■ 前口上 世はまさにフルオート、デジタル全盛期です。 スイッチ入れてカメラを構えればシャッターチャージやフィルム巻上げはもちろん、 画面を5つや6つに分けて測光、主体を考慮し 1/3 や 1/4 刻みで的確に自動露出。 ピントは停止物はもちろん動いている物でさえその移動速度を予想し自動合焦。 これだけの機能を使用者に意識させることなくコンマ数秒でこなす。 こんな事が、ごく当たり前に行われる時代に何故ピンホールカメラを… だってやってみたかったんだもん。 まあ、あえて反主流ということで。 ■ プリミティブに行こう! さて、たいそうな前口上は置いておいてピンホールカメラです。 レンズを持たず、小さなピンホールを通った光を映し出す魔法の暗箱です。 前から1度チャレンジしてみたかったけど、なかなか着手できず。 1眼レフのキャップにピンホールを開けた既製品もあるけどなかなか高価。 「無いのなら、作ってしまえ、お父さん」 どうせなら木製でかっこよく大判カメラのように作りたいのはやまやまだけど、 さすがにそこまでやるとなると材の選定や工具類等の悩みも出てきます。 という訳で思いつた代替素材が 「紙」 です。 紙と言っても文具屋で見つけた 1mm 厚のしっかりしたボードだけどね。 ラフの図面のみ描いてあとは現物合わせで Go! まずはフィルム格納部を作成。 続いて光路となる暗箱を作成。 写真では既にピンホールがくっ付いています。 さらに底箱を作成し、 シャッターを付けた上箱を作成し、巻上げ機構を付ければ、 制作期間2日、針穴写真機壱号 Harianar-1 の完成です (^^; の筈だったんだけど、完成品を改めて見ていて驚く。 一応ブローニーの 6x6 を作ったはずだったんだけど… 何故か開口部が 4.5x4.5 に、赤窓部は 6x6 で開けちゃってるのに。 作成時の単純な計算ミスが原因ですね (笑) ■ ピンホール 自作ピンホールカメラの世界ではアルミ缶を素材にする事が多いようです。 アルミ缶を切り抜いて平らにし、針で穴を開けて黒く塗る。 この方法が一般的なようです、しかし他人の真似ばかりしててもつまらない。 という訳で、ジャンク部品のシャッター羽根を使おう! と予定していたのですが… 手元に転がっていたブローニーフィルムの裏紙を見ていてふと気がつく。 「これって、薄くて加工しやすいし遮光性もいい筈」 という事で、急遽レンズ (?) は ILFORD 製の裏紙に決定! まずは裏紙を適当な形に切り抜いて、針で穴をポチッとな。 その後バリをとって、できるだけ真円に近づくように慎重に調整。 0.3mm を目差したのですが、0.5mm 程度になっちゃいました。 まあダメなら作り直せばいいや。 ■ 試写 早速できあがった Harianar-1 を持ち出してみる。 焦点距離 = ピンホールとフィルム面との距離 絞り = 焦点距離 / ピンホールの直径 これがピンホールカメラの基本となります。 今回作成したカメラでは、 焦点距離 = 70mm 絞り = 70 / ピンホールの直径( 0.5 ) = F140 ということになります。 F128 と F180 の中間絞りってところでしょうか? フィルムが ASA400 で晴れの日なら大体 1/1000 の F8 で適正がきます。 そこからぐ〜っと逆算し、空模様を加味すると2秒あたりで適正かな。 厳密には相反則不規なんて事も考えないといけないんでしょうけど… ■ 作例 Uragaminon 70mm F140 (笑) での試写結果。 う〜ん、シャープさが全く無いですね。 F140 という大口径 (かな?) が仇になったか? 総評: 今回は、ぼんやり画像しか撮れませんでしたがかなり楽しいです。 現像を終え水洗後のネガを吊るすまでのドキドキよ、まるで遠足前の子供です。 ピンホール作り直してまた撮ろっと。 |