昨年の話になりますが、バンマスにプレゼントをする為に
以前から自分のギターやスチールギターをリペアしてくれている山崎氏の工房
「山崎ギター工房」(通称YGK)にボールペンを注文する事にしました。

おいっ!ギター屋さんでしょ?と突っ込まれそうな展開ですが、
たまにこう言うレアなアイテムも作って世に送り出しております。
そのペンの注文メールを出した時から物語は始まりました。

以前からYGK山崎氏には「アウトレットのウクレレ出たら連絡下さい」と
言っていたので、ボールペンの話題のメールに「今、2本ウクレレあるんだけどどうする?」と
連絡を頂いたのが話の始まりです。その2本のウクレレは1本がコンサートタイプで、
かなり見栄えもゴージャスで高級そうな物でした。定価は20万円。
ですがそうとう値下げの価格を提示してくれていたのです。
もちろんこれは自分だけではなくレンダースの仲間にも連絡しました。

そしてもう1本はメールの時期にギタークラフト展の様なイベントがあり、
その為に作り上げた、かわいらしいオールコアのパイナップルウクレレでした。
そのウクレレにものすごく恋をして(笑)ものすごく悩みました。
だがあと数万円を足せば、いちからオリジナルが作れる事が引っかかったのです。

オーダー物は高くなってしまうからと思ってくれて、山崎氏の計らいで完成品や展示品を教えてくれたのですが、
自分はひたすら悩みました。時同じ頃、山崎氏に長老ハワイアンギターのリペアを山崎氏に頼んでいて、
お金を振り込む時、振込み人の名前を「シミズパイナップルヒデキ」としたくらい悩んでました。。

もちろんその頃、夜な夜な又は早朝に山崎氏との業務連絡メールが続き、
清水決断いたしました!長年の夢である山崎氏にオーダーをする事にしました。

ハワイアンコアのペンや時計

家に来るはずだった
 YGK製パイナップル。
オーダーするとなると今度はスペックに悩む訳です(笑)
大きさはソプラノなのか?コンサートなのか?材はハワイアンコアなのか?
形はスタンダートなのか?パイナップルなのか?ヴィンテージタイプなのか? 
何フレットジョイントなのか?バインディングは付けるのか?ポジションマークは付けるのか?
インレイなどを凝った物にするのか?ロゼッタはどうするのか?など色々と決める事がある訳です。

自分はオーダー物の楽器は2台目なのですが、前回のギターは既に形などは全て決まっている物だったので、
こちらが材などだけ選ぶ感じのセミオーダー的な物でしたので、今回は色々悩みました。

そこで山崎氏にいろいろとアドバイスを頂ながら、連日打ち合わせをして
全てのスペックが決まり、作業開始をお願いしました。

ちなみに人生発のオーダーギターは今から10年以上前に、山崎氏が某楽器店から仕事を請けていたもので、
そのボディーやネックシェイプは山崎氏が作り上げた物で、クオリティーが素晴らしく、今でも自分のメインギターです。

写真は山崎家の息子ヒースさんです。
 
何悩んでんだワン。
続いて、木を選ぶ訳です。
ボディーの材はオール・ハワイアン・コアにして頂、少々にくいカーリーが出ている物を選んでもらいました。

ボディーシェイプは括れがたまらない、セクシーなヴィンテージタイプのYGKオリジナルシェイプにしました。 

ロゼッタはこれまたヴィンテージの香りがぷんぷんする円形にして頂きました。

材を選びサイドの括れが完成

ロゼッタ製作中

ロゼッタ完成
ヒースさんの鼻も友情出演です。

サイドとトップ&バックの接着作業開始。

立派な箱の完成です。

太陽の光で浮かぶ杢目が美しい・・・
 
洗濯挟み作業

箱が完成
写真が小さいので角材の様に見えますが、立派なウクレレネックです。

そしてここでひとつ物語が出来ました(笑)
最初オーダーをする時に「ロープバインディングも良いですよね〜」と
山崎氏と話をしてたのですが、「材料は外注だから、少々オプションとしては代金がUPだよね」と
2人で打ち合わせの結果断念しました。なのでマンゴーの木で作くるバインディングにしました。
ですが山崎氏が工房内を家宅捜索(笑)していただき、自分に連絡が入りました。

「工房内探して、かき集めたらなんとか1本分の材料が出てきたよ!どうする?ロープにする?」と・・・
返事は「ハイッ!」ですよね。

そんな事があり憧れのロープバインディングも実現!

「YGKに感謝」
 
角材ネック

YGK家宅捜査!?ブツ出る

夢のロープバイディング完成
 いよいよボディーとネックがドッキング!ウクレレらしくなってまいりました。
そしてフレットボード(指板)とネックもドッキング!

