米国鉄道紀行 雑記編
ニューヨーク、雨中の右往左往
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タイムズスクエア、カーネギーホール、メイシーズと歩く
海から見た自由の女神
 ▲海から見た自由の女神像
 
ボストンから米国鉄道最速の「アセラ・エクスプレス」で3時間半、昼前にニューヨークへ着いた。滞在時間は明日の朝までわずか半日足らずしかない。

 本編に書いたように、ペンシルバニア駅から、エンパイアステートビル、ワールドトレードセンター(WTC)跡地、自由の女神とスタテン島を回り、グランドセントラル駅まで、地下鉄やバス、船にまで乗りながらNYの定番観光地を周遊した。

 夜までにはまだ時間がある。これからヤンキースの試合を観に行こうとも思ったが、この雨では中止だろう。とりあえず妻が案内するというので、市内の観光地を軽く巡って時間をつぶすことにした。

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タイムズスクエア周辺の様子
 ▲タイムズスクエア

 グランドセントラル駅からタイムズスクエア(Times Square)まで歩き、テレビなどでよく見る交差点の有名なネオン広告塔を見る。かつてはサントリーウイスキーの広告があったように思ったが、今はヤフーやサムスンなどのサインが幅を利かせていた。

 首都にもかかわらず、この道路の悪さはどうしたものだろう。アスファルトが凸凹になっていたり、雨水がたまって小さな池のようになっている所もある。日本と米国では税金の使い方が多少異なっているのだろう。

 この雨の中を歩き回っているのには、「吉野家」を探すという密かな目的もあったのだが、影も形も見当たらない。頭の中に牛丼が浮かんでは消えて行く。米が食べたいと思うが、「富士」とか「竹」とか名付けられた高級そうな日本料理店に入る勇気はない。

 ※ちなみに吉野家タイムズスクエア42丁目店は253 West 42nd Stにあるとの事。


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地下鉄で移動
 ▲地下鉄で57丁目へ

 いい加減に歩き疲れて来た頃、妻が「カーネギーホールへ行こう」と言い出した。いかなる所かは分からぬが、雨の中、歩かなくてよいのならどこでもいい。
 「イエロー」の地下鉄に乗って2駅、セントラルパークに近い57丁目(57st.)で下車。地上に出ると、伝統的ホテルのような赤茶色の建物があった。
カーネギー・ホール外観
 ▲著名なカーネギーホール

 妻によると、このカーネギー・ホール(Carnegie Hall)は、クラッシック・音楽界では世界的に有名なホールなのだという。確かに名前くらいは微かに聞いた記憶がある。
 チケット売場に行き、今日の公演で安い席のものを、と所望。7ドルであるという。大喜びした妻が公演内容を問うと、係員は「high school student」とだけ述べた。

 音楽の内容など分からない私には高校生の公演も面白いとは思ったが、それを進言する気にはならず、意気消沈した妻とともに外へ出た。

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メイシー百貨店
 ▲「世界最大」と称する
 メイシー百貨店

 カーネギーホール近の停留所からバスに乗り、34丁目付近まで戻る。「世界最大のデパート」と称しているメイシー百貨店(Macy's)へ入る。人の良いサンタクロースの爺さんが出てくる「34丁目の奇蹟」という古い映画の舞台でもある。

 店内には木製のエスカレーターが今も動いていて歴史深さを感じる。でも店内はブランド物や服飾品店ばかりで、個人的にはあまり面白くはない。
 地下に行けば何か珍しい食料や酒でも手に入るかもしれない、と期待して行ってみたが、食料品コーナーはわずかなスペースしかなかった。

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裏道にあったバー
 ▲裏道に佇むスポーツバー

 裏道(西32丁目通り)を歩いていると、小さなレストラン兼バーがあり、付近のビジネスマンや労働者らがビール片手にひしめいているのが見えた。

 金持ちそうでないサラリーマン客が多数いる所は良き店が多い、という日本で培った居酒屋発見の法則を信じ、中に入ってみた。濃い肉料理しかないのは相変わらずだけど、値段は安い。
店内の雰囲気
 ▲店内の雰囲気は良い

 店内にはユニフォームや写真など野球に関する展示物が多数飾られていたり、そこら中に備え付けられたテレビからはスポーツ中継が絶え間なく流れている。スポーツバーの様相である。

 ヤンキースやメッツの試合があればさらに盛り上がるのだろうが、この雨で東海岸の試合は多くが中止のようだった。
近所の食品店はお酒も売っていた
 ▲ホテル近くの食品店

 私の下手な英語で注文すると、それは違うよと発音をアドバイスしてくれる客がいたり、仕事帰りの男女が椅子にも座らず飲みながら談笑していたりして、雰囲気はなかなかよい。酒の種類も豊富である。

 「2002年3月より店内禁煙」なる掲示は恨めしいが、州の法律なので仕方がない。

 まだ飲み足りないように思い、ホテル近くの食品店で酒と煙草を買う。

 1箱800円近いタバコを手渡される時、店主は「どうぞお楽しみください」と微笑んで、マッチも一緒につけてくれた。「中毒患者」への憐れみか、それとも彼も患者仲間なのかは分からなかったけれど、珍しく愛想の良い店であった。


