ヨーロッパ鉄道紀行
page-16 満員のウィーン行特急列車

 ザルツブルグ中央駅は新市街地にあるためか、人も少なく案外静かだ。駅構内にはドイツ鉄道「DB」とオーストリア鉄道「OBB」の切符売場が向かい合わせにある。

 ザルツブルグはドイツとの国境に近い。博物館や観光客向けの店でも、オーストリアシリング(OS)とともにドイツマルク(DM)での表示も多い。統一貨幣「ユーロ」導入の際にはどちらも消えてしまうのだろう。貨幣交換のわずらわしさはなくなるが、反面、楽しみもなくなる気がした。

ザルツブルグ−ウィーン間のMAP ザルツブルグとウィーンの間は約320キロ、3時間の距離。日本のL特急のような形で1時間に1本、特急列車が走っている。

 13時10分発のIC(インターシティ=都市間特急)は「カバーレット シンプル」なる列車名。ウィーンの劇団名らしい。スポンサーなのだろうか、時刻表にも広告が入っている。人の名前や歴史上の人物など、優等列車にはすべて異なる列車名がいちいち付けられている。日本のように1号、2号というのはないようだ。

ザルツブルグ近郊の車窓
 ▲のんびりとしたザルツブルグ近郊の車窓。
 列車は例の赤いオーストリア国鉄客車の長大編成。インスブルック始発だが、大半の客が下車。相変わらず空いている。コンパートメントで食料を広げ、遅い昼食をいただく。

 ザルツブルグ近郊を出ると、なだらかな緑の丘の風景が続く。景色が良いので昼間からビールをいただく。ドイツビールはいつ飲んでも旨い。

 景色をつまみにビールを飲む、これが列車の旅の醍醐味、と私は信じて食堂車に向かって再びビールを買いに行く。

 ザルツブルグから1時間20分、途中駅のリンツで乗客が大量に乗り込んで来た。

 さすがは人口20万の地方都市。特急を1時間間隔で運転するだけはある。我々のコンパートメントに入って来たのは30代風の女性2人組。久しぶりの同室者がやってきた。

 中年に近い2人の女性、止まることなくよく喋る。ドイツ語なので意味は分からないが、雰囲気から日常のどうでもいい話と推察する。

 ドイツ語の勉強にも最適だ、などと思いつつ、話の中身を想像し、ぼんやりと車窓を眺める。廊下では携帯電話片手に右往左往する若者もいる。首都へ向かう特急列車らしく賑やかな雰囲気になってきた。

ウィーン駅に到着
 ▲16時前に夜の帳が下りているウィーンに到着。
 地方都市をこまめに停まりながら、列車は15時42分に終点のウィーン西駅に到着。

 すでに夜の帳が下りている。ここも冬の夜は極端に早いようだ。

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