◆ Minor Cinema #14 ◆
パニックルーム
制作年:2002年 アメリカ
監督 : デヴィッド・フィンチャー David Fincher
製作 : セアン・チャフィン
ジュディ・ホフランド Judy Hofflund
デヴィッド・コープ David Koepp
ギャヴィン・ポローン Gavin Polone
脚本 : デヴィッド・コープ David Koepp
撮影 : コンラッド・W・ホール Conrad W.
Hall
音楽 : ハワード・ショア Howard Shore
出演 : ジョディ・フォスター Jodie Foster
メグ・アルトマン
フォレスト・ウィッテカー Forest Whitaker バーナム
ジャレッド・レトー Jared Leto
ジュニア
クリステン・スチュワート Kristen
Stewart サラ
ドワイト・ヨアカム Dwight Yoakam
ラウール
パトリック・ボーショー Patrick Bauchau
イアン・ブキャナン Ian Buchanan
アン・マグナソン Ann Magnuson
アンドリュー・ケヴィン・ウォーカー Andrew
Kevin Walker
「ファイトクラブ」のデヴィッド・フィンチャーと「羊たちの沈黙」のジョディ・フォスターのタッグ
ということで、かなり期待していたサスペンススリラー作品である。
まあ、結果から言うと、期待は「オイシク外れた」というところ。(笑)
ただのハズレならば、ここに書く必要はないのだが、あまりにもオイシイ外し方なので、
嬉しくなって書くことにしたワケである。
何故オイシイのかというと、ラストが笑えるからである。
サスペンススリラーというからには、ハラハラする内容であるべきだし、
最後には主人公が危機を脱してホッとするような内容であって欲しかったりもする。
にもかかわらず、ラストでボクは爆笑してしまった。
どういうシーンかと言うと、「武装警官隊が突入してくる」シーンである。
もう全部終わってるわい!
あまりの陳腐さに、思わずそうツッコミを入れてしまった。
「火曜サスペンスの10時40分」並みの陳腐さに爆笑である。
直前までかなり真面目に作り込んできた作品だけに、
タメにタメてのこの「突入シーン」は、かなりの噴飯ものである。
はっきり言って、タイミングがコントである。
しかもそのあと、強盗3人組の唯一人の生き残り(バーナム)が、
警官隊の前でホールドアップするのだが、このシーンがまた超マヌケ!
いわゆる「コワイ」映画を作ろうとしているのだろうが、
ボクから見ると、実に笑える作品に仕上がってしまっている。
大体、悪役の3人組がかなりのスットコドッコイである。
リーダーのジュニアは、低脳のヘタレ。
イカレ野郎のラウールは、ダダっ子。
やさしいバーナムは、ちょっと賢いけどドジ。
ほとんどズッコケ3人組である。
これでどう怖がれというのだろうか。
おそらく、監督のデヴィッド・フィンチャーは、途中からヤル気を無くしたのではないか。
そう思う根拠としては、2点挙げられる。
1.やりようによっては、もっと怖い作品になると思える箇所がいくつかあること。
つまり、せっかくのアイデアを煮詰めきれていない。
2.当初、主役だったニコール・キッドマンが撮影中にケガでリタイアし、急遽、ジョディ・フォスターに
バトンタッチしたこと。
1の背景として2があると思うのだが、どうだろうか。
確かに、ニコール・キッドマンの方がハマリ役だとも思える。
あのキツめの顔立ちの方が画面にハマるような気がするのである。
それに、「主役はニコール!」というイメージで鼻息も荒く撮っていたのに、急にキャストが変わると、
やはりゲンナリというか、モチベーションが下がるのではないだろうか。
「そんなんやったら、もうこの映画撮るの、やめよう!」
と言いたくても、スポンサーとか事情を考えると、やめるわけにもいかない。
しょうがないなぁ。何とかイヤイヤでもそれなりに仕上げるしかないな。
という心境だったのかもしれない。
最後に、この映画で良かった要素としてカメラワークを挙げておく。
2次元座標と3次元座標を上手く使い分けたカメラワークは、デヴィッド・フィンチャーらしく、
タウンハウス独特の階層を持った屋内空間が見事に表現されていて、秀逸だったように思う。
END
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