のどに発生する悪性腫瘍を上咽頭、中咽頭、下咽頭にわけて表にしてみました。    のどのQ&Aにもどる
※やや言葉足らずの点も多いのですが、詳しく書くと、きりがありませんのでややおおざっぱです。したがって細かい点でやや語弊があるところもありますが、一般の方に理解しやすいようにわかりやすくクリアーカットに記載しています。   

悪性腫瘍は癌腫と肉腫(下記の注)に大きく分類されます。

上咽頭腫瘍 中咽頭腫瘍 下咽頭腫瘍
発生場所 文字通り上咽頭 口蓋扁桃(片側)が多く、次いで口蓋弓(こうがいきゅう=口蓋扁桃前後に位置するひだ状の粘膜)、舌根部(舌の付け根付近)にもみられる
下図参照(ここをクリック)

@梨状陥凹(りじょうかんおう)
A輪状軟骨後部
B下咽頭後壁

@>A>Bの順に多い
@、A、Bでは腫瘍そのものの性質が多少異なります。
年齢 右2者に比べるとやや若い(働き盛りの男性が最も多い) 比較的高齢の方が多い 比較的高齢の方が多い
性別 男性が多い 男性が多い 発生場所@男>女 A女>男
全体ではやや女>男
原因 不明(EBウィルスとの関連の
可能性が以前より
指摘されている)
不明(扁平上皮癌はたばこやアルコールとの関連が他の2者より大きいとされている) 不明(発生場所@のタイプはたばこや飲酒との関連が大きい)
多い悪性腫瘍のタイプ 癌腫と肉腫(下記の注)があるが、扁平上皮がん(癌腫)、悪性リンパ腫(肉腫)が多い 癌腫と肉腫(下記の注)があり、上、中、下咽頭の中ではもっとも癌の種類が多彩。その中では扁平上皮がん(癌腫)、悪性リンパ腫(肉腫)が多い
ほとんど癌腫で、しかも扁平上皮がんが大部分
比較的早く出る
主な症状(早期には自覚症状は全くないことが多い)
上咽頭は口、のど、鼻、耳へと多方面につながっているため多彩な症状をみせます。
@鼻詰まり
Aにおいのある鼻汁、鼻血
Bのどの不快感
C頚部のリンパ節腫脹(最多
頚部へ早期に転移する
D耳のつまる感じ
E難聴(伝音性難聴)
F頭痛
G顔面の感覚異常
H目の運動障害
※FGHはある程度進行してから出現
のどの異物感
片側の嚥下痛
 (飲み込む時の痛み)
耳の痛み
 (飲み込む時など)
頚部のリンパ節腫脹
頚部へ早期に転移する
咽頭痛、嚥下困難などが
主症状だが、この病気
特有の症状はない
声枯れのことも。

転移しやすい
転移
(癌腫の場合)
頚部には非常に早い。
全身(肺、肝臓、骨など)にも多い
同左 同左
この他に同時に食道や胃にがんが見つかることも多い。
主な検査 @問診
A視診
最も重要 ファイバースコープも時に使用)
B触診(頚部)
(頚部への転移などをおおざっぱにみる)
C血液検査
(腫瘍マーカーなど)
D病理組織学検査(病変部を少しけずりとって顕微鏡でみる検査)
(これで病名が確定する。腫瘍のタイプを調べる)
ECTやMRI検査(輪切りの写真)
(腫瘍の広がりなどをみる)
頚部超音波検査(エコー)
(頚部のリンパ節への転移などを調べる)
Fシンチグラフィー
(放射性物質を注射後、レントゲンをとる検査。全身への転移がないかみる)
同左 同左(食道、胃にも癌がないかどうかも胃カメラなどで調べる必要がある)
治療 ○扁平上皮癌→放射線治療、化学療法が中心で、手術が行われることはまれ。。放射線治療が非常によく効くことがある。
悪性リンパ腫→手術は選択されない。比較的早期なら放射線治療が中心、進行したものは強力な化学療法(抗がん剤の点滴)が必要
○扁平上皮癌の場合→三者併用療法(下記の注)

悪性リンパ腫の場合→同左
三者併用療法(下記の注)
予後(いずれも基本的には予後はよくない) ○扁平上皮癌→
・よくないことが多い(発見時にかなり進行している)が、放射線が劇的に効く可能性がある
・再発しうる期間は10年と、長い

悪性リンパ腫
・放射線治療や化学療法(抗がん剤の点滴)が効けば治る可能性がある。
○扁平上皮癌→よくないことが多いが比較的早期に発見できて手術で病巣を取りきれれば治ることも期待できる
悪性リンパ腫→同左
よくないことが多いが、比較的早期に発見できて手術で病巣を取りきれれば治ることも期待できる
その他
鑑別を要する病気として上咽頭線維腫(下記 注)がある



下咽頭腫瘍の発生場所のイメージ図

この図の説明についてはのどの
構造と機能のページ(ここをクリック)を
参照してください










一般に癌(がん)といわれるものは次の2種類に大きく分類されます。それぞれに対する抗がん剤がありますが、一般に肉腫には抗がん剤は効きにくい傾向があります。

○癌腫(がんしゅ) 
悪性腫瘍のうち、病理組織学的(顕微鏡検査)に上皮組織(体の表面または内腔の内面をおおう組織)から発生したと認められるものの総称。扁平上皮癌はこれに属する。のど(耳鼻咽喉科領域)の癌の多くは扁平上皮癌。

○肉腫(にくしゅ)
悪性腫瘍のうち、癌腫以外のもの。悪性リンパ腫はこれに属する。


※三者併用療法(さんしゃへいようりょうほう) 
放射線、抗がん剤、手術の3つを組み合わせた治療


上咽頭線維腫
思春期からの若い男性(特に10代後半)に多い病気。良性腫瘍に分類されているものの、発育が早く、再発もあり、また、周囲の組織を破壊する性質も持ち合わせているため、実質的には悪性といえる病気。鼻血、鼻詰まり、鼻声がまず自覚されますが、大きくなると難聴やほほの腫れ、眼球突出などの症状がでます。治療の基本は摘出手術ですが、血管が豊富な腫瘍であるため、手術時の出血を減らす目的で手術前に放射線やレーザーを当てたり、病変部への血流量を減らすために血管内に薬を入れる治療などが行われます。

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