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映画の小窓4 「マトリックス」 イイ仕事してますねぇ。 と、唸ってしまう映画だった。 視覚効果とキアヌのかっこ良さばかりが取り沙汰されるが、 なかなかどうして、 他にも見ドコロたっぷりの映画なのである。 何かこう、職人的なものを匂わす部分が随所にある。 まずは、話題となったカンフーアクションである。 派手なモーションテクノロジーがやたらと目を惹くが、 それを引き立たせているのは地味な攻防のディテイルである。 突き、受け、蹴り、一挙手一投足が意外にもしっかりしている。 アメリカ映画のアクションといえば、 「大雑把(ダイナミックとも言う)」「型がメチャクチャ」 がウリだったのに。 そう、従来のアメリカ映画のアクションはひどかった。 子供のケンシロウごっこみたいなのが多い。 自称空手初段、格闘技ファンのボクにしてみれば、 何だ、その殴り方は! 腰が入っとらんわ! ワキが甘過ぎるわ! お前は、ジャイアント馬場か! と、つっこみたくなるようなアクションが多かった。 要するに、オマヌケなアクションが多かったのである。 (これはこれで、そのスットコドッコイぶりを楽しめるのだが。) ところが、このマトリックスは違った。 かなり、本格的な動き(型)が見られるのである。 パンチの軌道がしっかりしているし、 構えも引き手も、うさん臭さがない。 東洋人か或いはかなりの玄人による指導を伺わせるものがある。 ボクは、6年ほど空手をやっていたことがあるのだが、 突き(パンチ)の軌道が安定するには、 結構な練習量を必要とする。 小手先の演技でないことがよく分かるのである。 キアヌもローレンスも、格闘技の基本所作の練習を、 相当量、こなしたに違いない。 そういった下地ができているからこそ、 あの視覚効果が生きて来るんだろうなと思うのである。 次に感心するのは、ストーリーである。 このテの映画にしては、よいストーリーテリングである。 現実世界と、人工知能コンピュータが作った擬似世界。 自分を信じていくことで、強くなり真実を見出す主人公ネオ。 人間の主観を尊重するスタンスが全体に貫かれていて、 しっかりとまとまった脚本になっている。 でも、最終的に世界を救う救世主がネオになってしまうあたり、 しようがないか、と納得してしまう。 これがアメリカンヒロイズム、エンターテイメントなのだから。 それにしても、 ネオとトリニティ、カッコよすぎ。 クールビューティーというか、 キメすぎというか。 個人的には、 トリニティは、金髪の方がいいかなぁ……。 なんて。 End |