ヨーロッパ鉄道紀行
page-2 鉄道発祥の地は威風堂々と

 ロンドン・ヒースロー国際空港に降り立つと、入国審査に長い列がなされていた。イギリスの入国審査は厳しいと聞く。

 日本人の団体観光客には、面倒そうに手早く質問。答える間もなく通しているが、我々の列には日本人がいないので一向に列が進まない。欧米人風に見える中年男性は、2人の入国審査官に取り囲まれカツラまで取らされている。

 我々の番が回ってくると、東南アジア系の中年女性入国官がイギリス英語で色々聞いてきた。妻が何かと英語を振り絞って答えている。緊張している私が何も答えられない、何も分からないうちに、入国官が笑顔でパスポートにスタンプを押してくれた。

 出迎えに大挙する様々な人種の鋭い目線を感じつつ、一目散に地下鉄乗り場へと向かう。日本ではないという緊張感と、スリが多いという事前学習からか、常に背後や付近に人の気配を気にしてしまう。

ヒースロー・エクスプレス
パディントン駅に停車中のヒースロー・エクスプレス

 地下鉄の下、さらに奥深くに「ヒースローエクスプレス」という空港特急の乗り場がある。
 日本円で約2000円。ロンドンの北部に位置するパディントン駅まで約15分で運んでくれる。地下鉄に比べると3倍近くも運賃は高いが、その分、速い。今日泊まるホテルがあるパディントンまで直通してくれるのもありがたい。英国鉄道「BR」が運営しており、国鉄線(実際は分割民営化している)を走るのも嬉しい。

 改札口がないことに戸惑いながらホームに下ると、関西の新快速列車のような車両が停まっていた。合図もなく扉が閉まり、動き出すとすぐに女性車掌が検札に来た。私が無言で切符を差し出すと、妻に「少しでもいいから英語で喋ったら」と苦言を呈された。英語がほとんど理解できず、緊張しているので何かを発する余裕もない。

 鉄道から車窓を眺めていると、異国という緊張感もほぐれる。日本の新幹線と同じ標準軌のためか、揺れも少なく快適だ。鉄道に乗ると海外ということも忘れ安心してしまうが、わずか15分で終着。

パディントン駅ホームの風景
 ▲英各地への列車が発着するパディントン駅

 終端式になったパディントン駅は、ドーム型の屋根で覆われ、英国国鉄の黄色と白の気動車や電車が次々と発着している。鉄道発祥の地イギリスならではの威風堂々とした雰囲気に満ちている。

 外に一歩出ると、狭い駅前道路には、赤い2階建てのロンドンバスと黒塗りオースティンのタクシー。黒いコートを羽織った人々は早足で家路に急ぎ、歩行者信号の点滅まで慌しく感じる。これがロンドンらしいといえば確かにそう感じる。

 駅近くの閑静な通りにある安ホテルは、白い建物が見事に街と調和している。外観こそ新しいものの、室内は一昔前のビジネスホテルといった趣きがある。煙草嫌いの英国では禁煙が当たり前なのか、建付けの悪い部屋のドアに堂々と掲げられた禁煙ステッカーが恨めしい。

 が、必要最低限の設備を詰め込んだ古い部屋は、何となくイギリスらしい気がして好感が持てた。

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