◆今日のコラム◆
2005/05/14
「ヌンチャク」
十代の一時期、ブルース・スリーにはまった。
いや、正確に言うと、ヌンチャクにはまった。
僕は、本物の硬派な人間ではない。
結構、自分に対して甘いところがあるのを、身を以って知っている。
が、硬派な志向性には憧れるし、硬派な生活を送りたいという願望もある。
その願望を満たしてくれる存在がヌンチャクだった。
人知れず、部屋の中で密かにヌンチャクを振り回していると、何かこう、生活に硬派な彩りが添えられるというか、身が引き締まるような気がしたものである。
ヌンチャクというのは、危険な武器であるかもしれないが、振り回すのは誰にでもできる。特に秀でた筋力や運動神経の素質が必要ではないからである。
ヌンチャクは「技を知り、技を磨く」という、硬派好きにはたまらない要素だけを励めばよいという、素晴らしい武器なのである。
しかも、上手くなるとかなりカッコイイので自慢できるし、失敗して背中にバチンとヌンチャクをぶつけて「アイタタタ!」とかやると、笑いまで取れてしまうという、凄い実力を持った武器でもある。
それはそうとして、僕がヌンチャクを極めたのかと問われると、答えはノーである。
当時、「燃えよドラゴン」や「死亡遊戯」などのビデオを見て、ブルース・リーのフォームを或る程度研究はしたのだが、日々の鍛錬を怠ったために、習得できなかった。
ヌンチャクは、中途半端な技術で振り回すと、実にカッコ悪い。
ヌンチャクにおける高等技術は、幾つかの技を複合させて目にも止まらぬ速さで振り回すというものだが、そこまで行くには、相当な練習量が必要である。
と、書いているうちに、再チャレンジしたくなってきた。
しかし、それなりに忙しい、いい年をした大人が、再びヌンチャクに取り組むには、それなりの理由が欲しいところである。無邪気に遊んでいる場合ではない。
ヌンチャクが何の役に立つか?
おそらく、護身にはあまり向かない。
ヌンチャクを肌身離さず持ち歩くのは、非現実的だし、他人にバレた時に言い訳のしようがない。
それに、ヌンチャクは、対人格闘の修練を積んで相当の達人にならないと、殺傷力がほとんど望めない。見ばえはカッコイイけど、実用性には乏しいのである。
護身に使えないとなると、運動としての効用を考えるほかない。
ヌンチャクは、あまり筋力を必要としないので、筋肉や体力の増強にはならない。
ヌンチャクの技は、基本的には、遠心力を利用することが多い。
ということは、肩こりに効くのではないか?
一つ目のメリットとして、肩こり予防が考えられそうである。
あと、考えられるのは、ストレス解消である。
上手くなるほどに、自分に酔うことができて、爽快感を味わえそうである。
ということで、肩こりとストレスを解消するために、ヌンチャクに再チャレンジしようと思う。
まあ、理由を云々せずとも、やりたきゃやればいいのだとは思うが、ちょっとモッタイぶってみたいのが、大人と言うものだろう。
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