++ 七人ぐらいの兵士 ++


出演者
水嶋兵吉 上等兵(若葉レフト)…明石家 さんま
木下一郎 兵長(若葉ライト)…生瀬 勝久
片岡隼人 通信兵…恵 俊彰 / 松尾 伴内(ダブルキャスト)
吉永花子 看護婦…一色 紗英
鎌田一等兵…深沢 敦
田中二等兵…温水 洋一
小沢一等兵…八十田 勇一
西口二等兵…坪田 秀雄
熊田一等兵…山西 惇
浜田軍曹…中村 育二


あらすじ&設定
舞台となるのは、戦時中の中国大陸。
さんまが演じるのは、ウソと詭弁で、戦地から日本へ帰ろうと目論む元漫才師の役。
戦時中、「若葉レフト・ライト」という若手漫才コンビだった、さんま扮する水嶋&生瀬さん扮する木下。
戦時中なもんで、英語は敵国の言葉だってことで、名前を「若葉みぎ・ひだり」に改名して舞台に立ったは良いけど、出番の時間になっても水嶋が来ない。
とりあえず1人で舞台に立ち、ネタを披露するも全然笑いが取れず、万事休すの所へ、妹(一色紗英が看護婦と1人2役)が過労で倒れたという知らせが入り、舞台を放り出して病院へ駆けつけるも、妹は励ましの甲斐なく死んでしまう。

実は木下の妹は水嶋の彼女だったりしたもんで、舞台に穴をあけ、妹の死に目にも来なかった水嶋の事を、木下は恨みます。

それっきり水嶋に会えずじまいのまま、徴兵で中国へ行くことになった木下。
徴兵期間満期で内地へ帰る日も近くなって来た時、怪我をして病院へかつぎ込まれます。
そこに一色紗英扮する看護婦さんが居るのですが、彼女が言うには、「爆笑王」なる人物が居ると言い、紹介されてみたらば、なんとそれは水嶋だった。

ここで会ったが百年目…とばかり、木下は徴兵期間を伸ばしてでも、水嶋を殺す計画を立てるんですね。
そこに、日本に帰ることしか頭にない部下の兵隊達の、それぞれの思惑が入り乱れていきます。

お笑いの慰問団が来るという事で、以前歌の慰問団が来たとき、「兵隊さんの時間( 兵隊が飛び入りで参加出来るコーナー)」で優勝した人が、慰問団と一緒に内地に帰れたので、お笑いで優勝したら内地に帰れるかもしれない…と水嶋がみんなにホラを吹いた事から、木下以外の全員のお笑いレッスンが始まります。

そんなこんなで、慰問団が来た当日、木下と水嶋は大喧嘩をし、罰で牢屋だか何だかに入れられます。
が、すぐに出獄命令が出ます。
いつの間にか最前線になってしまった今、1人でも人手が欲しいというのが出獄出来た理由。

舞台はクライマックスで、通信機の所に居る、恵扮する片岡通信兵以外、1人ずつ敵陣に突撃して行きます。
最後に残った2人、水嶋と木下はここでようやく和解して、あの世でまた一緒に漫才をやろう、と約束を交わし、一緒に突撃して行きます。

んで、全てを通信機の向こうで聞いていた片岡通信兵が、遅すぎた援軍からの通信、「戦死者は何名だ、どうぞ。」への返事「自分を含めて、七名ぐらいであります。どうぞ。」のセリフで終幕。


[ 七人ぐらいの兵士−感想 ] 
こんなに笑って、そいでもって泣いたのは久しぶりでございます。
もうね、何処が笑えたってあげるとキリが無いほど、爆笑に次ぐ爆笑でございました。

生瀬さん扮する木下が、さんま扮する水嶋の鉄砲に細工をして、誤発砲の事故に見せかけて殺そうとするんですけど、それがなかなか上手くいかなくて(笑)。
射撃の競争で、順番に的を打つんですけど、暴発に備えて遠くへ逃げようとする木下に、そんな遠くじゃ的に当たったかどうか見えないから近くに来いと言い、巻き添えをくいたくない木下と、そんな企みを知らない水嶋との攻防がめちゃ面白かったです。
わちゃわちゃしてるうちに、どっちがどっちの銃か分からなくなって、木下ピーンチ!みたいな(笑)。

蚊に刺されるとマラリアになって死ぬと聞いた木下が、水嶋を殺すべく、蚊を敏に詰めたり(^^;ゞ。

最初はお笑いの慰問団ではなく、歌の慰問団が来るという誤報だったんですが、水嶋は、絶対音感を持ってると宣い、さんまのあの声で部下達を翻弄するんですけど、もう笑いっぱなしでした(^^;ゞ。
だって、最初の「ド」ど次のオクターブの「ド」が一緒やねんもーんっ(爆笑)。

脇も良い役者さんが揃ってて、私の注目株は3人。
1人は田中二等兵役の温水 洋一さん。 この人かなりヒットでございます。
名前はあまり馴染みがないかもですが、お顔見たらご存じの方多いと思います。
「兵隊さんの時間」で水嶋とコンビを組むってんで、2人で漫才の練習をするシーンがあるんですけど、ちょっとおどおどしながらもとぼけた感じのキャラで、かなり良い味出しておりました。

