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山崎ギター工房ブログ「YGK的っ」のファンである私は連日チェックを欠かさない。
なのでこの頃、ある製作中のボディーが気になりながら生活を送っていた。

時は少々前の(木曜日)に1通のメールからこの話は始まる。
ちょうどその日仕事が休みで「神田方面」に出かけていた。神田〜御茶ノ水と言えば楽器街。
楽器街からは少々外れた2軒の店を十分楽しみ、夜は「さぼうる」か「南海」でご飯をするか?
などと考えながら時を過ごし、友達のM弟君と偶然にも神保町でニアミスしてしまった。

帰り道久しぶりに渋谷のタワーレコードに寄ると師匠の師匠、なので大師匠と勝手に心で思う方、
山内雄喜氏のCD「ナ・メレ・オ・ハワイ・エ・アラ vol.3 20世紀初頭のハワイ音楽 <インスト編> 」を
ようやく手に入れる事が出来たり、これまた山内氏の「ハワイアン・スタイル・ウクレレをかるーく弾こう!」と
言う書籍を見つけ中を拝見し、とても素敵なイラストや写真が満載でパイナップルウクレレも
出ていたりして「pineapple ukulele」良いな〜などと考えながら過ごした日だった。

その後、この物語の結末は私的にとても素敵な物を手に入れてしまう事となる。
 

チェック済みだった(笑)

山内氏のアルバム

タワーレコードを出るとメールが入っていた。
受信者は「山崎ギター工房」の山崎氏だった。

こんな感じの文書でスタートした。
「突然ですが売っても良いぜ!なアンプないですか?希望良い音がするチャンプ的なアンプ」と
書き記されていた(笑)


私がギター好きだけど、アンプもかなり好きと言う事を知ってる山崎氏からの問い合わせで心踊る(笑)
彼のメールを見た瞬間から直感的に自分が大切にしているチャンプを譲る事を決めていた。

なぜ大事なのに譲るの?と思うかも知れないが、仲間に中途半端な物は渡したくないとただそれだけの事。

それともうひとつある。彼は素晴らしいウクレレやギターを作る職人。
ギターを注文したお客様の気持ちの(良いなこのギター度)パーセントを
少しでも上げるお手伝いの為に良いアンプを渡したかったのだ。


 



彼に嫁いだアンプ
 
「ブツ」の取り引きとしては物々交換的になった訳だが、私は彼のメール文書に書かれている
「ベビーパイナップル」と言う言葉に少々反応してしまったのだった。

と言うのも私はウクレレの事も詳しくないので、その「ベイビー」と言う言葉は、ボディーがすごく小さいと
勝手に思ってしまったのだ。以前から山崎氏が制作するウクレレの写真を甞める様に見ていた私なので
HPに出ている全てのウクレレを見ていた訳だ。その中にパイナップルも数台制作されていたのを見ていて
「ベビー」=「小さい」と思っていた。

なので「取り引きはもちろんなのですが、こちらがお金を足して演奏で使える物を頂けませんか?」と
彼と遣り取りが続いた。

すると彼は「もちろん良いけど、ベビーと言ってもこんな感じだよ!」と1枚の写真を送ってくれた。(※2)
比べられているウクレレは私が持っている資料などにもよく出てくるあの「ka-lai pineapple」
おそらく1930年代の物だと思う。先輩と並んでいて説得力があったりもした(笑)

そんなに思ってたよりは小さくないので、この話を進めて頂いた。
 



先輩と並んで
彼は愛の男。
「指板はどうする?」 「何フレット仕様にする?」 「ヘッドどうする?」と物々交換的なのにもかかわらず
手を抜く事なくウクレレの制作を続けてくれた。

今回、13フレットジョイント!、しかも指板なしと2人で決めた。
完全なオールドスタイルだ!絶対にクールに仕上がるだろう。

この写真を見て下さい!(※2)
素晴らしいカーリーコア。なんだか美味しそうです。
これを見た時、私がサーフィン勉強の旅と言って、ハワイに何ヶ月かいた頃「本当は南国で遊んでばっかりだったが」
バイトで果物の木に登り、実を摘む時見た果実を思い出しました(笑)

 

コアのすごい杢目!

 山崎氏が連日ブログやモバイルツールに写真を送ってくれるのは本当に嬉しい事である。
ま〜今回は客ではないので、逆に申し訳ない気持ちでしたが、彼に注文したお客様はこの中間報告的な
素晴らしいサービスは皆様気に入っている事だと思います。

私もよく聞く話ですが、オーダー物のギターやウクレレetc.、
ものすごい時間を待たされても、何の連絡もないのは平気で当たり前の事のようです。
基本的にオーダーしている人の方が気を使っているケースのが多いではないでしょうか?
注文した方は「忘れられているのでは?」や待っている間に他の物が欲しくなってしまう事もしばしばです(笑)
私の友人の話ですが、2年くらいの月日が経った正月、その工房からの年賀ハガキが届き「忘れられてないんだ」と
認識したそいうです。

