このコーナーに掲載している新聞記事はすべて当該新聞社の掲載許可を受けたものです。
快諾くださった記者・新聞社のみなさま心から感謝申し上げます。
ろう学校での授業 手話使える教師必要 [やさしい社会保障] |
2003年10月3日 読売新聞
新聞社掲載許可済み [無断転記禁止]
|
日本手話 高度難聴児の学習に有益 ろう学校教員も習得必要 |
2003年10月11日(土) 読売新聞
新聞社掲載許可済み [無断転記禁止]
|
ろうの生徒に手話言語を 教師は音声言語頼り、教育の質に問題 |
普通、人は手話がろう学校におけるコミュニケーションと教えるための主な手段であると考えるだろう。しかし、日本においては一般的に音声言語が優先されている。 先月末、43人のろう児と64人の親たちは、授業が日本手話で受けられないことにより、ろう児の教育を受ける権利が侵害されているとして、日本弁護士連合会に対し申し立てを行った。 申し立てを行った親の一人である岡本みどりさんによると、音声日本語とは異なる文法構造をもつ日本手話は、ほとんどの生まれつきのろう者や日本語獲得前に失聴した人にとって自然な言語である。 しかし、ろう学校では生徒が補聴器を装用し教師は日本語で教える口話法で授業が行われている。そのため、まったく聞こえない、またはそのレベルに近い子どもたちは、この方法により事実上教育を受けることを妨害されているという。 申し立てでは、文部科学省が手話をコミュニケーション及び授業指導の主な手段とし、教師にそのための訓練をさせることを求めている。 岡本さんの娘である翠子さん(13歳)は申し立ての後の記者会見で、ほとんど聞こえない声によってではなく、手話言語で教えて欲しいと訴えた。 「学校では、勉強がわからないのです」と翠子さんは手話で語った。「問題の内容がわからないのではなく、先生が何を質問しているのかがわからないのです。私はろう学校で、手話で授業を受けたい。」と述べた。 補聴器を装用している難聴児でさえ教師の言っていることを理解するのに困難をともなうことが多いという。ろう児や実質的にほとんど聞こえない子どもに対して、聞こえる生徒に適したコミュニケーションと同じ手段で授業を受けさせることは残酷だ、と岡本さんは言う。 岡本さんによれば、高校の教師の中には音声日本語を直接手話に翻訳した日本語対応手話といわれるものを使っている人もいる。しかしその手話は、自然なコミュニケーション手段として日本手話を使っているろう児にとって理解することが困難であるという。 「私たちの子どもたちは日本手話でコミュニケーションすることができない教師に不満を持っています。」と岡本さん。「私たちは(現在の教育手法では)子どもたちの学力が十分に身につかないと心配しています。」 ろう学校の小学部と幼稚部に子どもを通わせている、申し立てに加わったろう者の女性によると、ろうの生徒たちは教師の言っていることを理解するために多くの時間が必要なため、授業は適切なペースでは進まないという。 この女性(匿名)はろう学校の高等部に通っていたとき、授業では中学部2年の教科書を使っていたと述べた。 ろう児に日本手話を教える東京の非営利教育施設でアドバイザーをしているアメリカのろう学校教員であるダーレン・エワンさんによると、アメリカ、カナダ、スウェーデン、デンマーク、タイを含む27カ国がろう者のための言語として手話を承認し、ろう学校における主たるコミュニケーション手段としているという。 「日本におけるろう児の置かれている状況は、本来あるべき姿ではないと思います」とエワンさんは筆談で述べた。そして、ろう児は日本手話と書記日本語によるバイリンガル教育を受けるべきであると語った。 文部科学省は、ろう教育に関する政策は、例え障害があっても聴覚によって子どもが日本語を身につけることを優先していると説明する。手話を含む他のコミュニケーション手段はそのあと学ばれるべきであると、同省の官僚は述べた。 しかし、岡本さんは、子どもは手話を使うことにより書記日本語及び音声日本語をより早く習得できると主張する。例えば、言葉をどのように発音するか学ぶ際、手話によって舌の動きを習うほうが簡単であるという。「私は、ろう児の母語である日本手話が日 本語を習得するのに必要であると信じています」と岡本さんは述べた。 |
THE JAPAN TIMES 社掲載許諾済み (原文英語) |
※無断転載禁止 Copyright(c)2000 全国ろう児をもつ親の会