◆今日のコラム◆

2005/05/15

「深海魚」


最近、深海魚が好きである。
にわか深海魚フェチと言ってもいい。
あの無駄なのか合理的なのかよくわからない、奇怪なボディの形状に、得も言われぬ魅力を感じる。
一言で言うと、「もの凄い造形美」であり、「かっちょいい生き物」でもある。
必要以上にアゴが突き出ていたり、頭の形がヘンだったり、SF映画に出て来そうな姿をしている深海魚は多い。口が異常に大きくて、ヒレが鋭く尖っているものが多い。
そして、その生態がほとんど謎であるところにも、魅力の一因はある。
生態が謎なのだから、ボディの特異な形状もまた謎である。
おそらく、水圧や餌の獲り方などが外的要因なのだとは思うが、よく分からない深海魚は多い。

有名なチョウチンアンコウは、デコからチョウチンが生えている。
デコにチョウチンを生やした魚というのも、考えてみると凄い。
そのチョウチンの光で、小魚をおびきよせて食べるのだから、考えてみるとかなり特異な生態ではあるが、これはまだ分かりやすい深海魚である。

僕が好きな深海魚の一つは、フクロウナギである。
英名は、ユーファリンクス・プレカノイドと言う。
水深300〜3000m、深海の中層から深層にかけて棲息しているらしい。
頭が異常に大きく、下顎が平べったくて左右に突出しており、胴体から尾にかけては上下にヒダのある流線型。あの下顎の形状は、海底に落ちてくる餌(死骸?)を待ち受けて食べるのに適応しているのだろうか…。
ともあれ、コイツはかなりそそられる造形美である。

最も好きな深海魚は、リュウグウノツカイというかなり大きい種で、体長は3〜10mにもなる。中深層遊泳棲と言われるが、たまに浅い表層に出てくることもあるらしい。
ボディは、幅の広い直刀を思わせる銀色の流線型で、赤い吹流しのような長いヒレが付いていて、非常に華麗ないでたちをしている。
その遊泳する姿は、竜宮城の貴人のごとく装飾性に富んでいて優雅であり、古代の雰囲気を纏った荘厳さと神秘性をも持ち合わせている。なぜそんな形をしているのか、全く分からない。また、日本書紀には、人魚の記述があり「赤く長い髪と白い肌」「魚の形をした長い体」という特徴から、リュウグウノツカイのことではないかと考えられている。
ごくまれに、海岸に打ち上げられたり、魚網に掛かることがあるらしく、ネットで写真を見たことがあるが、得も言われぬ美しさだった。
生きたリュウグウノツカイの目撃例は非常に少なく、その生態についてはほとんど分かっていない。ダイバーの間では、リュウグウノツカイを目撃するのは、一生に一度あるかないかの幸運だと言われている。


リュウグウノツカイ

リュウグウノツカイ
※画像は海外サイトのfreephotoです。





他に造形的に好きな深海魚としては、ホウライエソ・ミズウオ・ウスオニハダカ・ムネエソ・クサウオ・オオクチホシエソ・アカチョッキクジラウオ・ミツマタヤリウオなどがある。





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