▼関連リンク
ニューヨーク市交通局(公式:英語、地下鉄案内地下鉄路線図バス案内など)
カーネギー・ホール(公式:英語)
メイシーズ(デパート)(公式:英語)
※上記で登場したレストラン兼バーの名は
「Blarney Stone Bar & Restaurant」。住所は106 W 32nd St (ペンシルバニアホテルに近い西32丁目通り沿いにある)

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心だけ優雅に?ホテル「ペンシルバニア」(Pennsylvania Hotel)
ペンシルベニアホテル
 ▲駅前にそびえるホテル

 本編でも少し触れたが、ニューヨークの宿は「ペンシルバニア」である。

 日本でいう大正8年、1919年に開業。ペンシルバニア駅の目の前にあることからも分かる通り、当時世界最大の鉄道会社とも言われたペンシルバニア鉄道(Pennsylvania Railroad)によって建られてた客室1700余の巨大な「ステーションホテル」である。
 ジャズミュージシャン、グレン・ミラー(Glenn Miller)の楽曲「ペンシルバニア 6-5000」に歌われ、映画「グレンミラー物語」では重要な場面でその名が登場したりもする。

 そのような栄光の歴史を持つホテルだが、逆に言えば築87年の老施設。最近では日本からの廉価ツアーの宿としてもよく使われている。
 日本の著名サイトで予約したところ1泊16,500円(ツイン)。ニューヨーク市内のホテル相場からして、この立地にしては安すぎる。多少不安に思ったが、怖いもの見たさもあった。

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左側がペンシルバニアホテルで右は駅
 ▲左がホテル、右は駅の入口

 誰でも気軽に入れるロビーはそれほど古くはなく、ホテル内には飲食店などの店舗もある。付近は人が溢れていて活気がある。

 さすがは駅前の一等地である。制服を着たパイロットやスチュワーデスがチェックインする姿も見え、客層もなかなか良いようだ。

 が、フロント係員は格式など関係ないかの如く、総じて無愛想である。1世紀に近い浮沈の歴史をすべて背負い込んだかのように倦怠の表情を浮かべている。
 なお、朝には日本の某ビジネスホテルのように鍵の回収箱が置かれ、そこにカードキーを投げ込んでおくだけでチェックアウト完了になるという合理的システムを採用していたから、以後、実害はない。(ゆえに宿泊料金は完全前払いのようである)
部屋にはもう一つの謎の扉が…
 ▲部屋に謎の扉が…

 エレベーターは片側6台、両面に計12台が並ぶ。3階で降りると、先が見えないくらい長い廊下の両側には部屋のドアがいつまでも続いている。実に壮観であるが、人気(ひとけ)がまったくないので、少々不気味ではある。

 やたらと重厚なドアを開けるが、木製のためか案外軽い。中に入ると左側にもう一つのドアがあり、そこを開くとベニヤ板の壁。丸い穴が開いていて、そこから隣の部屋が見えた。びっくりハウスのようで、子どもなら喜んで遊ぶかもしれない。
部屋のテレビ

 大きなテレビがあるのは有難いが、その下には、どこにもつながっていないパソコンのキーボードだけが無造作に置いてあり、用途が気にかかる。これも子どものおもちゃとしては最適だ。

 陰気な絵と暗い色のカーテンはともかく、遠くからだと部屋はそれほど汚れているようには感じないが、よく見るとかなり埃がたまっていたり、壁には鉛筆で書かれた落書きもある。トイレ兼風呂場も、水垢が目立つ。

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遠目だと綺麗に見えるが…
 ▲遠目だと綺麗だが…

 妻は部屋に入るなり「まるでお化け屋敷ね……」と、ため息をついている。

 私は先ほど、近所で一杯飲んできたし、缶ビールも買ってきた。
 「ペンシルバニア、シックスファイブ、オゥオゥオゥ〜♪」(これは「ペンシルバニア5-6000」の一節である)と陽気なメロディを口ずさみ、頭の中では鉄道全盛時代の巨大なペンシルバニア駅舎と、その前に立つ優雅だった頃のホテルを想像して、幸せな気分に浸っていた。

 単なる酔っ払いだ、と妻は呆れているが、この寂びれた部屋にいるからこそ、かつての栄光時代が思い出せるような気がするのである。

 何にせよ、ペンシルバニア駅から30秒、地下鉄はホテル直結、付近に無数の飲食、食品店があるという立地、そしてこの料金である。
 廃墟めぐりをもう一つの趣味とする私としては、別の観点からも満足であった。


※航空会社のパイロットらが使っているという改装済みの部屋もあるらしいので、上記文章と異なるケースがあるかもしれない(できればそうあってほしいと祈る)。

▼関連リンク
ホテルペンシルバニア(公式:英語、一部日本語での紹介ページも)
ペンシルバニアホテルの紹介(日本語、「フォートラベル」より。写真、口コミ情報など)


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 この翌日、ペンステーションから朝のアムトラック「リージョナル」号でボルチモアに立ち寄りながら、ワシントンまで移動した。次のページはワシントン編です。

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