私自信も都内某楽器店で1年半待った事があります。
ちょっと話は違いますが、注文したのは自分ですが、例えば一例を(笑)
「フレット少し斜めに打とうと思っているんだけどどう?」と言われながらビビって完成を待った記憶も(笑)

彼自体も制作やリペアなどで毎日多忙な日々を過ごしていると思うのですが、
そんな中でも彼らしいサービスと言いますか、心遣いだと思います。「プレッシャー?(爆)」

これを書きながら思い出しましたが、確か彼が某楽器店に勤めていた頃、彼は舶来品のバイクを注文したんですよ。
でもそれは実物も確か日本になくて、でもお金は払い込んでいて、バイクが届くまでものすごい時間だった様な(笑)
その頃自分はバイクと自転車を修理する所に務めていて、彼が「大丈夫かな?」と自分に呟いた事を思い出しました(笑)

そう言う自分自身の体験からこのサービスがあるのかどうかは知りませんが、素晴らしい気転だと思います。

安心してオーダー出来る店、それが山崎ギター工房です。
 

ド〜ンとネックが付きました

ヘッドはパイン!
車の落書きクール!

彼の計らいで12フレットにパイナップルのインレイが!だが彼が言うに「タコ?かイカ?に見えない?」と(笑)
私のわがままとして「ヘッドはどうしてもパイナップルでお願いします!」と伝えました。

上記にも書きましたが、今回指板はなしにしたのですが、これが私にはイメージ出来ずにいました。
「いったい指板がないってどんな感じなんだ?」と日々過ごしておりました。
ですがよく考えてみると、50年代のストラトなどは「レプリカも」ワンピースメイプルネックって指板なしですよね(笑)
ウクレレだと全然イメージ出来ませんでした。

と言う事でネック&ボディーそしてブリッジなども全てコアにしてくれました。

私は全く木の事は分からないのですが、あの薄い色の木が塗装を吹くとなんで美味しそうな色になるのでしょうか?
そして杢目がさらの際立って出てきますよね〜
ん〜深いな〜木。

そしていよいよ山崎氏の手によってペグ・ナット・ブリッジサドルなどなどチューンナップされ完成です!
これまた最初の写真の時と同じで、先輩と記念撮影です。
満80歳と0歳のウクレレです。なんだか面白ですね楽器って。

 
 

塗装ブースでお化粧中



先輩と記念撮影


6月6日(日曜日)彼と彼の家族「山崎ファミリー全員」でウクレレを届けてくれました。
奥様とお兄ちゃんには何年振りにお会いしたかな?息子さんなんだがすっかり男前になっていて、
私がいかに年を取ったか分かります(汗)

彼のブログに登場し、我が家で我々が勝手に癒されている事もあるので
「癒しの子」と評判の娘さんとは初めてお会いしました。
実は娘さんお誕生日が過ぎたばかりなので、サプライズプレゼントを用意しました(笑)
先日相方と相談しプレゼントを決めた。とは言え山崎氏の家庭は木を愛する家族。
そして山崎氏自信も素晴らしい木で作る、素晴らしい楽器を世に出し続けている。
なのでこちらも彼の工房の様なドイツの玩具工房で作られている、手作り玩具をプレゼントする事にしました。
うちの相方はお子様に優しい玩具を作る海外の職人さん達の玩具を輸入販売をする会社にいる。
なので山崎さん!社割りで買いました。せこい?(笑)

さてさてクロスロードブルースの様に十字路ではないですが、駐車場で彼と悪魔の取り引きをした(笑)
私のチャンプを見て「あれ?結構思ってよりチャンプって大きいね〜(笑)」と語る山崎氏。
私も「そうなんですよね。それに音もデカイしさ。どこが5ワットなのか分かりませんよ」と言う感じ・・・
そしてその後、私の私物ネックが浮いたトライコーンを彼に預けたりし、山崎ファミリーは去っていった。

じっくり譲り受けた「ザパイナップル」を見る。
実物はブログで見るより、さらに完璧な仕上がりだった。とてもシンプルなのに存在感はバッチリである。
角度で変わる杢目がまた美しい。そして初めての指板なしのフレットボードはツルツル感が気持ちが良い。
指板がない為なのか?それともパイナップルだからか?は分からないが、もう1台のYGK製と比べると
ネックとボディーの接着角度がかなりある。これもまた山崎ギター工房の秘密なのだろう。
制作前に心配していた、音量も全く気にならない。かなり自分の好みの音である。
また彼から素晴らしい楽器を作っていただいてしまった。

このウクレレに出会うまでの物語でした。
スチールギター友の会 清水 英樹

スペックはシンプルに
ボディ&ネック:オールコアウッド
ナット・牛骨 サドル・象牙
ペグは「PEG HEAD」
塗装はオールラッカー

 

アディオス・アミーゴ!


早速ベランダにて
   
   


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