◆今日のコラム◆

2005/05/26

「ペンギン」


一番好きな動物は何かと訊かれたら、何の迷いもなく「ペンギン」と答える。
あの破壊的な可愛さは、何なのだろう。
結構イイ年をこいてから、ペンギンに恋焦がれるようになった。
おそらく、一日に一度は、ペンギンに想いを馳せている。
誰の説だか知らないが、人間は「小さくて丸っこいもの」を可愛いと感じるように、DNAに刷り込まれているのだという。
確かに、動物の子供は皆、この条件に当てはまるので、一般的に可愛いがられる。
そして、コアラやラッコなどは、大人でもこの条件に当てはまるから、可愛い動物として世間に認知されている。
しかし、ペンギンは「小さくて丸っこい」だけではない。
大人でも「よちよち歩く」のである。
「小さくて丸っこくて、よちよち歩く」のがペンギン。
可愛い過ぎるのも、納得できるというものである。
可愛いにも程があると言いたい。

僕のペンギンに対する愛は、海よりも深い。
世の中には、ペンギンを家で飼いたいという輩が存在する。
少し前まで、僕もそういう憧れを胸に抱いていた。
毎朝、目覚まし時計代わりに、ペンギンが突ついて起こしてくれたり、一緒に散歩したり、プールで泳いだり…。(は、鼻血が…)
確かにそれは、夢のような、めくるめく甘い幸せな日々だろう。

しかし、ペンギンがどう生きるのが最もふさわしいかを考えると、家で飼うのはNGであることに気づいてしまった。
そもそも、ペンギンは南半球にしか生息しておらず、群れで海を泳ぎ餌を取り、海岸に営巣して繁殖する。外敵もいるだろうし、環境は苛酷かもしれない。でも、その環境に適応するべく、進化してきた生物なのだから、野生でいるのが最もふさわしいのではないか…。可愛いからという理由だけで、人間の都合でペットにするべきでないのではないか…。この理屈でいくと、ペットそのものや、動物園や水族館で野生動物を飼育することの賛否にも抵触するかもしれないが、とにかく、個人でペンギンをペットにするのは、NGだと思うに至った。

ペンギンを愛するがゆえに、僕はペンギンを飼いたいという夢を諦めた。
とりあえず、水族館などで会えるし、ペンギンの生態の知識を映像資料で得たり、ペンギングッズを集めるという楽しみもあるので、現状で満足しておきたい。





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