映画の小窓8

 

TAXI


1997年 仏 / 85分
監督:ジェラール・ピレス
製作:リュック・ベッソン、ロラン・ペタン
脚本:リュック・ベッソン
撮影:ジャン・ピエール・ソヴェール
出演:サミー・ナセリ、フレデリック・ディーファンタル、マリオン・コティヤール、エマ・シュールベルイ、マニュエラ・グラリー、ベルナール・ファルシー


 

リュック・ベッソンのヒット作である。

どうしてそんなにヒットしたのだろうか。

分るような分らんような、

駄作とも名作ともつかぬ、

ましてフツウの映画とも言えぬ、

ヘンテコな映画である。

 

宣伝文句通り、カーチェイスがテーマになっているとは思う。

本格的なガンアクションはないし、

殴り合いのケンカもない。

やたらとクルマが炎上したりもしない。

純粋にクルマの運転で勝負しよう、

実際に在り得るようなカーチェイスを見せよう、と。

そういうつもりなんだろうと。

始めはそう思った。

しかし、どうも中途半端なのである。

確かに、主人公の運転は巧い。

その辺にはちょっといないレベルだとは思う。

一流レーサー並の人がスタントしているかもしれない。

しかし、見せ方がマイナー過ぎるのである。

今のカットは難しいことをやっているんじゃないか、とか、

よく考えないとほとんど分らないのである。

四輪ドリフトをキメる、とか、

そういう派手でマニアックなクルマの見せ方をしないから、

消化不良な感じになってしまったんじゃないか。

そんなふうに考えながら見ているうちに、

ワザとやっているのでは?とすら思えてきたものである。

アクションをクルマに絞るのならもっと徹底的に見せるべきだ、

でないと、心を揺さぶるインパクトの強い映画にならない。

などと、心の中でアメリカ人的な批判をしている自分に、

ハッと気づいた時、何だか騙されているような気がしたのである。

 

アメリカ映画ばりの痛快アクションを期待して見ると、

肩透かしをくらったような気分になる映画である。

ラブストーリー的要素の方も、ウヤムヤな感じである。

主人公の方は、彼女とハッピーな結末を迎えるが、

副主人公とも言うべき頼りない刑事の方は、

思いを寄せる女上司とラブラブな関係にまでは発展しない。


何なんだよ、もう!

はっきりしなさい!



である。

 

とはいえ、見方によっては、

軽快なノリのポップな佳作、と言えなくもない。

ショボい映画なのか、チープな魅力がある作品なのか、

単に、予算をケチった結果の仕上がりなのか、

目立たないなりに結構、金が掛かっているのか、

カーチェイスに革命を起こすつもりだったのか、

ただ、いちびって作っただけの映画なのか、

どうも、よく分からない。

ハリウッド映画とは違うぞ!

という自己主張のつもりなのかなぁ。

 

End
 



執筆: 2001/04/14


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