love・joy・house 空を遊ぶ家
■ “心 と 体 の 贅 沢” 住まいの質の向上が求められたこの10年は設備機器の普及とデザインへの関心に終わった様に感じられる。これは、住宅の物質的な価値であって、内面的、精神的な影響、環境や景観に対する意識は未だ定着したとは言い難い。
■ 魅 力 あ る 住 環 境 気持ちの良い住宅地は、緩やかに蛇行する道、道沿いの木々、見えかくれする、住人の人となりを感じさせる家々から成る。塀で囲われた家が連続するのは、排他的で、隣人と親しく交わる気分が感じられない。道いっぱいに家を建て、玄関前の空地はカーポートのみというのは、家は立派でも、ゆとりが感じられない。住環境を隣人と共有する、良い景観づくりに係わるという意識、つまり家の周囲の作り方、道沿いのしつらいまで考えた家づくりをしないと、良い住環境は生まれない。・・・“道沿いの景観に寄与する”
■ 創 造 的 な 生 活 意欲的に生きる人は、家族生活を楽しむ。社会生活の緊張を解き、培ってきた自らの文化を子供に伝える。家はその為の場である。四季の行事、しつらい、食事、食器、衣類、趣味等、生活を通して、美意識、価値観は具体性をもって伝わる。これは、子供が自分自身の文化を創り出す為に必要不可欠な下敷になる。親とは又違う新たな可能性が育まれるだろう。この家にはそんな生活の為の仕掛けが用意してある。家の中心には“家族生活の核”つまり家族が自然に顔を合わせる食堂。絵を画く、工作をする、楽器の練習をする、手芸をする、散らかしたままにできる家族共有のアトリエ。家中の様子が窺える司令室の様なキッチン。1、2階の空間を関係付ける大小の吹抜け。居間に食い込む濡れ縁、老人室となる和室のまえには内土間、南庭に突き出たバルコニー等、四季折々の自然を体感する戸外生活の場。北西方向に広がる雑木林を遠くに望む三角出窓、書斎、アトリエ上部に浮かぶ展望ギャラリー。包容力のある空間をつくるカーブ天井。
■ 滑 ら か に つ な が る 内 外 空 間 漫然と連続する均質空間は広がりに乏しい。くびれながら連続し、様々な差異(陰影、大小、高低、出っぱり奥まり、明暗)を持つ空間は意外な広がりを生む。これに、室内から庭へと続く連続性が加われば、広がりは倍加し、その間に中間領域(半外部、半内部空間)を設ければ、つながりはより滑らかになる。この家では、自然を体感する戸外生活の場、濡れ縁、内土間、庭に突き出たバルコニーがそれに当たる。三角形の出っぱりや食い込みは、内外空間の関係付けに効果的である。 笠嶋淑恵/笠嶋建築工房
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