母は80歳近いのですが、めったに風邪にもかからないし、楽天主義なのか(医者嫌い?)少しくらいの風邪では、医師にみてもらおうとしません。
今回も、母は寝ていれば大丈夫と電話では言って、自分では体温も測ろうとせず、ただ寝ているだけだったのですが、私が心配して家に行ったら、体温は38.8度もあり、肩で息をしているような状態だったので、すぐに近くの診療所に連れていきました。高齢になると、のどが渇きにくく、細胞内水分量の減少もあって脱水症になりやすいそうです。
診療所の所見では、胸部X線検査で片肺の1/3程度に影があり、また血液検査で炎症反応が見られたので、細菌性肺炎だろうという診断。看護婦さんから、もっと早く来なくちゃだめですよ、と言われてしまいました。 皮膚が乾燥していたので、脱水症状だろうということで、抗生物質が入った乳酸リンゲル500mlの点滴。翌日も点滴500ml。
抗菌剤:ジェニナック錠200mg メシル酸ガレノキサシン水和物(キノロン系) 薬価:200mg1錠 296.5円 用法・用量:成人1回400mgを1日1回経口投与 多剤耐性肺炎球菌などの耐性菌を含む呼吸器・耳鼻咽喉科領域感染症の起炎菌に対して優れた抗菌活性を有し、良好な経口吸収性と組織移行性により1日1回投与で優れた臨床効果が期待できる薬剤。 キノロン系薬剤は濃度依存性(1回の投与量を多くすることによって効果が増す)。
PK/PD ジェニナック400mg単回投与時のAUCは89.8(μg・hr/mL) キノロン系抗菌剤におけるAUC/MICの目安は、グラム陽性菌(肺炎球菌)に対する治療で、30〜40以上。 http://med2.astellas.jp/med/jp/basic/details/gen/expbasic/25.htm
去痰剤:コフノール 成分:塩酸ブロムヘキシンの代謝産物製剤、塩酸アンブロキソール 薬価:1錠 6.4円 たんが切れやすくなるような分泌物を増加させ,たんの成分である酸性ムコ多糖類の線維を細断する 副作用:アレルギー症状、悪心,食欲不振,胃部不快感,腹痛など
鎮咳剤:クロフェドリンS 成分:塩酸エフェドリン 薬価:1錠 6.1円 脳の咳中枢に作用して咳を止める作用と気管支を拡張する作用 副作用:不眠,動悸,食欲不振,頭痛,発疹
参考 ●細菌性肺炎では、細菌が感染した組織はX線が通り抜けないため、白い斑点陰影となってX線写真上に現れます。ウイルス性肺炎は、広範囲に広がった白く薄いしま模様または斑点が特徴です。肺の先端部に異常がある場合は、結核が示唆されます。
メルクマニュアル家庭版 http://mmh.banyu.co.jp/mmhe2j/sec04/ch042/ch042a.html
●一般的には、病原菌に対して適切な抗菌薬での治療が行われれば、1〜2週間で胸部X線像の浸潤影は消失して治癒。軽症〜中等症の細菌性肺炎では抗菌薬の投与は3〜7日間で十分。
e治験ドットコム http://www.e-chiken.com/shikkan/haien.htm
●飲み薬や注射の抗生物質による1〜2週間の治療で改善します。
日本呼吸器学会 - 細菌性肺炎 http://www.jrs.or.jp/home/modules/citizen/index.php?content_id=4
●抗菌薬の投与期間は通常一週間 院内感染症に対する抗菌薬の投与は、緑膿菌など耐性菌ではない場合には一週間程度の投与期間が望ましい。また抗菌薬の投与量は、患者状態にあわせて、できるだけ高用量で用いることが望ましい。抗菌薬低感受性あるいは耐性菌の場合、短期間(一週間程度)での抗菌薬の中止は再発の可能性があるが、それ以上の期間の投与は耐性菌感染症を誘発する可能性も高い。
大阪大学医学部附属病院感染制御部 http://www.med.osaka-u.ac.jp/pub/hp-infect/file/manual/j.pdf
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2008年5月16日(金)
No.271
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