2人めは、片岡隼人 通信兵役の恵 俊彰。
恵ってば、すんごい良い演技してて、松尾伴内の演技観たこと無いのにこんな事言うのも失礼なんですけど、恵観れて良かったーって思いました。
以前他の部隊に居た彼は、友達の脱走に手を貸した罪で、徴兵の満期退役を無期延期にされ、木下の部隊に移動してきたんです。
で、以前は友達の脱走に手を貸したくせに、今回は自分が退役したいが為に、抜け駆けして、登場人物の中で1番偉い浜田軍曹に、内地に帰りたいと漏らしているヤツが居る…とチクッて手柄をたて、何とか徴兵の無期延期を短くしようと試みるんです。
で、売られたのが小沢一等兵で、彼はその後すぐ、命令で最前線の部隊に行かされてしまうんです。
ここまでは恵、超嫌なヤツなんですけど、その後小沢一等兵が戦死したという知らせを受け、自分のした事を後悔するんです。
でもこれにはオチがあって、さんま曰く、小沢が選ばれたのは、あいうえお順で1番前だったからだと恵を慰めるんですが、実は最前は超寒いところだったので、単に1番毛深い小沢一等兵が選ばれたダケだった…という(笑)。
あと、ラストは恵の「自分を含めて、七名ぐらいであります。どうぞ。」てセリフで終わるんですけど、それ聞いてやっとこの舞台の名前はここにかかってたのか…とか思ったり(^^;ゞ。

んで、最後は西口二等兵役の坪田 秀雄。
役柄は黒縁メガネ掛けたガリベンくんなんですけど、パンフレットの彼はなかなかのハンサムくんでございます。
そう、顔が格好良かった。
ただそれだけで気に入ったダケでございます(爆)。
経歴に「ヤマハJOG」のCMって載ってるんですけど、モー娘。と一緒にしてるヤツで、コンビニの店員さんかな?と推測しております(^^;ゞ。

話しは最初から爆笑につぐ爆笑だったんですけど、それでもチラチラと、この部隊のいる場所が徐々に前線に近づいてきてるのを臭わせてて、クライマックスは結局みんな敵陣に突撃して行くんです。

私が1番泣いたのは、浜田軍曹が、お笑いの慰問団が来るのを部下に知らせた時、お笑いなんてこのご時世必要無い、現に自分は戦争が始まってから1度も笑った事なんか無い…て言ったのですが、突撃するにあたって、自分が戦陣を切ると言った彼は、みんなに、実は1度だけ笑った事があると告白します。

軍曹は戦地に来てから、妻に毎日手紙を書いて送ってました。
でも、毎日書いてると書くことも無くなってきて、結局、今日は晴だの曇りだの、お天気の事しか書くことがなくなったんです。
内地の妻からは、手紙は1通も来たことはありませんでした。
それでも軍曹は、妻は無学だから、手紙を書く事が出来ないんだろう…と、気にとめず、戦地の天気しか書いてない手紙を毎日送り続けてたんです。

ある日、軍曹の母親から手紙が届きます。
その手紙には、妻が過労で死んでしまった事が書いてあって、一緒にたくさんの手紙が同封されており、それは死んだ妻が、軍曹に宛てたたくさんの手紙だったんです。
返事を書いていたのに、どうして送らなかったのか。
妻は、自分は無学だから、返事を書こうにも、色々な事が書けず、内地の天気の事しか書くことが出来なくて、そんな手紙を出す勇気が無かったから…だから軍曹に送ることが出来なかったそうです。

その手紙を読んで、軍曹は笑った…と言います。

んもう、号泣(^^;ゞ。
メガネしてたんですけど、涙出るは、鼻水出るはで、そりゃぁもう大変でございました(^^;ゞ。
前半から後半のほとんどが爆笑だらけだったダケに、クライマックスの一変してのシリアスはかなりキましたです。

最後、軍曹を皮切りに、他の連中が次々と突撃していくのですが、突撃していく前のコメントがみんな泣かせるんですよぉ(;_;)。
で、結局最後、2人きりになった水嶋&木下なんですが、水嶋はこの期に及んでも逃げようとするんですね。
それに怒った木下に対して、「オレは死にたないんとちゃう、生きたいだけなんやっ!」て叫ぶシーンがあるんですけど、ここでまたもや鼻水…あいや、涙が(^^;ゞ。

でも1つ気になることが。
上のセリフ、こう言ったような気がするんやけど、パンフレットの中で一色紗英が、好きなセリフを【さんまさんの「死にたないんや」という所】て書いてるんですよ。
私の記憶ぢゃぁ、「死にたないんとちゃう」やったような気がするんやけどなぁ??
「死にたない=死にたくない」と「死にたないんとちゃう=死にたくないわけではない」では、意味が真逆になってしまいますのねん(汗)。


生瀬さん相手じゃぁ、さんまも分が悪かろうと思いきや、さんちゃん良い演技してるんですよ。
考えてみたらさんまって結構ドラマしてますものね。
この舞台をするきっかけがそもそも、さんまと生瀬さんが共演したドラマ『甘い生活』の打ち上げの時、またこのメンバーで芝居がしたいねって盛り上がったのがきっかけだったとか。

この舞台は、去年東京でしか上演されなかったのが、今年は大阪で上演だったんですけど、また再演してくれるんだったら、次回はもっと近くでもう1度観てみたいと思いました。
本当に楽しかったです。