■設計・工事監理の進め方
計画着手〜竣工まで |
A.基本設計に入る前の条件整理<計画敷地について> | |
基本設計に先立ち色々な調査を行います
敷地を中心とした地域環境に関して、その中に位置 する計画敷地について、あらゆる角度から検討調査します。 代表的な調査項目→敷地を中心とした街区の景観/都市計画 用途地域/道路/計画敷地近隣の地質/各種条例<緑化・福祉・中高層規制・衛生など> 計画に入る前に、敷地に関する全てのデーターを認識します。 隣接している建物どうしが街区を形成し、一つの建物のありようが、地域の景観に影響をあたえる、という視点を大事にしています。
|
![]() 敷地調査報告書↑ 近隣地質データー↑ |
B.基本設計に入る前の条件整理<住まい方について> | |
これから計画する<住まい>についての、住まい手側の要望などを整理します。
計画に先立ち、住まいづくりに関する<設計のためのアンケート調査>を実施しています →家族構成<設計のために想定する>・住まい方に関する考え方、要望など・きめ細かに記載していただきます。 その中の労力をさいていただく作業に<持ち物リスト>の作成があります。 →新しい生活の場へ持ち込む<家具類・鍋釜類・食器類>などを、きめ細かくデーター化いたします。 収納計画とは、物をしまい込むのではなく、すぐ使える体制で、それぞれ物の居場所を確保することです。そのための大事なツールとなります。 これらを記入していくことを通じて、家族内で新しい住まいに対するイメージを深めていただきます、合わせて<住まうこと>についての意識を高めていただきます。 自分の生活スタイルを再確認し、設計者にそれを伝えることも、計画の中で重要と考えます。
計画する住宅は、建築家だけでデザイン・設計するものではありません。全て建築主との共同作業で完成に近づけます。 これらのデーターは、そのための大切なデーターとなります。
全体計画の計画工程表を作成します。 スタートして完成するまでには、各種条例手続き、確認申請手続き、融資手続き、建て替えの場合は仮住まいなど、計画以外にもいろいろな手続きが必要になります。 それらを無駄なく、オンスケジュールで行うために、計画工程のマスタープラン<調査着手〜竣工まで>を、建築家・建て主双方が理解し、お互いが行わなければならない作業をスムーズにおこなうことが大切です。 |
![]() アンケート↑ 持ち物リスト↓
計画工程表↓
|
C.基本設計 | |
エスキースを経て、プレゼンテーションをオンスケールの状況で作成します。
配置計画・断面計画などとともに、模型を作成し我々の考え方を提案致します。 最近はCG<コンピューターグラフィック>を通じ、外観や室内空間のプレゼンテーションを選択する場合もあります。 プランニングでは、前述の<アンケート>に記入していただいた<住まい方〜持ち物リスト>までを反映し、プレゼンテーションされます。 これらの提案を元に、ミーティングを繰り返し、我々と建築主の考え方の距離を縮めていきます。 ここまでで、概ね3〜4ヶ月程度の時間を経過しています。
|
![]() 外観模型↑ |
D.実施設計<設計図面作成> | |
基本設計を終了し、実施設計に入ります。
基本設計は、何もないところからデザインを含めて生活する空間を創造するソフト的な作業です。 実施設計では、それらを具体化するための設計図書を細部に至るまで作成するハード的な作業です。 設計図書は、数十枚にも及びます。計画によっては百枚近い設計図書になることもあります。 構造が複雑な場合などは、軸組模型を作成し、計画した空間の確保が可能かどうかの検討をする場合もあります。 実施設計業務を完了するまでに、融資手続きの補佐を行い、建築確認通知書を取得し、いつでも着工可能な状態にもっていきます。 ここまでで、計画着手から6〜7ヶ月程度の時間を経過しています。 |
![]() 実施設計図↑ 構造模型↓
|
E.実施設計<見積り監理> | |
実施設計の業務は、業者に見積もり依頼し、請負工事金額と業者決定までの業務が含まれます。
特命の1社見積もりから、数社の見積もりあわせまでケースバイケースで対応致します。見積期間は概ね2〜3週間で行います。 提出された見積書の金額査定を行います。 適正なコストで見積もられているかなどの詳細の確認をします。 見積書の内容は、その会社の能力を測り知る上で重要です。 当初決めた予算をオーバーした場合などは、減額の項目を選定しミーティングを繰り返し、その上で最終工事金額を確定します。 |
![]() 3社見積もり合わせの見積書↑ |
F.工事監理 | |
見積もりを経て工事金額が確定すると、吉日に請負工事契約を執り行います。 契約書の工事監理者の欄には、設計者が監理者として現場を監理する旨のサインと捺印を行います。 工事着手に先立ち、地鎮祭を執り行い工事の無事竣工を祈願いたします。 形式は、それぞれの事情で、まちまちです。
着工から上棟までは、地業(地盤面工事)の確認、基礎配筋検査などを行います。 上棟後は、概ね週1回のペースで現場定例を行います。上棟後の構造検査・金物関係の検査、計画通りに納まっているか等の検査を継続します。
月に1度は建て主を含めた定例を行い、監理報告及び工程確認を行います。 竣工までには、素材確定・色彩確定など、建て主にも参加していただく作業もあり、それらを経て竣工へ向かいます。
工事現場の整理整頓など、工事に取り組む環境を指導することも、安全工事を進めるためには大事にしている部分です。
工事竣工前には、確認検査機関の各検査を行い、検査済み証<申請通り工事しているという合格通知>をすみやかに取得致します。 建築基準法が改正され、検査済み証がないと、将来増築などの計画に支障を来す場合があります。 また、住宅ローンなどの最終融資が実行されません。
工事終盤、足場が取れた段階で、建物の表示登記を行います。 その後、融資がある場合は抵当権設定登記、保存登記へとすすめ竣工に間に合うよう登記の手続きを滞りなくおこなうための補佐作業をおこないます。
|
![]() 地鎮祭↑ 配筋検査↑ 上棟時↑
|
G.竣工引き渡し | |
工事竣工を受け、引き渡し前に施主検査・監理者検査を行い、計画通りにできているかどうかの確認を行います。
指摘事項が合った場合は、ダメ工事とし改善に努め、改めて補修工事後に再確認を行います。 全てが整ったところで、建物の引き渡しを行います。その上で入居という運びになります。 建物規模にも寄りますが、計画着手から10〜12ヶ月程度経過しています。 建物は、竣工がゴールでなく、そこからがスタートです。 竣工後、1年点検及び2年点検を、適切な時期に施工業者と同行し実施致します。 保証期間が付置されている工事項目(ex.防水工事)は、有償無償にかかわらず、定期的に点検確認の指示を出し、継続的に良好な状態を保てるよう指導を継続致します。
|
引き渡し前の施主検査↑
|
H.アフターメンテナンス | |
建物は、竣工がゴールでなく、そこからがスタートです。 竣工後、1年点検及び2年点検を、適切な時期に施工業者と同行し実施致します。 保証期間が付置されている工事項目(ex.防水工事)は、有償無償にかかわらず、定期的に点検確認の指示を出し、継続的に良好な状態を保てるよう指導を継続致します。 一番長い保証期間が切れる10年をめどに、時間経過とメンテナンス調査を促すための通知を出しています。 定期的なメンタナンスは、建物を良好に保つために重要な役割をはたします。 時間経過とともに、家族構成も変化していきます。末永くおつきあいさせていただき、その後の改装計画にも役立てるようなスタンスをとっています。
|
![]() 竣工後10年経過を知らせる通知↑ |
![]() ![]() |