◆今日のコラム◆
2005/05/22
「蚊柱」
夕方に散歩するのが、僕の日課である。
が、毎年、少々困ったことが起こる。
5月の半ば頃にもなると、蚊柱(かばしら)が大量に発生するのである。
蚊柱とは、大量のユスリカの類い(血は吸わない)が局地的に密集する現象である。
まあ、どこにでも見られるものだが、奴ら、顔の高さに密集するから始末が悪い。
しかも、わざわざ人が通る所に蚊柱を作ることが多いから、納得がいかない。
人が通らないスペースなど、どこにでもある。
明らかに、奴らは、止むを得ない理由で人の通り道に蚊柱を作っているわけではない。
悪意でもあるのだろうかと、よく勘ぐってみたものである。
しかし、毎日のように蚊柱に接していると、蚊柱の傾向が見えてきた。
思いつくままに挙げてみる。
・陽だまりや、木洩れ日にできやすい。
・比較的広い空間を好む。
・道の真ん中よりは、やや脇に陣取ることが多い。
・道幅全体を占拠することはない。
と、こんなところである。
この傾向が分かってくると、大体の回避策も見えてくる。
つまり、歩く数m先の状況を見極めればよいのであり、以下のことに留意すればよいわけである。
・陽だまりや木洩れ日を見つけたら、避ける。
・比較的狭い道を歩き、踊り場のようなスペース(小さい広場など)を避ける。
・道をまっすぐ歩かない。(左右交互に蚊柱が発生していることが多い。)
まあ、大体これで快適に散歩ができるのだが、蚊柱過密地帯では通用しない。
時期や地域などによって、隙間がないぐらい大量に蚊柱が発生することがあり、この場合は、回避不可能である。
まあ、吸血はしないものの、不快な存在でしかないユスリカだが、奴らは、地球上で最も繁栄している淡水生昆虫らしい。ユスリカの仲間は、20000種を超すと言われ、南極やら温泉やら酸性湖やら下水道やら、様々な環境に適応しているらしい。
ドブであろうが、汚染された河川であろうが、酸素がほとんどない水中だろうが、どこにでも奴らの眷族がいるわけである。
幼虫や蛹の時は水中で暮らし、成虫になると10日ほどの命しかないらしい。
この手の虫の成虫期は、配偶者を探して交接するためにのみ存在する。
その儚い一生に想いを馳せると、鬱陶しい蚊柱も、無下には憎めない。
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