中央本線 関西本線 普通列車に揺られて 青春18きっぷの旅
page-6 ディーゼル列車から渓谷美を眺め
関西本線加茂行のディーゼルカー(亀山駅で)
 ▲ 関西本線加茂行のディーゼルカー

 15時41分発、加茂行の普通列車は、レールバスのような小さなディーゼルカーの2両編成。

 車内は窓に背を向けて座るロングシート。車両が小さいためか満員となった。この先、せっかくの渓谷美もこれでは見づらい。以前走っていた古びた赤いディーゼルカーが懐かしい。

 しかしこのディーゼルカーは軽快に走る。昔は難所とされ、スイッチバック運転さえしていたという関−加太(かぶと)間の「加太越え」も、難なく走り抜ける。頼もしくもあるが、何となく味気ない。

軽快に走る列車
 亀山から25分で柘植(つげ)に到着。草津へ行く草津線の乗り換え駅。2割程が下車。軽くなったためか、ディーゼルカーはさらに軽快に走る。

 16時26分、伊賀上野に着く。単線区間のため、反対列車との交換で5分の停車。混雑した車内から逃げるようにホームに降りる。
 ここは伊賀地方の中心地だが、上野市の市街地からは離れている。近鉄伊賀線というローカル私鉄線が、伊賀上野−上野市の間を結んでおり、JRのホームの先に赤い電車がひっそりと停まっていた。


 島ヶ原駅を越え、次の月ヶ瀬口からは京都府となる。左手には木津川と合流する伊賀川が寄り添ってきた。この先の車窓が見所である。

 列車は山間に入る。トンネルを幾つか抜けると、大河原駅。かっての山陰本線・保津峡駅のような雰囲気もある。国道163号線と木津川が右に左に寄り添う。
関西本線の渓谷美
 ▲大河原を超えると 車窓に渓谷が広がる


 大きな岩が剥き出しで、ゴロゴロと深い緑の川に沈んでいる。水かさが増えると沈んでしまう「沈下橋」も見える。ここを車で渡ったことがあったが、川に落ちはしないかと冷や冷やした。

 関西では、山陰本線の嵯峨−保津峡間や福知山線の武田尾周辺でも渓谷美が見られた。都心通勤路線の宿命か、近年、ほとんどがトンネル化されてしまった。近代化が遅れている関西線だからこそ残っている風景かもしれない。

 残念ながらロングシートの車内からは車窓は見づらいが、先頭車両の運転席付近だけは展望がよい。

 7分ほど走って笠置に到着。駅周辺の桜が有名だが、まだ開花していない。東京を出た時は満開だったが、関西でも山深いこの地では少し先のようだ。

 笠置では、登山帰りらしい老人団体を乗せ、列車は満員のまま終点の加茂に到着。関西本線の景勝区間はここで終わる。

 加茂駅は京都府下の相楽郡加茂町という場所にある。1988年に電化されて以来、大阪方面からの通勤電車が乗り入れている。

 それまでは、古いディーゼルカーが発着する何もない田舎の小さな駅、という感があったが、現在では近代的な駅となり、駅前にはマンションまで建っている。完全に大阪の通勤圏となっている。

 1時間に3本の割合で、大阪へ直通する快速電車がやって来る。
 これに乗れば、木津、奈良と通り、大阪へは1時間もしないうちに着く。
 関西本線の終着駅は「湊町」という駅名だったが、何時の間にか「JR難波」なる味のない駅名に変わっている。
加茂駅に停車中の大和路快速
 ▲加茂からは大阪方面へ快速が直通する

 おそらく近い将来には、加茂より先、亀山方面へも電化区間が伸びるのだろう。その時には、木津川の渓谷美もトンネルで消えるかもしれない。

 しばらく大阪を離れている間に、何やら時代の流れを感じつつ、大阪環状線へと直通する快速電車に乗り込んだ。

 少々長い東京−大阪間の旅だったが、遠回りした分、1日で3日分の風景を見られた気もする。

 帰りはさらに違うルートで、大阪−東京の"旅"をしようと思った。


<終>

(2002.3旅行、2002.3.28公開)

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