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[ろう学校の実情][ろう学校の教員のレベル][ろう児はろう児]
 

[ろう学校の実情]

今日本の多くのろう学校は聴覚口話法を用い、
聞こえる人に近づけることを目的としているかのような教育を行っています。
国語も算数も理科も社会も手話をほとんど用いず口だけで授業を行なっているのです。

先生たちはこういいます。
”社会に出て聞こえる人とコミュニケーションをとることが大切”
”しゃべれるようにならなきゃ”

そのために親たちは血みどろの努力を要求されます。

でも、本当にそうした教育がろう児にとって良いことなのでしょうか??

現在ろう学校での教育は地域校と比較すると大体1〜3年遅れています。
ひどいところは6年生なのに2年生の教科書を使って勉強をしているのです。

なぜそうしたことになるのでしょう。

国語の授業を考えてみてください。
”たまご”、”たばこ”、”なまこ”
口の形だけで区別してみてください。

算数はどうでしょう。
(先生)「いち」+「に」+「しち」はいくつでしょう?(口だけで授業をする)
(生徒)「さん」 (口の形は「いち」+「いち」+「いち」としか読めない)
(先生)こんな足し算もわからないのか!?いちとに足してさんだろ。
    それにしち足したらいくつだ!
(生徒)....
(先生)まだわからんのか。
    ............(永遠黒板に向かって説明をつづける)
(生徒)......(すべていちに読み取れる)。
    うっうんわかりました。(わかったふりをする)

これは勉強を教えているのではなく、口話を教えているのです。
そんな教育で学力がつくわけがありません。
また、ろう学校でのテストや公開授業の際、
先生たちは前もって出る問題を教えたり、練習させたりしているのです。
聞こえる親に少しでも良い印象を与えるためです。

社会に出て答えのある問題ばかりではないことは言うまでもありません。

 

[ろう学校の教員のレベル]

 ろう学校の教員になるのに特殊な能力が必要なわけではありません。 
 昨日まで養護学校の教員だった者が 
 ”ろう学校は口を使って教えればいいんだ”と校長に言われて
 なにも考えずに異動してきます。 
 もちろん手話など全く知りません。 
 そのため、ろう児の親に向かって”手話を使うと言葉の習得が遅れる” 
 と言い親の手話使用さえ責めるのです。
 ろう学校で手話を使うことが必要だと親たちが気づいたら、 
 手話のできない教員は仕事がなくなってしまいますから。 
 また、ろう者は大人になると手話を使うということ、手話が言語であるということ、
 ろう者の教員による手話教育が大切であることといったことは、 
 とっくに見なおされている国があるのに、 
 それについて知ろうともしない教員が多い。

[ろう児はろう児]

 

聞こえない子どもを聞こえる子どものように育てるとどこかでひずみが出てきてしまいます。

 ろう学校に行かせた場合:
  口話教育がすべてのような教育がなされ、人間教育、学力などに指導が及ばない。
  ただ、聴力の良い子と、分かったふりがうまい子のみが誉められる仕組みになっています。

 地域校に行かせた場合:
  聞こえる子どもと対等に付き合うことはかなり難しいことです。
  1対1ならまだしも、授業は1対多、友達との付き合いは多対多なのです。
  良い友達、良い先生に恵まれ、親がかなり頑張れば聞こえる社会に
  溶け込むように見せることはできるでしょう。
  しかし、実際は授業がわからなかったり、いじめにあったり、
  友達ができなかったりしたために、ろう学校に戻ってくる人も多いのです。
  また、聴力が年齢と共に落ちてきたために
  聞こえる先生の授業についていけなくなるケースもあります。

しかし、今の段階できる最善の選択はろう学校に通わせることだと思われます。
デフファミリーの子どもがいることにより、
手話言語の習得や、口話だけの教員が言っていることを間接的に知ることができます。
また、聞こえないたくさんの友達と出会うことができます。
このような友達は最大の財産になります。
残念ながら地域校に行った場合このような多くの聞こえない友達と出会うことは
大変難しいのです。




聞こえないろう児をありのまま受け入れ、
聞こえない子どもとして育てていくことが何よりも大切なことだと思います。

大人のろう者の意見を伺うと共に、ろう児に自分の将来像をイメージできる環境を
与えることがとても大切です。
(ロールモデル)

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