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映画の小窓8 TAXI
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1997年 仏 / 85分 |
リュック・ベッソンのヒット作である。
どうしてそんなにヒットしたのだろうか。
分るような分らんような、
駄作とも名作ともつかぬ、
ましてフツウの映画とも言えぬ、
ヘンテコな映画である。
宣伝文句通り、カーチェイスがテーマになっているとは思う。
本格的なガンアクションはないし、
殴り合いのケンカもない。
やたらとクルマが炎上したりもしない。
純粋にクルマの運転で勝負しよう、
実際に在り得るようなカーチェイスを見せよう、と。
そういうつもりなんだろうと。
始めはそう思った。
しかし、どうも中途半端なのである。
確かに、主人公の運転は巧い。
その辺にはちょっといないレベルだとは思う。
一流レーサー並の人がスタントしているかもしれない。
しかし、見せ方がマイナー過ぎるのである。
今のカットは難しいことをやっているんじゃないか、とか、
よく考えないとほとんど分らないのである。
四輪ドリフトをキメる、とか、
そういう派手でマニアックなクルマの見せ方をしないから、
消化不良な感じになってしまったんじゃないか。
そんなふうに考えながら見ているうちに、
ワザとやっているのでは?とすら思えてきたものである。
アクションをクルマに絞るのならもっと徹底的に見せるべきだ、
でないと、心を揺さぶるインパクトの強い映画にならない。
などと、心の中でアメリカ人的な批判をしている自分に、
ハッと気づいた時、何だか騙されているような気がしたのである。
アメリカ映画ばりの痛快アクションを期待して見ると、
肩透かしをくらったような気分になる映画である。
ラブストーリー的要素の方も、ウヤムヤな感じである。
主人公の方は、彼女とハッピーな結末を迎えるが、
副主人公とも言うべき頼りない刑事の方は、
思いを寄せる女上司とラブラブな関係にまでは発展しない。
何なんだよ、もう!
はっきりしなさい!
である。
とはいえ、見方によっては、
軽快なノリのポップな佳作、と言えなくもない。
ショボい映画なのか、チープな魅力がある作品なのか、
単に、予算をケチった結果の仕上がりなのか、
目立たないなりに結構、金が掛かっているのか、
カーチェイスに革命を起こすつもりだったのか、
ただ、いちびって作っただけの映画なのか、
どうも、よく分からない。
ハリウッド映画とは違うぞ!
という自己主張のつもりなのかなぁ。
End
執筆: 2001/04/14