◆今日のコラム◆
2005/04/19
「犬の嗅覚」
よく犬の嗅覚は人間の何千倍などと言われる。
日本警察犬協会のサイトによれば、ニンニクの臭いなら2千倍、腐敗バター臭なら80万倍、酸の臭いなら1億倍にもなるらしい。
ということは、1m先の漬け物の臭いを、1億m、すなわち10万km先からでも感知できることになる。ってことは、日本の真裏にあるアルゼンチンまでが1万5千kmだから、地球上のどこからでも漬け物を感知できることになる。(ほんとかよ?)
まあ、実際は、気流だとか雨だとか、いろんな条件があるので遠すぎると無理があるだろうが、少なくとも、一定の範囲内では、とてつもない感度を発揮するだろう。
そこで気になるのが、世の中には様々な悪臭が存在するという事実である。
いわゆる汚物から、産業廃棄物、シンナー、人の体臭、ドリアンに至るまで、鼻をひん曲げたくなるような臭いというのは、確実に存在する。
人間でも胸くそ悪いのに、最大1億倍の嗅覚を持つ犬なら、あまりのくささに卒倒してしまいそうなものである。道を歩いていても、えずくほどくさいはずである。
しかし、周知の通り、大抵の犬は平気な顔をして歩いている。
なぜなんだろう?
そこで仮説を立ててみた。
まず、第一仮説。
奴ら、犬は、空気中に蔓延する悪臭に慣れてしまった。一夜一夜に人見ごろ、否応なしに嗅がされるうちに「くさい」と思わなくなってしまったのだ。とすると、犬の嗅覚は鈍いのではないか。いや、嗅ぎ分けることはできるが、くさいとは思わないのだろう。いや、それどころか、悪臭に魅力を見出してさえいるかもしれない。彼らにとって、悪臭は趣き深い香の匂いのようなものかもしれない。
次、第二仮説。
犬はいつもガマンしている。たまらなくくさいのだが、これも犬に生まれた定めと達観して、ひたすら耐えているのだ。犬にとって、生きることは悪臭に耐え続ける苦行に等しい。しかし、彼らは嬉々としてその苦行を実践する、尊い高僧のような生き物なのだ。これからは、彼らを敬って、お犬様と呼ぼう。
ううむ。両仮説とも、微妙に違う気がする。
本当のところ、どうなのだろう。
犬に尋ねてみたい。
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