安  庵  雑  感

2017.04.26


      バックナンバー         
 
愛好会に思う事 

 私も蘭に馴染んで随分経ちますが、あまり蘭の愛好会に入ったことがなく、今の「蘭 神奈川」(土屋晃一会長)が三回目で、今から6年前に入会しましたが一番長続きしている会で、最初に入ったのが今から35年近く前の、エビネと言う野生ランの知りたてで夢中だった当時、京浜地方にあった某エビネ会でした。

 何と言っても会長の肩書が農学博士の大学教授である他、その経歴も農林省研究員・植物研究家で、当時は近隣各地のエビネ愛好会の名誉会長や相談役に名を連ね、野生ランの学術的な関連書籍も多数著されている植物分野の大家で、これからエビネの勉強をするには最適な会だと、当時の蘭友と一緒に入会したのでした。

 しかし、期待に反して研究会には殆ど会長の出席はなく、初めて顔を見たのは春の園芸祭りへの出展準備会で、その時会長の口から何と耳を疑うような言葉が..それは会員の棚でウイルス感染の疑いのある株は、この際に処分するように勧め、花に病斑さえ出ておらなければ、一般の人には分からないからと言ったのです。

 とても会長の言葉とは思えず、商人ならともかく、エビネを普及させるべき指導的立場の人が何を言うのかと、若気の至りで非難したことが ”何を青臭い事言う” と、独善的で傲慢な会長のご機嫌を損ねて、ネグられる結果になり、私も居づらくなって退会した嫌な思い出があり、それ以来何処の会にも属さず一人で楽しんでいました。

 次に入ったのがリタイアした数年後で、隣町の会員数が十数名の小さな会でしたが、エビネ・野生ラン・東洋蘭まで範囲が広く、展示会に出されるものも実に見事な作りの健全株で、やはり自己流の栽培では限界があることから、月例会でテーマと担当を決めて色んな角度から勉強・研究し合う事を提案し、実践もされていたのですが。

 ここの会に嫌気が差したのは、会の運営で軸足が余剰株の販売にあり過ぎ、売りたい会員は展示場で参観者への説明より、即売場に入浸って自分の蘭を熱心にPRしている姿を見て何とも嫌な気持になり、その内、定例化しつつあった勉強会も下らない世間話の会に、もうこの会で得られるものがないと思い4年後に退会しました。

 そして二年の浪人後、今の「蘭 神奈川」に入れてもらったのですが、その決め手になったのは三つあり、土屋会長が蘭の世界に精通されている事、展示会では参観者向けの即売などはやらない事、会の運営が年間計画できっちりと決められていた事で、何度か展示会に足を運び会長さんらと話をする内に入会を決めました。

 ”蘭好きの 蘭知らず 蘭語れず” と言って、花の由来・経緯・所縁の人物も知らず語れずの愛蘭家も多いですが、それを知っていればもっと楽しい趣味になると常々思っていましたが、その点、会長の類稀な記憶力を基に培って来られた博識には大いに共鳴し、入会前から興味深い話を聞けるのが嬉しかったし楽しかったものです。

 その上、入会してから分かった事ですが、彼の人柄は厳つい外貌に似つかず、その私利私欲のない公正公平な振る舞いは、会長としての資質を十分持たれており、良くありがちな特権を振るい得をしたがる狡さや嫌らしさがなくて、勿論人間だから欠点もありますが、それらの少々の欠点は全て帳消しにされ敬愛に値するものです。

 そんな事で、入会してみても気を使う人もおらず、和気あいあいと昼食を一緒に食べて語り合い、春蘭と寒蘭の
展示会では、良い作をした人には皆で自分の事のように互いに喜び合う、この会なら私も得るところも多く、今後そう長くはない蘭人生を、会の仲間と一緒に楽しく過ごせる ”終の愛好会” にしたいと思っているのです。

 我が家の開花エビネ 1
 
 


      バックナンバー