そしてこれまたこだわりのポイントです!ネックポケット(下の部分)の形です。
真っ直ぐにするか?マーチンみたいにするか?と・・・

ですがせっかくロープバインディングも付ける事が出来たので、
自分が所有している「ヒロ・ハワイアン・ギター」(長老ギター)のマネをして頂く事を山崎氏に相談。

あっさりOK頂、これまた実行してくれました。
 
ネック&ボディー合体

ネックポケットのラフデザイン
 さてネックポケットも完成!そしてフレットの溝が切られてますね〜

またまたここでこだわりのポイント!インレイです。
インレイはサボテンマークを山崎氏にお願いしました(笑)

写真は打ち合わせの時にラフで10フレット辺りに大き目のサボテンを置いていただきました。
いろいろ考えてサボテンは・・・あの場所に?・・・

そしてポジションマークは5F7F10F12Fと入れて頂きました。

7フレットにはこだわりとして、魂の象徴を入れて頂きました(笑)
 
なんだか少し色も濃くなり

幻のインレイラフ
インレイの模り作業の一幕です。
山崎氏のサボテンマーク良いですね〜

さてこだわりのサボテンマークはヘッドに付けて頂く事にしました!
ポジションマークとサボテンマーク完成。

山崎氏にギターかウクレレを何時かは必ずオーダーしようと誓った日から(笑)
インレイにサボテンマークを入れて頂く事だけは、最初から妄想しておりました。

妄想が実現になり、ただただ感動です。

YGK風に言うと「じー〜ん」です。

最初からの企画実現

ヘッドに付いたサボテンマーク 
さていよいよフレットも付きました。
お〜なんだかヘッドのサボテンが誇らしげです(笑)

ご立派だな〜〜〜

そしてブリッジも付きました。

ひとまず全てマスキングテープが貼られて塗装待ちと言う感じです。

 
ヘッドのサボテン誇らしげ

お〜塗装待ち
が、しかし・・・なぜかマスキングが貼られ、塗装を待つだけとなった日辺りから天気が崩れて、
雨だの雪だのと言う感じ、山崎氏、塗装出来ずイライラ(笑)

それにしても雨続きましたね〜
 
YGKワーゲンバスの上に雪
さていよいよ塗装ブース内に入れたアミーゴウクレレ。
山崎氏の手でお化粧してもらうアミーゴ。

なんだかこちらを向いて笑っている様です。(妄想)

塗装ブースで塗装中
   
YGK製 アミーゴ・ウクレレ完成です。
 YGK製( Soflaブランド)ロゴとアミーゴサボテンのコラボ
   
 ケースは奮発して「Aranjeus」イーストマン社製
「NO YGK NO LIFE」のロゴを入れていただきました。
この作業が1番打ち合わせしたかな・・・(笑)
 アミーゴウクレレ・ヘッド裏に何やら山崎氏からのメッセージが・・・
もちろんケースにもYGKロゴを付けていただき、
「Good Quality」
Sofla(byYGK)のブランドロゴ
そして山崎氏がわざわざ作ってくれたサボテン。
バックには山崎氏からのメッセージが・・・

カーリーが出ていて美味しそうですね?
素晴らしい杢目を選んでくれるのもYGK社製ならではです。
そしてアミーゴウクレレ最大の自慢個所(笑)ロープバインディング。

   
 ここにもこだわらせていただきました。
ネックポケットはヒロハワイギターと同じ形に

ロゼッタもヴィンテージテイストです。
バックもかなりカーリーが出ています。
写真では分かりにくいのですが、
少々真ん中がモッコリしております。 

   
 何か遊び心をと思い7フレットに魂や命の象徴
ハートマークを入れてもらいました。
ハートが強い男になる為に

山崎氏こだわりのブリッジです。
品等に丁寧な仕事をしてくれております。 

 

1920年代のヒロ・ハワイアンギターと
2010年製山崎ギター工房・アミーゴウクレレ
さて今回お世話になった山崎氏からメッセージ頂きました。 
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スペックはシンプルに
ボディ&ネックはハワイアンコア
指板&ブリッジはマダガスカルローズウッド
です。終わり

ってシンプル過ぎ?!(笑)

ロゼッタはローズウッド
ナット&サドルは無漂白牛骨
インレイは白蝶貝
ペグは「PEG HEAD」(そのまんまなネーミング。。)
4:1のギヤ式です。フリクションペグより微調整が可能。
そんなとこかしら。
塗装はオールラッカーです。
弦はヒロのハイテンションです。

バンマスさんにもよろしくです〜(笑)

でわ!

山崎ギター工房
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と、詳しくスペックなども教えてくれました。

今回注文して感じた事は、売る事ばかり慣れている人、ただ作って売るだけの人、
売れてるけど、本当に良い物なの?と言う工房もありますし・・・
そう言った話と違う人に注文出来て本当に良かったと思います。
彼の楽器への情熱がガンガン伝わって来ましたよ。

彼と知り合い、ペグを取り替えてもらってから十数年、「どうが良い?ここ?」と
いろいろ考えて付けてくれたペグ。その頃の彼と魂は変わっておりません。
楽器に情熱がある人に作ってもらって本当に良かったです。
そしてリペアのプロが作る楽器の素晴らしさを
皆さんも味わって欲しいと思います。
 
2010年2月24日 スチールギター友の会・管理人 清水英樹

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