「サンタ・マリア・イン・コスメディン教会」の一角に「真実の口」はあった。神の顔をした丸い石板の口部分が開いており、「嘘を言った者は手を食べられる」という言い伝えがある。例の「ローマの休日」の1シーンで有名になった。

 口の中に手を入れた写真を撮るため、順番を待っていたのは日本人観光客が多かった。
 恥ずかしいので見ただけで帰りたかったが、妻の強い要望で順番を待つ。予定通りの間抜けな写真を収める。忘れていたが、この旅の本題は「新婚旅行」だった。時には新婚旅行客らしく阿呆らしく振舞うのも大切だ。

前のページへ戻る
前のページへ
欧州鉄道紀行のTOPへ
欧州鉄道紀行のトップへ
次のページへ進む
次のページへ
ホームに戻る 世界編トップに戻る