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アメリカミズアブの対策

 アメリカミズアブとは、体長10mm〜20mmの黒いアブです。アブですが、人を刺したりしません。帰化昆虫ですが、各地に広く分布しています。有機物(生ごみ、人畜の糞、腐葉土など)が豊富なところに発生します。ミミズ箱、堆肥箱には必ずといっていいほど発生するのでエコロジーな人には嫌われています。幼虫はウジムシで大量に発生するので、気持ち悪いのです。私が子供の頃には、汲み取り式便所によく発生していたので、便所アブと言っていました。
 学名:Hermetia illucens 英名:Black Soldier fly(黒い兵士のハエ)

 卵はまとめて産み付けられ、その塊は白色で、全体でも数ミリと小さいので、見つけにくい。生ごみの上に産卵しなくても、容器の外側に産卵し、孵化した幼虫は、フタの隙間から中に入り込むようです。
 卵の写真

アメリカミズアブの幼虫

 1回の発生で数十匹も生まれてくるし、食欲は旺盛で、腐敗物を入れるとすぐに集まってきます。ミミズ箱では、アメリカミズアブの幼虫は、ミミズを押しのけてしまい、生ごみを占領してしまうので、発生したら捕まえています。幼虫が少なければミミズと共存できています。しかし、アメリカミズアブの幼虫がたくさんいると、ミミズのエサを横取りして、エサ不足になる恐れがあるほどです。幼虫は生臭いので大量にいると、臭いでも嫌になります。
 堆肥箱のアメリカミズアブの幼虫は、生ごみを処理してくれるので、放置しておきます。生ごみを処理してくれるのはいいのですが、幼虫の姿が気持ち悪いので、取り除いています。孵化した後の蛹の殻は、腐らなくて、半年以上もそのままの形を保っているので、これも気持ち悪い。
 エサが豊富にあると、体長20mmくらいの大きさになりますが、エサが少ない環境だと10mmちょっとの大きさでも蛹になります。小さい蛹でも、元気な成虫が生まれてきます。 幼虫は、地面近くの通気性の良いところで、蛹になります。なので、蛹を深くに埋めておくと、羽化できないか、羽化しても死んでいます。

強い生命力

 アメリカミズアブの幼虫だけを、割り箸で捕まえて、逃げないような容器に入れて、干しておいても、なかなか死にません。小さな幼虫は数時間で死ぬのですが、大きいとしぶといです。死ぬまでの間は、活発に動き回るので、気持ちよいものではありません。
 アメリカミズアブの幼虫の生命力は強く、堆肥箱の内容物を全て、新聞紙の上に播き、真夏に天日干ししても、1週間は生きていました。生ごみと一緒に干しても、大きな生ごみの中に水分が少しでも残っていると、そこに入り込んで生き延びてしまうのです。しかも、平らなところに干すと、日が落ちて暗くなると、堆肥から逃げ出して、あちこちの暗がりに移動してしまうので、気を付けなければなりません。堆肥を乾燥させて殺そうと思ったら、完全に乾燥させないといけないのです。

幼虫の効果的な捕まえ方

 幼虫は光を嫌って、土の中に逃げ込む性質を利用します。ミミズ箱や堆肥箱の中身を平らな容器に、2,3cmの厚さで入れておくと、ミミズやミズアブの幼虫は下の方に逃げますので、集まったところを捕まえます。
 また、水分が多くて腐りやすく、臭いが強いものものには、すぐに寄ってくる性質を利用して、スイカの皮、メロンの皮、梨の芯などを置いておくと、幼虫が集まってきます。

アメリカミズアブに産卵させない

 腐敗臭に敏感で、臭いのする生ごみを置いておくとすぐに成虫が飛んできます。防ぐには、目の細かいネットで箱全体を覆うといいようです。
 ミミズ箱には、一度に腐りやすいものを大量に入れないことが大切です。生ごみの上に土をかぶせるようにすると臭わないので産卵されません。しかし、箱の下の方が水分が多い場合は、腐敗してしまい、臭いがするので、水分管理も重要です。
 堆肥箱は、どうしても臭うので、産卵されてしまいます。しかし、堆肥箱には、生ごみの数倍の土を入れ、なるべく乾燥気味に保ち、よくかき混ぜて、腐敗臭をなるべく少なくしても、ミズアブはやってきますが、かなり少なくなります。

植物への食害の可能性

 熟成させるために寝かせている堆肥で、カボチャの種が発芽したのですが、発芽した双葉を、まだ小さな体長4ミリくらいのアメリカミズアブの幼虫が食べていました。双葉は枯れておらず、しおれてもいませんでした。エサが少ないと、生きている植物を食べることもあるようです。
 双葉は堆肥の中に埋もれているという特殊な条件なので、幼虫に食べられたのかもしれませんが、堆肥に使う時にはミズアブの幼虫は、取り除くようにしています。

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