フジテレビ 奇蹟体験 アンビリーバブル


         「聞こえない少女がミスアメリカに」

 貴局において2000年6月29日に放送された「アンビリバボー」は、聴覚障害
児(いわゆる「聞こえない子供達」)教育の本質に関して偏った情報を視聴者に押しつ
けるものであり、聞こえない子供達に対する人権侵害を助長するものと言わざるを得
ない。私どもは、このような放送を行った貴局に対して断固抗議するとともに、同番
組内での貴局の誠意ある謝罪と視聴者への詳細な事情説明を求めるものである。

   番組はミス・アメリカに選ばれた、ろう女性を取り上げていました。  番組は聴覚に障害をもつ聞こえない子供とその母親の「愛情物語」で、聞こえない 我が子の教育に手話をあえて使わず、わずかな音でリズムをつかむ鍛練を積ませ、ク ラシックバレエを習わせ、最終的にはミスアメリカのコンテストに合格するに必要な スピーチ能力を我が子に身につけさせた母親の「すばらしい我が子に対する愛情と努 力」を絶賛する内容でした。
 しかし、その中で絶賛されている母親の聞こえない子供に対する教育は、いわゆる 聴覚口話法・母親法によるものです。この教育法では、聞こえない子供達に手話を禁 止し、音のない世界にいる子供に対して、口形と補聴器から伝わるわずかな音(決し て声ではない)だけで音声言語を教え込もうとします。
 このような不自然な教育方法を施せば聞こえない子供が誰でもこの女性のように音 声言語を獲得するとは、番組制作者もお考えにならないでしょう。
 むしろ、現実には聞こえない子供達の多くは、いくら熱心に聴覚口話法・母親法を 施されても、この女性のように音声言語を自分の言葉として生活するようにはなら ず、むしろやがて手話に触れ、手話を自分の言葉として生活するようになります。だ からこそ、現在、手話は聴覚障害者の生活に不可欠な言語として理解され始め、多く の番組で手話通訳付きの放送が行われるようになってきているのです。
 聞こえない子供に対して手話を禁止する聴覚口話法による教育は、聞こえない子供 にとって最も獲得しやすい言語である手話を禁止し、最も使いやすい言語(手話)に よって教育をうける権利を剥奪するという点で、聞こえない子供達に対する明らかな 人権侵害です。

 貴局が放映した、アンビリバボーの放送内容は、このような聴覚口話法・母親法の 問題点に全く触れることなく、視聴者に聴覚口話法に対する偏った幻想のみを植え付 け、聞こえない子供達に対する聴覚口話法による人権侵害を推奨するものと言わざる を得ません。これは貴局の意図如何に関わらず、聞こえない子供達と彼らを手話で育 てようと考える親たちにとって大きな害悪を撒き散らすものに他なりません。

   戸塚ヨットスクールの教育によって、立ち直った少年がいたとしても、戸塚ヨット スクールで行われた教育が子供に対する虐待であるという事実には全く変わりはあり ません。聴覚口話法により成功する子供が少数あるからといって、聴覚口話法・母親 法が聞こえない子供達の人権を侵害する教育法であることには変わりないのです。
 例外的な事実を過大視することによって、視聴者に聴覚障害児教育の本質に対する 理解を誤らせ、ひいては聞こえない子供達に対する人権侵害を正当化しかねない貴局 の放送に対し断固抗議いたします。

                          全国ろう児をもつ親の会 上記内容に同意してくださるかたどなたでも投稿をお願いいたします。 下記空欄にご記入ください。 ※ご本人による投稿をお願いいたします。 ※御一人につき一回の投稿をお願いいたします。 ※未成人のお子さんが親御さんの意見に同意される或いは親御さんの教育的立場から  子どもの将来を考え妥当だと判断された場合には  親御さんによるお子さんの名前での投稿をしてくださって結構です。 ※抗議先は  ○フジテレビ  ○(社)日本民間放送連盟  ○(社)放送番組懇談会  の3つの予定です。

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