私が定例的に参加している『ヒューマンCUM』という会合で、『モノ・コト・ヒト』『見る・視る・看る』というふたつの言葉に出会いました。
私はその時、自分の中にある設計に対する考え方の原点を改めて確認できたような気持ちになりました。
『モノ』としての建物の裏側には必ず『ヒト』が存在し、我々の仕事は『コト』としての技術を通じ『ヒト』に還元することだと考えています。
これを全ての計画の原点に据え、今後とも建物づくり・街づくりに取り組んでいきたいと思います。 たったひとつの小さな建物も、それが連続することで街並みが変化するごとく、『ヒト』が存在する建物が増えることで、素晴らしいコミュニティが発展していくことと思います。
20世紀は、高度成長にささえられ、経済が素晴らしい発展を遂げ、建物もスクラップ&ビルドの言葉通り、高度成長をベースに増え続けてきました。 合わせて環境破壊へと、ものすごいスピードで進んで行ったわけです。 気がつくと、その当時建てられた建物が40〜50年を過ぎようとしています。
それを目の当たりにしたとき、『建築士・ファシリティマネージャー』という職能の中で『経過した時間』に対して正面から向き合うことが必要・・・・。 という思いに駆られました。
また、これからの建築士像として、建物を総合的に見る、コーディネイター能力を問われる時代がくることと痛感していますし、複眼的に建物をみる能力『見る・視る・看る』を身につけなければならないと考えています。 それぞれの『ミル』の持つ意味を再認識することが、ここで改めて必要なのではないでしょうか。
建物を使い、人々が生活をし、その生活が変化していくように、建物自体も経年変化していきます。
そこに人が住み続ける以上、使い続ける以上、その建物を再生させ、リニュアルし、合わせて環境改善計画を施し、40〜50年前の『物差し』で計られ計画された建物を、現在そして未来の『物差し』で計り直し再生させる・・・・。
ただ新しい建物を作り続けるだけでなく、こんな活動にも積極的に取り組んで行きたいと考えています。
KAIT建築設計工房 伊東 利孝 |