ヨーロッパ鉄道紀行
page-4 ロンドン地下鉄と2階建てバス

 いくらロンドンが狭いとはいえ、朝から怒とうの如く歩き続けてさすがに疲れた。
 近くの地下鉄「コヴェントガーデン駅」に向かう。有名なマーケットがあるためか付近は大変な賑わいだ。

 アメリカでも日本でも地下鉄は「サブウェイ」だが、ロンドン地下鉄は「アンダーグラウンド」。1863年開業、世界初の地下鉄だからこちらが本場だ。言葉だけ聞くとよからぬ雰囲気を感じるが、別名「チューブ」とも呼ばれる。

 窓口で切符を買ってホームへ向かったものの、らせん状の階段を10分近くも歩かされた。とにかく深い。戦時中に防空壕として使っただけはある。人々がエレベーターに並んでいる理由がよくわかった。

ロンドン地下鉄をモチーフにした絵はがき
 ▲ロンドン地下鉄をモチーフにした絵葉書。
 「チューブ」という名だけあって、幅の狭いトンネルは単線ごとに分かれており円形。小さな車両も丸みを帯びていてかわいらしい。ただ、車両には狭い1枚ドアが3ヶ所しかなく、車内はクロスシート。金曜の夕方ということもあるのかとにかく混んでいる。

 スリの餌食とならないよう周囲の乗客に目を配ると、ドア付近にいた日本人の若い女性がしっかりと鞄を抱きかかえていた。留学生か1人旅かは分からないが、これ位は注意してしかるべきなのであろう。

 ロンドン一の繁華街「オックスフォードサーカス」で下車。

 今日、最後の目的地は駅から徒歩数分の所にある「BBC(英国放送協会)ミュージアム」。1912年開局という長い歴史を持つ国営放送局の博物館だ。現在ではイギリスから24時間、世界各国に向けて「ワールドニュース」を流しており、自宅のケーブルテレビでよく見ている。

 最終回の見学コースは我々2人だけ。BBCラジオドラマの製作過程やスタジオなど、ガイドが事細かに説明してくれる。もちろん英語だから理解に乏しいが、第二次世界大戦時の映像などは、リアルタイムで放送していただけに迫力がある。無理して来た甲斐はあった。

 一大ショッピング通りのオックスフォード・ストリートを歩く。クリスマスが近づいているためか、通りのイルミネーションが美しい。夜の街は横断歩道も車道も人と車であふれかえっている。

旧型の2階建てバス
 ▲旧型の2階建てバス。出入口ドアはなく車掌が乗務している。

 ホテルのあるパディントン駅までは念願のロンドンバスに乗ることにした。

 旧型の赤い2階建てバスは出入り口ドアがなく、車掌が乗っている。地元民を気取って信号待ちのバスに飛び乗ってみる。立ち席は基本的に禁止されているためか、早く席に着け、と体の大きな黒人車掌が無言の睨みをきかせる。

 1階席に座る。車内は案外狭く、天井も低い。席に腰掛けると先ほどの車掌が切符を売りに来た。JRの車掌が持っているような自動発券装置からレシートのような紙が出された。

 バスの運転席と客室とは完全に分離されている。ワンマンバスとは違い運転手は運転することだけが仕事のようだが、古いためかよくエンストを起こしている。2階建てのためカーブのバランスも取らなければならないし、それなりの運転技術が必要なのかもしれない。

 クリスマスのネオンで彩られた渋滞気味の狭い道路を縫うように走り抜け、15分ほどでパディントン駅に到着。

 とにかく濃厚で充実した1日を過ごしたためか、夕食の場所を考えるのもおっくうになってきた。通り道にある「SPAR(スパー)」に入る。日本でもたまに見るが、ヨーロッパ発祥のコンビニ兼スーパーだ。チーズとビールが驚くほど安く、嬉しくなってくる。会社帰りのビジネスマンや近所の主婦らが夕食の食材、惣菜やパンなどを買い込んでいる。

 海外では、地元民の食と文化がわかるスーパーマーケットと書店を覗くのが一番楽しいと感じた。
前のページへ戻る
前のページへ
欧州鉄道紀行のTOPへ
欧州鉄道紀行のトップへ
次のページへ進む
次のページへ
ホームに戻る 世界編トップに戻る